Hi-STANDARD新章へ
2023年2月に恒岡章(Dr)がこの世を去り、難波章浩(Vo, B)、
「よっしゃ行こうぜ!」
その後、Hi-STANDARDは11月にミニアルバム「Screaming Newborn Baby」をリリース。今作は恒岡を含むハイスタとしての生き様をこれからも世の中に示し続けるという確固たる覚悟のもと、難波、ZAX、横山の新体制で制作された最初の作品だ。そんな彼らのリアルな思いが詰まったミニアルバムを掲げ、いよいよHi-STANDARDが動き出した。ツアーの序章となる「Pre-Show」は、オーディエンスのみならず、メンバーもさまざまな思いが湧き上がるような瞬間が何度となく訪れつつも、感動と熱狂の渦巻く一夜となった。
3人が定位置に着いたあとに発せられた難波の「よっしゃ行こうぜ!」という言葉にフロアからは大歓声が上がる。ライブの口火を切ったのは「WHO’LL BE THE NEXT」だ。最新作から「Song About Fat Mike」が届けられたあとには、ZAXに向けて「ありがとうー!」という声が多数上がり、ファンがZAXをハイスタのメンバーとして歓迎している様子が伺える。愛に満ちたファンの言葉を受け、ZAXは笑顔を浮かべながらも感極まった様子で瞳を潤ませ、拳を掲げた。その様子に難波は「いやー、まさにだね。ひさびさにやっちゃおうかな」と述べ、「THIS IS LOVE」につなげた。
「俺たちの歌!」響く大合唱
その後、横山は「戻ってきたよ! ZAXを連れて!」と改めてZAXを紹介。ハイスタの帰還を待ちわびたファンに向けて、「ただいま戻りました、Hi-STANDARDです!」と宣言し、難波とZAXも「Hi-STANDARDです!」と続けて叫んだ。横山は「『Hi-STANDARDです』って言える喜びね! あなた方も待っていたように、私たちも待ってました」と述べてから、「言葉にならないものを噛み締めてる感じがするね、今日は」と感慨深そうにした。そして、「じゃあ歌ってもらっちゃおうかな? 俺たちの歌!」と難波が話してから、新曲「Our Song」へ。長年の活動の中でさまざまな喜びと悲しみを経験している彼らの生き様が詰まったこの曲が、オーディエンスの気持ちを鼓舞する。場内に充満する熱い思いが、シンガロングとなって響きわたった。
またひさびさの演奏となった1997年発表の「SHY BOY」のあと、横山は自身の作った曲ながら「細かいフレーズが多い」とこぼし、「20代のときとちょっと違うのよ。なんでこんな曲作っちゃったかな」と笑った。ツアー開催にあたり、難波とZAXが熱心に練習に励んでいたと明かしたのは横山。「いやー見てて熱いものがあったね。俺も必死になって練習しちゃってさ。そのあとなんて言ったと思う俺? 『青春だな』って(笑)。青い気持ちを取り戻したよ」と笑顔を見せた。
なぜ新代田FEVER?
「MY HEART FEELS SO FREE」のあと、難波は「今回俺たちのテーマは、『みんなに自由でいてくれ』でさ。俺たち変わらないところは変わらないから、そのまま行こうって。どんな時代になっても。さっきは『Our Song』で歌ってくれてありがとうみんな」と口にした。難波の吐露は止まらず、ハイスタがこの場所をツアーの初日に選んだ理由を説明。その大きな理由は、長い付き合いという西村仁志店長の存在。「俺たちが屋根裏(下北沢にかつてあったライブハウス)でできあがって、下北沢SHELTER、新宿LOFTに行くぜってときのSHELTERの店長が西村くん」と紹介した。西村店長は下北沢SHELTERの店長を務めたあと、2009年に新代田FEVERをオープンさせた。ハイスタはそんな西村店長の作ったライブハウスにいつか立ちたいと話していたそうだが、実現せずに月日が流れていった。
新代田FEVERのドリンクカウンターの後ろには恒岡の似顔絵が飾られている。そのことを難波が話している最中、横山は「あのさあ、恒ちゃんと一緒にFEVERを1日抑えたことあったよね。あのときはできなかったんだけど」と振り返った。そんな折、体調不良でフロアから引き上げられるファンを見た難波は「大丈夫? 大丈夫じゃない人はこっち来て大丈夫よ」と気遣いを見せた。
声が聞こえてきそうなんだ
「ANOTHER STARTING LINE」のプレイ中、難波が口ごもる場面があり、横山はギターを弾きながらもその様子を横で見守る。演奏後、難波はファンの1人を見て「君が泣いてるからだよ! もらい泣きしちゃったよ」「いやーマジかよ。歌えなくなっちゃうんだよ」と話しながら涙し、そのファンに手渡しでピックをプレゼントした。横山は「俺はギターに集中しているからかろうじて大丈夫だけど、いろんなことが頭をよぎるよ。ZAXがいてくれる喜び、みんなと場を共有できる喜びとか、いろんな喜びがあるよ」と素直な思いをファンにぶつけた。
