THE ORAL CIGARETTES、ライブハウスで示したロックカルチャーの魂をつなぐ意思

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THE ORAL CIGARETTESが3月12日に東京・Zepp Haneda(TOKYO)でライブツアー「東名阪 Zepp TOUR 2024 "MARBLES"」のファイナル公演を開催した。

THE ORAL CIGARETTESのライブの様子。(Photo by Ryotaro Kawashima)

THE ORAL CIGARETTESのライブの様子。(Photo by Ryotaro Kawashima)

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大阪・Zepp Osaka Bayside、愛知・Zepp Nagoya、東京・Zepp Haneda(TOKYO)で各会場2公演ずつ行われたこのツアー。「THE AIN'T RIGHTS」と題された1日目にはファンクラブ会員限定のワンマンライブが、「Lose my Marbles」と名付けられた2日目には対バンライブがそれぞれ行われた。「Lose my Marbles」の大阪公演にはACIDMAN、愛知公演にはストレイテナーが登場。ツアーファイナルとなる東京公演にはTHE ORAL CIGARETTESのメンバーが学生時代から好きだったthe band apartが出演した。

しびれる感じのライブは最高に楽しい

荒井岳史(Vo, G / the band apart)(Photo by Ryotaro Kawashima)

荒井岳史(Vo, G / the band apart)(Photo by Ryotaro Kawashima)[拡大]

ステージに姿を現したthe band apartは「ZION TOWN」でライブをスタートし、心地のいいグルーヴで会場を満たしていく。さらに彼らはどこか幻想的な空気をまといながら「higher」を軽やかにプレイ。そのまま「The Ninja」に突入し、四つ打ちのダンサブルなリズムを軸に、開放感のあるサウンドを放った。荒井岳史(Vo, G)は「出る直前まで、いただいたTシャツを着るかどうか迷ってた。これはおじさんが着てもいいTシャツなのかな」と、THE ORAL CIGARETTESからもらったというグッズの“YELLOW ロンT”に言及。「同じTシャツを着てる人が気まずくならないかなって……」と会場を見渡し、「いいよ!」という声がフロアから上がると、「うれしいね」とほほえんだ。荒井は「オーラルのみんなが聴いてくれてたんだって、俺らの音楽を。それを知らないと、よくわからないおじさんが出てきたと思うよね」と茶目っ気を交えて話す。そして「せっかくやらせてもらうので、1人でも響いてくれたらうれしいなと思います。よろしくお願いします」と朗らかに告げた。

the band apartのライブの様子。(Photo by Ryotaro Kawashima)

the band apartのライブの様子。(Photo by Ryotaro Kawashima)[拡大]

そんなMCを経て披露されたのは、THE ORAL CIGARETTESからリクエストを受けたというナンバー「coral reef」。4人は衝動に身を任せるようにプレイを繰り広げ、みずみずしいアンサンブルを場内いっぱいに響かせた。さらに彼らはキャッチーなギターリフが印象的な「ピルグリム」、4人が刻む小気味のいいリズムが爽快に絡み合う「夜の向こうへ」といったナンバーを次々と演奏。荒井は「これだけ初めての人がいるライブというのは本当にありがたくてさ。我々は二十何年やってるんですよね。自分たちのライブだったら、僕らのことを好きな人が来てくれる。だから、こういうしびれる感じのライブは最高に楽しい」と話し、「オーラルの皆さんが、こういう機会を与えてくれるのは本当にありがたい。おじさんだから若い人ぶる必要はないと思うんだけど、やっぱり思うね。長くやるもんだなと!」と胸を張った。その後the band apartは熱を込めて「DEKU NO BOY」「Eric.W」をパフォーマンス。ラストナンバー「beautiful vanity」まで盤石の演奏を披露して観客を魅了し、THE ORAL CIGARETTESにバトンを渡した。

バンド結成に欠かせなかった、the band apartの存在

山中拓也(Vo, G / THE ORAL CIGARETTES)(Photo by Ryotaro Kawashima)

山中拓也(Vo, G / THE ORAL CIGARETTES)(Photo by Ryotaro Kawashima)[拡大]

THE ORAL CIGARETTESは新作EP「MARBLES」の収録曲「隣花」でライブを開始。大切なものを慈しむように、美しいメロディをじっくりと紡ぎ上げた。「今日は思いっ切り暴れていきましょう!」と山中拓也(Vo, G)が告げると、メンバーは勢いよく「Shala La」を投下。怪しげな空気をまとったキャッチーなイントロが流れると同時にフロアが大きく揺れた。「BUG」では会場に大きなコールが沸き起こるが、山中はまだ足りないとばかりに「もっと!」とオーディエンスを煽り立てる。その後も「起死回生STORY」「マナーモード」といったライブのキラーチューンが続き、「Shine Holder」ではAメロからオーディエンスの盛大な合唱が響き渡った。

