2010年にスタートした毎年恒例の大型ライブ「ももいろクリスマス」。通算15回目の開催となった今年の「ももクリ」では、「宇宙旅行」をテーマにしたストーリーに沿ってライブが展開された。ももクロは“銀河遊覧船スターダスト・モノノフ号”に乗り、AIロボットのアイちゃんのサポートを受けながら宇宙の旅へ。そして“ワープスタンド”を通り、宇宙空間のさまざまなステージに舞台にパフォーマンスを届けた。この記事では2日間の公演のうち、DAY2の模様をレポートする。
会場に広がる非日常的で情報量の多い世界観
ライブのコンセプトを伝えるオープニング映像を経て、スモークが漂うステージに姿を見せたももクロ。メンバーカラーを取り入れていない、宇宙船の乗組員をイメージした新衣装を着こなした4人はウインターソング「今宵、ライブの下で」で公演の幕を開けた。夢幻的な宇宙空間を映し出す巨大なスクリーン、リフトアップするステージセット、場内を交差する色とりどりのレーザー照明、そして開演早々から一体感を伴ってこだまするモノノフ(ももクロファンの呼称)によるコール。それらがももクロの歌とダンスを彩り、非日常的な空間を生み出した。
さらにライブで披露される機会の少ないレア曲「Wee-Tee-Wee-Tee」や、ガンダムアーケードカードゲーム「機動戦士ガンダム アーセナルベース FORSQUAD」の主題歌「Event Horizon」など、公演の世界観にマッチした選曲でパフォーマンスが進行していく。今回の「ももクリ」はペンライトの制御演出を取り入れたのもトピックの1つで、観客も鮮やかな演出の一部に。さいたまスーパーアリーナの広大な空間がより一層の高揚感に包まれた。
最新シングル「Event Horizon」の収録曲「Cosmic Commotion 」は今回の「ももクリ」がライブ初披露。「ももクリ」で毎回披露されているお決まりのクリスマスソング「サンタさん -ZZ ver.-」ではメンバーがトロッコに乗り、笑顔で手を振りながらアリーナを周回した。この曲は「れにちゃんのぉ↑↑ ちょっといいとこ 見てみたい!」という煽りを受け、高城れにが曲中にマジックなどを披露するのがおなじみ。高城はAIのアイちゃんの力を借りてマジックを成功させるも、アイちゃんが水に浸ってしまうハプニングが発生したことで、曲が終わったあとに“エラー”が起きてしまう。そして何体もの恐竜がアリーナに姿を現し、ライブ会場がカオスな空間に変貌した。恐竜が唸り声を上げながら闊歩する中、ももクロは「夢の浮世に咲いてみな」を力強く歌唱。「サラバ、愛しき悲しみたちよ」ではスクリーンにこの曲を提供した布袋寅泰のAI映像が投影されたり、炎が噴き上がったりと情報量の多いステージが繰り広げられた。
8分を超える「idola」から「overture」へ
チビノフ(子供のモノノフ)に呼びかけたのを皮切りに、10代から80代まで年代別に客席を煽り、老若男女に愛されているグループであることを再認識したももクロ。その後、彼女たちはAIのアイちゃんをドライヤーで乾かして復活させるも、アイちゃんの様子がどこかおかしい。そして予定の航路を大きく外れてしまった宇宙の旅は、続いて春夏秋冬の風景が折り重なり合う神秘的な空間へ。アイちゃんが「ももいろクローバーZは過去も現在も未来も人々を笑顔にするために集い、何度でも立ち上がるのです。あなたたちはアイドルという名の英雄であり、神になるべく生まれた存在なのだから。そして、モノノフの皆さんはこれから私がご用意した特別な儀式が行われることを4人には秘密にしてください。皆さんも儀式の参加者。やることは簡単です。彼女たちを愛する気持ちをただ祈るだけ」 というメッセージを残したのち、スクリーンに映し出されたのは、2024年5月にリリースされ、ラテン語で「偶像」という意味を持つ言葉をタイトルに冠した最新アルバム「イドラ」のビジュアルだ。ももクロはこのアルバムのリード曲「Heroes」を披露したのち、ピアノの音色が印象的なウインターバラード「きみゆき」「白い風」をセンターステージで歌唱。「白い風」でははかない歌声を響かせる4人を無数のシャボン玉が包み、その壮麗な光景に会場中が目を奪われた。
次に披露されたのはアルバム「イドラ」のラストを飾る楽曲で、8分を超える壮大なナンバー「idola」。ライブで歌われるのは楽曲の発表以降、これが初めてだ。この曲からバックバンド・DMB(ダウンタウンももクロバンド)がステージ後方に登場。幻想的な純白のマントで身を包んだももクロは、バイオリンも織り交ぜた強靭で迫力あふれる演奏を味方に、神々しささえ感じられるパフォーマンスを繰り広げてモノノフを圧倒した。曲中、4人はマントを脱ぎ去り、メンバーカラーの衣装へチェンジ。 “ODYSSEY”を経て英雄からイドラ(偶像)へと昇華していく物語が表現された。
