「やっぱり晴れがいいね」THE BACK HORN、ファンと夕焼けを目撃した日比谷野音ワンマン

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THE BACK HORNが「『KYO-MEIワンマンライブ』~第五回夕焼け目撃者~」を昨日7月28日に東京・日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)で開催した。

THE BACK HORN(Photo by RUI HASHIMOTO [SOUND SHOOTER])

THE BACK HORN(Photo by RUI HASHIMOTO [SOUND SHOOTER])

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3度目の正直で晴れに

菅波栄純(G)(Photo by RUI HASHIMOTO [SOUND SHOOTER])

菅波栄純(G)(Photo by RUI HASHIMOTO [SOUND SHOOTER])[拡大]

前回、前々回は荒天に見舞われ、“伝説の野音”としてファンの間で語り継がれている「夕焼け目撃者」。第5回となるこの日の降水確率は40~50%で、ここ最近ゲリラ豪雨が頻発していることを考えると予断を許さない状況だったが、開演時刻には薄い雲がかかったほどよい夏空が広がっていた。ステージに登場した山田将司(Vo)も「雨降ってないな」と確認してからライブはスタート。夏らしくレゲエ調の「甦る陽」でゆったりと口火を切った彼らは、菅波栄純(G)の瑞々しいギターサウンドがこれまた夏らしさを感じさせる「光の結晶」で一気にギアを上げる。続く「希望を鳴らせ」では松田晋二(Dr)が刻むタイトなビートの上で観客の「希望を鳴らせ」の合唱が響き渡った。

松田晋二(Dr)(Photo by RUI HASHIMOTO [SOUND SHOOTER])

松田晋二(Dr)(Photo by RUI HASHIMOTO [SOUND SHOOTER])[拡大]

MCで松田は「過去2回がけっこうな雨で、それはそれで伝説になったけど、やっぱり野音は晴れがいいですね。3度目の正直ということで、神様も晴れにしてくれたんじゃないかと」と顔を綻ばせる。そして「26年目、今日しかないセットリストを持ってきたので、蝉のサラウンドに包まれながらTHE BACK HORNを鳴らしていきたいと思います!」と語ってから始まったのは「8月の秘密」。この曲では「せみの声が えいえん鳴り止まない」という歌詞の通り、会場付近から降り注ぐ蝉時雨も楽曲の一部かのような演出でオーディエンスを魅了した。

新曲2曲を含む濃密な展開

バックドロップは菅波と岡峰が描いたもの。(Photo by RUI HASHIMOTO [SOUND SHOOTER])

バックドロップは菅波と岡峰が描いたもの。(Photo by RUI HASHIMOTO [SOUND SHOOTER])[拡大]

ライブ中盤はTHE BACK HORNのダークサイドとも言うべき楽曲を詰め込んだ展開に。4人はまず、3月の神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホール公演での映像演出も記憶に新しい「コワレモノ」で「神様だらけの」「スナック」のコール&レスポンスを繰り広げ、続いて7月31日にリリースされる新曲「ジャンクワーカー」をお披露目。THE BACK HORNは7月から10月にかけて“光と影”をコンセプトにしたシングルを4作品発表することをアナウンスしており、「ジャンクワーカー」は“影”を描いた2曲目にあたる。このお経のようなラップとグランジサウンドを行き来する新機軸の楽曲で観客を圧倒したかと思えば、7月頭にリリースされた“影”がテーマの第1弾楽曲「修羅場」ではすでにたくさん聴き込んできたオーディエンスが完璧なクラップでバンドと一緒に曲を盛り上げる。この濃密すぎるブロックはバンドの初期を代表する“カオス曲”「墓石フィーバー」で締めくくられた。

山田将司(Vo)(Photo by RUI HASHIMOTO [SOUND SHOOTER])

山田将司(Vo)(Photo by RUI HASHIMOTO [SOUND SHOOTER])[拡大]

