日本を代表するラッパーであり、自分の置かれた境遇や心情をストレートに表現するリリックで支持を集めてきたZORNとZeebra。番組では、2人が遠くに感じる“戦争”を“我がこと”に引き寄せるために新たな楽曲制作に挑んだ。
ZORNがNujabesのトラックでラップ
地元である東京・葛飾での暮らしや、父として3人の娘を育てる日々など、等身大で身近なテーマをリリックに紡いできたZORN。今回、彼は80年前に地元で起きた東京大空襲、そして戦災孤児となってしまった人々に強い関心を持ち、当事者の体験談を歌詞にする楽曲の制作に乗り出した。当事者が年々減少し、“記憶の継承”が課題となる中、戦争を体験した人々の「声なき声」を未来につなぐことがヒップホップアーティストとしての自分の役割だとZORNは語る。
彼がトラックとして使用したのは、2010年に他界したプロデューサー・Nujabesの楽曲。Nujabesの遺族の了承を得て、そのトラックに日本語のラップが乗せられることとなった。
ZORN コメント
HIPHOPはそもそも「声なき声」を拾い上げてきた音楽。
80年前の戦争を体験された方がどんどん少なくなっていくなかで、誰かが今伝えないと、それが無かったことのようになってしまうような“声”。
その声を自分も語り継いでいければという思いで、曲を制作した。
Zeebraがパレスチナ、ウクライナのラッパーとコラボ
キングギドラのフロントマンとして1995年にデビューしたZeebra。日本のヒップホップの概念を根底から覆すライミング、フロウ、トラックメイキングに加え、社会的・政治的なメッセージを強く打ち出したリリックで旋風を巻き起こしてきた。
今回、彼は「同じ時代を生きる者として、現代の戦争に向き合いたい」との思いから、パレスチナ、ウクライナのラッパーとコラボし、楽曲を制作。リアルタイムで戦火を生きるラッパーが“戦争によって何を奪われたのか?”を歌に込め、人々が置かれた現実を可視化する。
Zeebra コメント
戦火に生きる各国のラッパーたちと交流して、
彼らの濃い経験や実情をとにかく吐露してもらいたいと考えながら、曲作りに挑んだ。
曲を聴いた一人一人が、“戦争”を自分事として捉えられるきっかけになれば。
そして、明日の戦争を一つでも少なくすることにつながってくれたらなと思う。
NHK総合「NHKスペシャル『戦火の時代に紡ぐ歌 PASS THE MIC』」
2025年8月18日(月)22:45~23:34
菊地夢叶 @YUDETAMAGO_812
Nujabes × ZORN
半端ないぞこれ https://t.co/r8PL26lClW