「新潟はね、月がきれいなの」という新潟育ちの難波の言葉に続いて、彼らは憂いを帯びたメロディの新曲「Moon」を披露。この曲はZAX、横山、難波の現体制になって最初にできあがったナンバーで、恒岡と過ごした日々を回想するような内容でありつつ、「To become the greatest grandpa band(最高の“ジジイバンド”になってやる)」という、これからのハイスタとしての決意も込められている。英語詞で「月の下で 俺はお前を待つ 声が聞こえてきそうなんだ 月明かりの下で この月明かりの下で」と歌われた直後に訪れたのは一瞬の静寂。演奏の残像だけが響く中、場内にいるのはステージに佇む3人、それを静かに見守る汗だくのオーディエンスだ。そしてZAXのかけ声を合図に再び演奏に火が灯された。ライブ終盤、代表曲「STAY GOLD」が新代田FEVERに鳴り響いたあと、難波は「ハイスタをよろしくね。これからまた始まるから」と話し、横山は「“第4章”が始まったところ。まだ終わらないね、俺たち」と続いた。
「まだ見ぬ道を俺たちなりに作っていく」
アンコールでは「DEAR MY FRIEND」の演奏後、難波が「明日はクリスマスイブなのね」と話してから、「ハイスタいいな! メリークリスマス!」と声を上げ、「Happy Christmas (War Is Over)」のカバーをオーディエンスにプレゼント。フロアには笑顔やシンガロングが広がり、モッシュも起きるなど、平和な光景が作り出される。
これで終演かと思いきや、アンコールを求める声が止まらずにダブルアンコールに突入し、「CALIFORNIA DREAMIN'」で再び熱狂が会場に生まれた。難波は「俺たちはここからジイさんになっていくけども、まだ見ぬ道を俺たちなりに作っていきます。その道がどんな道になるかわかんないけど、それを楽しみに行きます!」と力強いメッセージを発信。ハイスタはこの日のラストナンバーとして「MAKING THE ROAD BLUES」を投下し、爆発力に満ちた演奏で観客を鼓舞してライブを終えた。3人は、1月12日の新潟・朱鷺メッセ・新潟コンベンションセンター公演でツアーの本格的なスタートを切る。
セットリスト
Hi-STANDARD「Screaming Newborn Baby Tour -Pre Show-」2025年12月23日 新代田FEVER
01. WHO'LL BE THE NEXT
02. All Generations
03. Song About Fat Mike
04. THIS IS LOVE
05. THE KIDS ARE ALRIGHT
06. Our Song
07. FIGHTING FISTS, ANGRY SOUL
08. The Gift
09. SHY BOY
10. NOTHING
11. MY HEART FEELS SO FREE
12. Pacific Sun
13. I'M A RAT
14. ANOTHER STARTING LINE
15. Moon
16. STAY GOLD
17. GROWING UP
<アンコール>
18. DEAR MY FRIEND
19. Happy Christmas (War Is Over)
<ダブルアンコール>
20. CALIFORNIA DREAMIN'
21. MAKING THE ROAD BLUES
公演情報
Hi-STANDARD「Screaming Newborn Baby Tour」
2026年1月12日(月・祝)新潟県 朱鷺メッセ・新潟コンベンションセンター
<出演者>
Hi-STANDARD
2026年1月28日(水)北海道 Zepp Sapporo(※追加公演)
<出演者>
Hi-STANDARD
2026年2月20日(金)大阪府 大阪城ホール
<出演者>
Hi-STANDARD
2026年3月3日(火)福岡県 DRUM LOGOS
<出演者>
Hi-STANDARD / ENTH
2026年3月5日(木)愛知県 DIAMOND HALL
<出演者>
Hi-STANDARD / SHANK
2026年3月11日(水)宮城県 SENDAI GIGS
<出演者>
Hi-STANDARD / HONEST
2026年3月30日(月)沖縄県 ミュージックタウン音市場(※追加公演)
<出演者>
Hi-STANDARD
2026年4月8日(水)東京都 Spotify O-EAST
<出演者>
Hi-STANDARD / KUZIRA
2026年4月19日(日)神奈川県 Kアリーナ横浜
<出演者>
Hi-STANDARD
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JoeMilly @JoeMilly_
@natalie_mu 新代田FEVERでの産声…セットリストも気になるし、ライブ行きたかった〜!次の公演も楽しみです🎸