山田もエレキギターを奏でながら厚みのあるサウンドで「夢の花」「夢路」を届けたあとは「夏草の揺れる丘」へ。この頃にはちょうど日の入り時刻になっており、ステージがオレンジの照明で照らされ、まるで夕焼け空のような景色が広がる。曲が終わると山田は空を見上げ、「(ビルで見えにくいけど)空がオレンジになってるね。これは夕焼けを目撃できていると言えるんじゃないかな」とファンに語りかけた。

光が当たるからこそできる影を歌う

岡峰光舟(B)(Photo by RUI HASHIMOTO [SOUND SHOOTER])

岡峰光舟(B)(Photo by RUI HASHIMOTO [SOUND SHOOTER])[拡大]

その後、ライブは「ブラックホールバースデイ」でラストスパートに突入。松田がタムを多用した土着的なリズムを刻み、菅波のノイジーなギターと岡峰光舟(B)のスペーシーなベースが観客をディープな世界へと引きずり込む。ライブのセットリストに組み込まれるのは珍しい「真夜中のライオン」で山田が雄叫びのようなロングシャウトを響かせれば、「シンフォニア」では盤石のアンサンブルで客席のクラップとオイコールを誘発する。そして岡峰の幻想的なベースから「太陽の花」がドロップされ、場内の熱気は最高潮を迎えた。

「THE BACK HORN『KYO-MEIワンマンライブ』~第五回夕焼け目撃者~」の様子。(Photo by RUI HASHIMOTO [SOUND SHOOTER])

「THE BACK HORN『KYO-MEIワンマンライブ』~第五回夕焼け目撃者~」の様子。(Photo by RUI HASHIMOTO [SOUND SHOOTER])[拡大]

ひと息ついて、山田はコンセプトシングルについて語り出す。“光と闇”ではなく“光と影”にした理由について、「闇は自分の中で自然にできてしまうものだけど、影は光が当たるからできるもの。闇に飲まれるんじゃなくて、光が当たるからこそできる影を歌うのがTHE BACK HORNというバンドだと思う」とその意図を説明した。そして本編最後に届けられたのは、2022年発売のアルバム「アントロギア」のラストを飾る「JOY」。コロナ禍を経てバンドが“生きる喜び”を歌った賛歌で、コンセプトシングルではないがまさに“光”のような楽曲だ。日が落ちすっかり暗くなった会場で、ステージから発せられるまばゆい光が観客1人ひとりの顔を照らし、荘厳な景色が広がった。

アンコールでは松田が「第6回もやりたいですね」と期待感を抱かせつつ、2025年初頭に全国3カ所で自主企画「マニアックヘブン」を開催することを発表して「26年目もガンガン行きます!」と力強く宣言。4人は最後に「コバルトブルー」「刃」などアグレッシブなナンバーを叩き込み、大盛り上がりの中でライブの幕を閉じた。

セットリスト

「THE BACK HORN『KYO-MEIワンマンライブ』~第五回夕焼け目撃者~」2024年7月28日 日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)

01. 甦る陽
02. 光の結晶
03. 希望を鳴らせ
04. 8月の秘密
05. 深海魚
06. 生命線
07. コワレモノ
08. ジャンクワーカー
09. がんじがらめ
10. 修羅場
11. 墓石フィーバー
12. 夢の花
13. 夢路
14. 夏草の揺れる丘
15. ブラックホールバースデイ
16. 真夜中のライオン
17. シンフォニア
18. 太陽の花
19. JOY
<アンコール>
20. ヘッドフォンチルドレン
21. コバルトブルー
22. 刃

ライブ情報

マニアックヘブン vol.16

2025年1月10日(金)神奈川県 CLUB CITTA'
2025年1月19日(日)宮城県 Rensa
2025年1月26日(日)福岡県 DRUM Be-1

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橋本塁(サウシュー&STINGRAY&KASVE) @RuiHashimoto

撮影しました!!!
#サウシュー #THEBACKHORN #soundshooter #橋本塁 #ライブ写真 https://t.co/Kt4qNPAj9k

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