歌って踊る、原点回帰の「again」
2022年末に12年在籍した
満員の渋谷CLUB QUATTROは異常な熱気にあふれ、観客は主役の登場を待ちわびる。薄暗いステージに橋本と香取真人(G)がスタンバイし、ミステリアスなシンセの音色がフロアに充満すると、その熱気は一段と高まった。大歓声の中、ダンサーの岡本麻海、小勝日南子とともに登場した柏木は「Take your original」を歌い始める。この曲は、柏木がえびちゅう在籍時に行ったソロライブ「over the moon」のために制作されたオリジナルソング。グループ卒業後、この曲が日の目を見ることはなかったが、このツアーより正式に柏木のレパートリーに加えられたという。予想外の“again”でライブの幕を開けた柏木はそのまま、歌謡曲のようなメロディの「Unhappy Sky」、川谷絵音(indigo la End、ゲスの極み乙女、ジェニーハイ、ichikoro、礼賛)プロデュースのダンスナンバー「踊りましょ」と3曲を連続でパフォーマンス。長い髪を振り乱して踊りながらも、低音から高音まで自由自在に歌いこなす高い歌唱力で観る者を圧倒した。
柏木はひたすらダンスで魅せるのみならず、「夏目友人帳 漆」のオープニングテーマ「Alca」や2nd EP「piece of me」収録曲「Garden」、1st EP「ここから。」収録曲「next to you」といったバラードでは、ピアノやアコースティックギターの音色をバックにじっくりと歌を聴かせる。また、このツアーのために用意された新曲「otoshimono」では穏やかなビートに乗せて観客もハンドクラップを合わせ、フロアに心地よいグルーヴが渦巻いた。
新曲の作者、安本彩花がサプライズ登場!
まもなく芸能活動15周年を迎える柏木は、そのうち多くの時間を過ごしたえびちゅう時代を振り返る。「私にとっては12年過ごしてきたというのはすごく大事なことで。過去があって今があって、また未来が見える。次のブロックは、私の歴史を感じてもらえたら」と話すと、長年のファンには聴き覚えのある、しかし意外なイントロが流れ始めた。えびちゅうの「I'll be here」だ。この曲は柏木をフィーチャーしたナンバーで、彼女が歌割の多くを占めていた。当時から歌唱力の高さに定評のあった柏木のポテンシャルを遺憾なく発揮した楽曲として人気を博してきたが、彼女がこの曲を歌うのは当然ながら2022年12月16日の卒業公演以来。大きなどよめきの中、柏木はよりディープにアレンジされた「I'll be here」を、当時のままのダンスを交えて歌い上げた。続けて柏木はソロアーティストとしての始まりの曲「From Bow To Toe」、1人で歩んでいくことへの葛藤を描いた「感情線」を披露。彼女はこの3曲を並べて歌うことに特別な思いを持っていたという。
ライブ終盤のブロックでは「エキストラガール」「しゃるうぃーだんす」「サンタサンタサンタ」「BLOOM」と、まさに「歌って踊れる」4曲が披露された。このうち新曲の「しゃるうぃーだんす」は、えびちゅう時代の盟友・安本彩花が柏木のために書き下ろした楽曲だ。ダンサブルな4曲が続き、柏木がステージを去るも興奮の収まらない観客はアンコールを要求。再び登場した柏木はここでもう1曲、安本からプレゼントされた新曲「大好きで大嫌い」を披露した。前週の愛知・大阪公演に足を運んだファンの間ではすでに大きな話題となっていたが、この曲の歌詞は普段の柏木なら照れてしまうようなキュートな内容。1コーラスですでに大歓声が上がっていたが、2コーラス目に作者である安本がスペシャルゲストとして現れると、フロアはさらに大騒ぎ。ひさびさにハーモニーを重ねる2人の歌声に、思わず涙する観客も続出した。
あの日ステージで交わした約束が早くも実現
初の楽曲提供が親友・戦友である柏木の楽曲で実現したことに、安本は「初めてがひなたで本当にうれしい」と大喜び。同学年であり、ともに切磋琢磨を重ねてきた2人は、柏木のえびちゅう卒業公演のステージで抱き合いながら、マイクを通さず、お互いの耳元で「それぞれの道に進むけどいつか一緒に音楽を作りたい」と約束を交わしていた。「まさかこんな早く叶うことになるなんて!」と驚きつつも、安本は「自信を持って『この曲をひなたが歌ったら最高!』と思える曲が生まれた」「自分でもびっくり仰天なんだけど、楽曲提供の話をもらったその日の帰り道に歌詞とメロディが浮かんだ」「15年一緒にいてさ、特に同い年でさ、いろんなことを一緒に経験してきてさ、いろんな思いがあるわけじゃん。そういう人に何かを贈るとなると、自分のための曲よりも制作意欲が湧いてくる。『こんなに私、ひなたのことが好きなんだな』ってびっくりした」と制作の裏側を明かし、柏木が照れてしまうようなキュートなラブソングを作ったことへのファンからの感謝と称賛の声を浴びた。
ひさびさにステージ上で仲睦まじいトークを繰り広げたのち、安本を送り出した柏木はさらにもう1曲、パンキッシュなナンバー「Culmination」を披露したが、ここでもまさかのサプライズが。えびちゅうのライブにおけるキラーチューン「HOT UP!!!」がマッシュアップ形式で挟み込まれ、柏木はこれまた卒業公演以来となる「HOT UP!!!」を熱唱。完全燃焼した柏木は改めてバンドメンバーとダンサーを紹介し、深々と頭を下げた。「楽しかった!」と無邪気な笑顔で叫んだ柏木は、この日披露された安本の提供曲2曲が本日8月27日に配信リリースされること、「大好きで大嫌い」のミュージックビデオが同日21時に公開されること、そして2026年1月31日に東京・EX THEATER ROPPONGIでワンマンライブ「HINATA KASHIWAGI one man live 2026『on fire』」の開催が決定したことをアナウンス。大喜びする観客との再会を誓い、目に涙を浮かべながら「みんなの『楽しかった』が聞けてうれしいし、よりいいものを作れるようにがんばりたいと思います」と力強い言葉を残してステージをあとにした。
柏木ひなた「大好きで大嫌い」Music Video
セットリスト
柏木ひなた「HINATA KASHIWAGI · one man live tour 2025『again』」2025年8月26日 渋谷CLUB QUATTRO
01. Take your original
02. Unhappy Sky
03. 踊りましょ
04. Alca
05. Garden
06. next to you
07. otoshimono
08. I'll be here
09. From Bow To Toe
10. 感情線
11. エキストラガール
12. しゃるういーだんす
13. サンタサンタサンタ
14. BLOOM
<アンコール>
15. 大好きで大嫌い
16. Culmination~HOT UP!!!(mash up mix)
公演情報
柏木ひなた「HINATA KASHIWAGI one man live 2026『on fire』」
2026年1月31日(土)東京都 EX THEATER ROPPONGI
柏木ひなた @_hi_99_na_
いつも素敵な写真とレポート
有難うございます😭🔥 https://t.co/NFUVqbg9sH