SIRUPが6月から7月にかけて全国8カ所を巡ったこのツアー。タイトル「NEXT LIFE」には、9月3日にリリースされる3rdアルバム「OWARI DIARY」で一旦“区切り”をつけて次のステージへ向かうという意味が込められている。彼は本ツアーにて、リリースに先駆けて「OWARI DIARY」の収録曲を披露し、さらにヒット曲や人気曲も届けるという挑戦的な構成のライブを繰り広げた。なおファイナル公演ではU-NEXTでの生配信も行われた。
“新曲祭り”で人生をシェア
ステージに作られたのは、高層ビル群を背にした、とある街角の混沌とした風景。道路標識やガードレール、ゴミ捨て場などの中央で、柱がぐにゃりと曲がった信号機がとりわけ目を引く。そんな舞台で井上惇志(Key /
「新曲祭り、いきまっせー!」と宣言したSIRUPはライブ前半に「OWARI DIARY」の収録曲を連発。「踊れますか? ルールなんてない!」と観客を焚き付け、自身の最新の世界へ観客を誘う。ダンスチューン「UNDERCOVER feat. Ayumu Imazu」ではトークボックスが独特のノリを生み出し、情熱的な「CHEESE CAKE feat. Zion.T」ではサックスソロが会場を盛大に沸かせた。軽快なビートの幸福感あふれるナンバー「PARADISE」のあとには、「このまま“HEAVEN”まで行きましょう」とSIRUPが言い放ち「OUR HEAVEN feat. Daichi Yamamoto」のパフォーマンスへ。強烈な重低音とクールなラップからの高揚を誘う展開に、ライブハウスがダンスホールと化す。ステージ中央の信号機は楽曲の世界観に染まり、カラフルに点滅したり、歌詞を映し出したりした。
“新曲祭り”の終盤に差しかかった頃、SIRUPは「俺の“DIARY”を、どんな人生を送ってきたかをみんなにシェアしつつ、ストーリー仕立てでお届けしていますが、どうですか?」と観客に語りかけ大きな拍手を浴びる。「皆さんにもいろんな人生があるわけですけど、共感できるところも少しはあるでしょう。一緒に歌えたら歌って、歌えなくてもイエーイ!とか言ってくれればいいから」と自由に楽しんでもらうよう強調した。その後、「RENDEZVOUS feat. hard life」で失恋の感傷を漂わせ、ステージの中央で自転車を漕いだSIRUP。その哀愁をたたえたまま彼は「TOMORROW」を歌唱し、夕焼け色に染まった街へと姿をくらました。
ライブは俺にとって酸素。みんなにとっても?
新曲ブロックに区切りを付け、ミラーボールの光を受けながら再登場したSIRUPは「Superpower」でエネルギッシュにライブ後半を開始。会場の全員でグルーヴを作り上げる「BE THE GROOVE」では「華金やで? 踊らな!」と自由なダンスの手本を見せるようにステージ上を飛び回り、さらに「Need You Bad」「Overnight」でひたすら心地いい空間を構築した。バンドアレンジが鮮やかな「Rain」に続いては、SIRUPが「雨が降って水が溜まりましたね。言うて!」とおどけながら人気ナンバー「Pool」へとつなぎフロアを揺さぶる。「Journey」では、参議院議員選挙の投開票日を目前に控えたタイミングということで「投票に行こうな! 差別に加担するなよ!」と楽曲のメッセージになぞらえて呼びかけるひと幕もあった。
「みんな貴重な時間とお金を使って来てくれてめっちゃうれしいです。いつも言ってるけど、お金は時間の圧縮だと思うので。本当にありがとうございます」とファンへ感謝の思いを伝えたSIRUPは、「僕は政治的な発信をたくさんしていますが、フォロワーが全然減らないし、今日もこの通りパンパンです! これは希望だと思います」とチケットが完売し満員となった会場を見渡す。さらに「思想の違いがあってもいいんですよ。やっぱりライブはコミュニケーションで、エネルギーをもらえますね。この空間をセーフゾーンとして守りたい」とライブへの思いを語ったSIRUPは、「ライブは俺にとって酸素。みんなにとっても?」と観客に問いかけ「酸素ー!」のレスポンスを引き出した。
音楽が鳴っている限りは大丈夫
軽妙なトークののち、アコースティックギターの弾き語りで披露されたのはヒットナンバー「LOOP」。ロマンチックなこの曲が素朴な音色によって親密な空気をまとい、聴衆を酔いしれさせる。ラストのサビでは観客とSIRUPがアカペラで一緒に歌唱。そこにグルーヴィなバンド演奏が合流すると、場内に感動的なムードが充満した。その後「SWIM」でライブにラストスパートをかけ、「GO!!」「Do Well」というアッパーなライブチューンで観客を飛び跳ねさせたSIRUP。「サイコーですね!」と充実感を弾けさせた彼は「混沌とした社会ですが、こういう場所があって、音楽が鳴っている限りは大丈夫。みんなが来てくれるから鳴らせるんです。これからも仲よくやっていきましょう」とメッセージを送った。ラストを飾ったのは「OWARI DIARY」より新曲「今夜」。「“今”に集中できる、そんな一夜一夜を守っていきたい」という思いを込めたこの曲を歌い上げたSIRUPは、手を振りながら退場する。バンドメンバーも去ったステージでは、「ここから進んでいく」という意思を示すかのように、信号機が青色に点灯した。
アンコールにてSIRUPは、9月14日に神奈川・横浜BUNTAIで行うデビュー8周年記念ライブ「SIRUP 8th Anniversary Live 『DIARY』」のゲストアーティストを発表。「来年もツアーをやりたいと思っています。また会いたいです。次会えるのはBUNTAI。全員来てください!」と呼びかけた。そして再会を誓う「See You Again」が披露され、ピースフルなムードの中「NEXT LIFE TOUR 2025」は締めくくられた。
本公演の模様はU-NEXTで8月1日まで見逃し配信されている。「SIRUP 8th Anniversary Live 『DIARY』」のチケットのオフィシャル2次先行抽選予約受付は7月29日まで。
セットリスト
SIRUP「NEXT LIFE TOUR 2025」2025年7月18日 Zepp DiverCity(TOKYO)
01. GAME OVER
02. LOCATION
03. UNDERCOVER feat. Ayumu Imazu
04. CHEESE CAKE feat. Zion.T
05. PARADISE
06. OUR HEAVEN feat. Daichi Yamamoto
07. INTO YOU
08. RENDEZVOUS feat. hard life
09. TOMORROW
10. Superpower
11. BE THE GROOVE
12. Need You Bad
13. Overnight
14. Rain
15. Pool
16. Journey
17. No Stress
18. LOOP
19. SWIM
20. GO!!
21. Do Well
22. 今夜
<アンコール>
23. See You Again
公演情報
SIRUP 8th Anniversary Live 「DIARY」
2025年9月14日(日)神奈川県 横浜BUNTAI
<出演者>
SIRUP
客演:Daichi Yamamoto / iri / showmore / TENDRE / WILYWNKA / YonYon(※アルファベット順)
選挙ステッカー @senkyosticker
SIRUP「投票に行こうな! 差別に加担するなよ!」「僕は政治的な発信をたくさんしていますが、フォロワーが全然減らないし、今日もこの通りパンパンです! これは希望だと思います」
【ライブレポート】SIRUPが“新曲祭り”で人生をシェア、そして次のステージへ https://t.co/6H3lp8KuQw