ももクロが唯一無二のアイドルであることが改めて示されたところで、場内に響き始めたのは「overture ~ももいろクローバーZ参上!!~」。いつもは開演時に出囃子として流れる「overture」が公演のクライマックスに生演奏で届けられ、モノノフによる渾然一体となった声援とともにライブを次なるフェーズへと導く。そしてアイドルシーンにおいて渾然と輝くアンセム「行くぜっ!怪盗少女 -ZZ ver.-」が披露されると、会場全体のテンションが爆発的に上昇した。
さらに4人はアッパーチューン「CONTRADICTION」や大森元貴(Mrs. GREEN APPLE)の提供曲「レナセールセレナーデ」を畳みかけるように披露。シングル「Event Horizon」の収録曲で、これまた今回の「ももクリ」が初披露となった「可視光線」を経て、「月と銀紙飛行船」で優しい歌声を響かせる。彼女たちは「私たちとのODYSSEY、楽しんでくれましたか? 15回目のももクリ、そんな節目を皆さんと過ごせてとってもうれしいです」 「2026年も私たちと一緒に過ごしてくれますか? みんないつもありがとう。大好きだよ。メリークリスマス!」 と柔らかな笑顔で呼びかけ、たおやかなバイオリンの音色とともに“宇宙旅行クリスマス” がフィナーレを迎えたことを告げた。
2026年の活動を続々発表
コンセプチュアルなライブが展開された公演本編から一転、アンコールではももクロの自然体な姿が際立つ。トロッコに乗って「L.O.V.E」などをはつらつと歌った4人は、MCに入ると2026年のライブ活動の予定を次々に発表。ライブ映像を映画館で上映する「ももクロイマーシブ映画祭『Momoclo Cinematize!!!!』」が2、3月に実施されること、5月3日に東京・東京体育館で結成18周年記念イベント「東京ももクロランド」が開催されること、新イベント「秋の桃神祭」の開催地を全国の自治体から募集すること、2026年11月と12月にクリスマスツアーが行われること、2026年の「ももいろ歌合戦」の会場が東京・有明アリーナであることがアナウンスされた。なお、クリスマスツアーのファイナルは12月12、13日に東京・SGC HALL ARIAKEで開催される。
その後、ももクロは人生におけるかけがえのない出会いや、応援してくれる人への感謝を込めた楽曲「いちごいちえ」を歌唱。せり上がるセンターステージの上で笑顔を弾けさせ、モノノフの歓声を全身で浴びた。最後、ライブは心温まるナンバー「モノクロデッサン -ZZ ver.-」で大団円へ。無邪気にステージを駆け回る4人の姿に優しい笑いが起き、会場が心地よい幸福感で満たされた。
なお、「ももクリ2025」DAY2公演の模様はライブ配信サービス「360 Reality Audio Live アプリ」にて有料生配信された。1月17日18:00からはアーカイブ配信が行われる。さらにこの日のライブの模様が2月にWOWOWで放送・配信されることも決定した。WOWOWでは映像と音声をブラッシュアップし、メンバーのインタビューも加えたスペシャルエディションが届けられる。
セットリスト
ももいろクローバーZ「Momoiro Christmas 2025 ODYSSEY」2025年12月21日 さいたまスーパーアリーナ
01. 今宵、ライブの下で
02. Wee-Tee-Wee-Tee
03. MOON PRIDE
04. Event Horizon
05. Cosmic Commotion
06. サンタさん -ZZ ver.-
07. 夢の浮世に咲いてみな
08. MYSTERION
09. サラバ、愛しき悲しみたちよ
10. Heroes
11. 月色Chainon
12. きみゆき
13. 白い風
14. idola
15. 行くぜっ!怪盗少女 -ZZ ver.-
16. CONTRADICTION
17. SECRET LOVE STORY
18. レナセールセレナーデ
19. 可視光線
20. 月と銀紙飛行船
<アンコール>
21. L.O.V.E
22. 泣いちゃいそう冬
23. いちごいちえ
24. モノクロデッサン -ZZ ver.-
今後の公演情報
ももいろクローバーZ 結成18周年記念イベント「東京ももクロランド」
2026年5月3日(日・祝)東京都 東京体育館
クリスマスツアー ファイナル
2026年12月12日(土)東京都 SGC HALL ARIAKE
2026年12月13日(日)東京都 SGC HALL ARIAKE
関連人物
Jayant paraste01 @JayantParaste01
@natalie_mu ももクリで宇宙旅行はスケールでかすぎる🪐
「idola」初披露に「overture」締めとか、モノノフ大優勝のセトリじゃん…
写真も含めて最高のライブだったの伝わってくる👏