ロンドン帰りの細野晴臣、東京キネマ倶楽部で届けた現在進行形のサウンド

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細野晴臣がワンマンライブ「Haruomi Hosono - I’m back from London!」を9月4日に東京・東京キネマ倶楽部で開催した。

細野晴臣「Haruomi Hosono - I’m back from London!」の様子。

細野晴臣「Haruomi Hosono - I’m back from London!」の様子。

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7月にイギリス・Royal Festival Hallにてライブを行った細野。昨今の海外人気を物語るように同公演は瞬時にソールドアウトを記録、会場には満員の観客が詰めかけた。「Haruomi Hosono - I’m back from London!」はその熱気を日本へ“フィードバック”するべく開催されたもの。イギリス公演同様、原田郁子クラムボン)と角銅真実によるユニット・くくく、Chappo、ドラマーの海老原颯が細野の演奏をバックアップ。齢78にして進化を続ける最新型の細野サウンドが届けられた。

くくくのセッションでスタート

水原佑果

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オープニングDJを務めたのは、細野と親交があるモデル / アーティストの水原佑果。ブギウギ、エキゾチカ、アンビエントなど絶妙な選曲が、細野ファンの心をくすぐる。定刻になると、ステージ下手のバルコニーから原田と角銅が登場。2人はステージに降り、持ち場に着くと、マイクを通して深呼吸のように、かすかな吐息を重ね、セッションをスタートさせる。やがて、それぞれが奏でるエレキピアノの柔らかな音色が響きわたり、原田と角銅は「三時の子守唄」「HONEY MOON」「HURRICANE DOROTHY」の一節を交互に歌唱。2人の歌声が、波間を漂うようにして、ゆっくりと広がっていった。

古色蒼然としたキネマ倶楽部に響く味わい深い歌声

細野晴臣

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くくく(原田郁子、角銅真実)

くくく(原田郁子、角銅真実)[拡大]

SEの「Daisy Bell(Bicycle Built For Two)」が鳴り響く中、バルコニーから細野が姿を現すと盛大な拍手と歓声が沸き起こる。細野はゆっくりとステージに歩を進めると、フロアを見渡し、「ちょっと涼しくなったと思ったら、今日はまた暑いね」と一言。ギターを手に取ると、くくくをバックに「Aayurveda」を演奏し、古色蒼然としたキネマ倶楽部に味わい深い歌声を響かせた。続く「Retort」では細野の孫であるChappoのベーシスト・悠太がステージに合流。細野の「孫です」という簡潔な紹介に会場が和む。「みんな出てきてよ」という呼び込みでChappoのギタリスト福原音、ドラマーの海老原颯がステージに登場。ノスタルジックな「香港Blues」、角銅のリズミカルなパーカッションで軽快にスタートした「北京ダック」を演奏して、エキゾかつトロピカルなムードで場内を満たした。

難曲「PLEOCENE」の演奏にトライ

細野晴臣「Haruomi Hosono - I’m back from London!」の様子。

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Chappo

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「ここから先、難しいことできるかな?」という細野の言葉でスタートした「薔薇と野獣」では、バンドがタイトかつ熱のこもった演奏で楽曲の根底に流れるファンクネスを表現。「次の曲がさらに難しい」という言葉に、福原が「(休憩の)スモーキングタイムにします?」と提案するも、細野は「あと20~30曲やったらね(笑)」とジョークで返し、「PLEOCENE」に。メンバーは互いの呼吸を慎重に合わせるようにして緊張感あふれる演奏を展開、原田と角銅の美麗なコーラスをフィーチャーした繊細かつ幻想的なサウンドを作り上げた。ニューオーリンズ風味の泥臭いアレンジが施された「AIWOIWAIAOU」で観客をディープな音の沼にズブズブと引き込んだ細野は、続けて海老原が叩き出すタイトなビートからYMOの「The Madmen」をスタイリッシュにプレイ。ここで細野とくくくが一旦ステージから離れ、Chappoのコーナーへ。セカンドラインのリズムからなる「ATOH」に続けて、Chappoはマーティン・デニーの「SAKEROCK」を演奏し、そこから徐々にテンポアップしてYMOバージョンの「FIRECRACKER」に移行する。楽曲の途中でステージに戻ってきた細野は、Chappoの演奏にしばし興味深そうに見入っていた。ドラムロールに合わせて茶目っ気たっぷりにハットをかぶり直して喝采を浴びた細野は、続けて「Sports Men」「BODY SNATCHERS」をカントリーロック調のアレンジでプレイ。疾走感あふれる演奏で会場を盛り上げて本編を終えた。

Vampire Weekend「2021」に注がれた新たな息吹

「Haruomi Hosono - I’m back from London!」出演者一同

「Haruomi Hosono - I’m back from London!」出演者一同[拡大]

アンコールでは、オープニング同様、原田と角銅が登場。ヴィブラフォンとキーボードによる静かなセッションを経て、「花に水」のフレーズが奏でられると、細野とChappoがステージに合流する。最後に届けられたのは「花に水」の音源をサンプリングしたVampire Weekend「2021」のカバー「Watering Flower」。細野は「2021」というフレーズを「2025」に歌い替え、また楽曲の中盤では日本語詞を披露するなど、原曲に新たな息吹を注ぎ込んだ。演奏が終わり、まどろみの中にいるような心地いい余韻が広がる中、細野は穏やかな表情で「ありがとうございます」と客席に一礼し、ステージをあとにした。

セットリスト

細野晴臣「Haruomi Hosono - I’m back from London!」2025年9月4日 東京キネマ倶楽

01. 三時の子守唄~HONEY MOON~HURRICANE DOROTHY (くくく)
02. Aayurveda
03. Retort
04. 香港Blues
05. 北京ダック
06. 薔薇と野獣
07. PLEOCENE
08. AIWOIWAIAOU
09. The Madmen
10. ATOH(Chappo)
11. SAKEROCK~FIRECRACKER(Chappo)
12. Sports Men
13. BODY SNATCHERS
<アンコール>
14. Watering Flower

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細野晴臣 Haruomi Hosono _information @hosonoharuomi_

【ライブレポート】ロンドン帰りの細野晴臣、東京キネマ倶楽部で届けた現在進行形のサウンド https://t.co/m84EFvq6SI https://t.co/DroE2jCLio

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