7月28日に東京・LIQUIDROOM ebisuにてライブイベント「J-ROCK EXPLOSION 2012『華麗なる激情』-Splendid Violent Emotion Vol.3-」が開催され、若手ヴィジュアル系バンド6組に加え、逹瑯を中心とした吉井和哉のコピーバンドCOPY LOVINSONが出演した。
4月に行われた第2回から人気投票を元に出演順を決める「ガチ投票バトル」を実施している「華麗なる激情」。誰がトリを務めるかは事前に明かされないこともあり、開演前の会場にはほんのりと緊張が走っていた。
そして開演時刻と同時にステージに現れたのは、 7月7日に始動したばかり新鋭D.I.D.。彼らは1曲目からハードな「atheism」を叩き付け、初めて彼らを観るオーディエンスに衝撃を与える。また5人は「華麗なる激情」恒例の先輩アーティストのカバーにも挑戦し、この日の共演者であるギルガメッシュの「volcano」を低音を強調したアレンジで披露。「僕らは7月7日に始動したばかりの新人です。まだまだ荒いところもあるけど、今後に期待してください」と語っていたD.I.D.だが、荒い中にも堂々としたパフォーマンスでトップバッターの大役を務めあげた。
激しい空気を引き継ぐように、2番手を務めたのはALSDEAD。メンバーを呼ぶ声がこだまする中で披露されたのは、MAKI(Vo)の伸びやかな声が映えるメロディアスな「In Bloom」と、明滅する照明が4人のプレイを彩った「FLASH BACK」の2曲。そしてフロアの熱も徐々に帯びていったところでムック「ファズ」のカバーが届けられた。「今日はご本人も会場に来てて、俺も慣れないことを……」とMAKIがブルースハープを手にすると、何の曲か察したファンが歓声を上げていた。本家の存在を意識していたのか若干緊張したプレイではあったが、観客の心をつかむ選曲が功を成し、後半はより一体感のあるステージが繰り広げられた。
若手2組のステージの続いたのは、この日のハイライトのひとつとも言える吉井和哉楽曲をカバーするCOPY LOVINSONの出番だ。首謀者の逹瑯(Vo / ムック)を中心に結成されたこのバンドは、aie(G / the god and death stars、highfashionparalyze)、hiro(G /
ステージを覆っていたカーテンが開くと同時に、CHISA(Vo)の歌にあわせてライブを始めたDIV。彼らは挨拶代わりにスピーディな「夏の行方」でポップな空気を作り出し、バンドの世界観を伝える。さらにキッチュなデジタルサウンドをフィーチャーしたダンサブルな曲を続けたあとは短めのMCでそれぞれのキャラクターをアピールした。CHISAは「めっちゃいるんだもん! リキッドでやるの初めてだし」と声を裏返しながらステージに立っている喜びを明かし、ちょび(B)は第2回「華麗なる激情」での初々しいライブからバンドが進化を遂げたことを強調する。そこから続いたのは、CHISAの鼻にかかった甘い声が原曲とぴったりなシドの「アリバイ」。先輩のカバーでオーディエンスの心をつかみ、その勢いのままにアッパーな曲の連続投下でフロアの熱を高めた。
イベントの中盤に登場したカメレオは、カラフルな衣装と飛び道具的なパフォーマンスで会場を盛り上げる。強烈なビートの上にHIKARU.(Vo)の艶かしい声が絡む「ニート姫」を皮切りに、打ち込みのデジタルサウンドをフィーチャーした「疑似コミュニケーション」と続けた。さらにおなじみの「鼻毛」のコール&レスポンスを経て届けられたのは、シドの「空の便箋、空への手紙」。意外とも言える選曲にフロアは沸き立ち、それまでのハイテンションなムードを消し去るように、ノスタルジックでしっとりとした空気が漂う。しかし後半は再びダンサブルなモードへ。ピンクのカツラを被った女性ダンサーが現れHIKARU.と一緒にコミカルに踊った「マジカルドリンク」、観客のヘッドバンギングが盛大に起こる中、メンバーがウォーターマシンガンで水を飛ばし、ビーチボールのノックでお祭りムードを醸し出した「How much?」を演奏。合間にはTakeshi(Dr)がドラムセットを離れステージ中央で観客を煽る傍ら、HIKARU.が卓越したドラムテクニックを披露する場面もあり、変幻自在、なんでもありなバンドのスタンスを観客に印象付けた。
ガチ投票バトルの2位のアクトの前には、ダイノジによるアッパーチューン連発のDJパフォーマンスも行われ、フロアを埋め尽くす観客を踊らせた。その後は、投票の結果、2位に選ばれた
トリを飾るのは、ガチ投票バトルの勝者であるギルガメッシュ。現在全国ツアー「サディスティックイヤー2012」の真っ最中という彼らは、アッパーで激しい楽曲ばかりを連発する“サディスティック”なセットリストを「華麗なる激情」のために用意した。まず左迅の怒号のような「Are you ready?」の声に続いて披露されたのは、「お前に捧げる醜い声」「アングリージュース」「driving time」といった攻撃的なナンバーばかり。後輩には負けてられないとばかりに気迫のこもったステージで、大勢のオーディエンスを熱狂へと導く。「既に相当やかましいと思いますが、こっからもっとうるさくなります。容赦はしません!」という言葉から突入した後半戦は、怒濤のような展開で進行。「絶頂BANG!!」ではPVでも披露されている振り付けを弐(G)が完璧に踊ってみせ、熱狂を加速させた。
またアンコールでは、ギルガメッシュがムックの「蘭鋳」をカバー。間奏で必ず行われる会場を巻き込んでのジャンプも敢行され、見事な再現ぶりにオーディエンスは喝采を送る。さらに左迅の呼び込みで茜、MAKI、CHISA、HIKARU.、結がステージに現れ、ギルガメッシュの「evolution」を大人数でセッション。マイクを手にボーカリストたちはステージで入り乱れながら歌声を披露し、6時間半におよんだ真夏の「華麗なる激情」は華やかで賑やかな雰囲気の中でフィナーレを迎えた。
なお、この日はスクリーンで謎のイベント「J ROCK EVOLUTION 2012」の開催がアナウンスされ、オーディエンスを驚かせた。出演アーティストや詳細は未発表だが、そのタイトルから大規模なイベントになることが予想される。今後の続報にも注目しておこう。
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音楽ナタリー @natalie_mu
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