THE ORAL CIGARETTESのライブの様子。(Photo by Ryotaro Kawashima)

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山中は「the band apartがいないとTHE ORAL CIGARETTESってなかったんですよ、マジで」と話を切り出し、最初は山中とあきらかにあきら(B)のユニットとしてTHE ORAL CIGARETTESを始めたが、メンバーを追加することになり、鈴木重伸(G)を誘ったというバンドの結成経緯を語る。山中は鈴木について「彼、the band apartがすごく好きだったんです。俺もthe band apartが好きで、コピーをしていて。それでちょっとthe band apartのコード進行を借りて、デモを作って、『the band apartみたいなバンドをやるので、うちに入ってくれないか?』って渡したんだよね。詐欺みたいなことをしたんですよね」とthe band apartの存在がバンド結成に欠かせなかったことを強調した。山中は「俺も高校行くとき、通学中にACIDMAN、ストレイテナー、the band apartを聴いていて、影響を受けた。the band apartのファンの方は、僕らのサウンドに影響を感じないと思うかもしれないけど、僕らは決めのところをthe band apartを意識してやってたりします」と話を続け、「俺らが聴いて育ってきたレジェンドみたいなバンドをもっと共有していきたいなと思うんです。時が経って、今日THE ORAL CIGARETTESのライブを観てくれた人が、いつか俺らを呼んでくれるかもしれない。俺も『しびれる感じのライブだ』って言う日がくるかもしれない。そういうふうに、時をつないでいきたいと思うんです。それがロマンだと思うんです」と熱く語った。

THE ORAL CIGARETTESのライブの様子。(Photo by Ryotaro Kawashima)

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お前らもっとかかってこいや!」と山中が言い放ったのを合図に「カンタンナコト」へ。フロアに熱狂を生み出したあと、山中は「我こそはオーラルファン代表だという人はいますか? 曲を選ばそうと思います」と言い始める。山中はフロアから1人のオーディエンスを選び、「容姿端麗な嘘 」「CATCH ME」「ワガママで誤魔化さないで」の3曲を提示。「お前の好きなやつを選べ! 自分で決めろ!」と選択を委ねた。観客がセレクトしたのは「CATCH ME」。4人はありったけの熱を放つようにこの曲をプレイしたあと、「BLACK MEMORY」をオーディエンスとともに力強く歌い上げた。

ロックカルチャーを途絶えさせるわけにはいかない

THE ORAL CIGARETTESのライブの様子。(Photo by Ryotaro Kawashima)

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「なんかもうヤバいモード入ってる、俺。ちょっとラストなので一発かましていいですか? 本当はあと1曲で終わりなんですけど、もう一発かましたい!」と高揚した山中の言葉を経て、メンバーは勢いのままに「狂乱 Hey Kids!!」に突入。山中は「思いっ切り遊んでいけ! これこそがライブハウス! これこそがロックバンド!」と叫ぶ。なりふり構わずこの曲を届け、山中は「これからもよろしく頼むぞ! お前ら最高だ!」と弾けるような笑顔を見せた。

THE ORAL CIGARETTESのライブの様子。(Photo by Ryotaro Kawashima)

THE ORAL CIGARETTESのライブの様子。(Photo by Ryotaro Kawashima)[拡大]

「ロックバンドやっててよかったと思うわ。やっと戻ってきた」と山中は頬を緩ませ、コロナ禍で長くルールが制限されていた中、それでもついてきてくれたオーディエンスに感謝の思いを伝えた。「やっぱこのカルチャーは捨てられへんよな。どんだけ規制があってもルールがあっても、昔からあるロックカルチャーを途絶えさせるわけにはいかない」と山中は力強い眼差しで話し、「絶対に手放すものかと、絶対に次につないで見せると、俺らはその最中にいます。あなたたちがカルチャーを止めないように、俺らは願ってます」と観客に言葉を送る。さらに彼は「ヒップホップにもない、J-POPにもない、このロックシーンにしかないもの、この大事なカルチャーを、ここにいる人は、ここにいる人だけでも、一緒に守っていきましょう! また必ずライブハウスで会おう!」と呼びかけ、大きな歓声を浴びた。その後、山中がスタンドマイクで歌い始めたのは新作EPのラストトラック「聖夜」。メロディアスなサウンドに乗せて優しい歌声を届け、彼らはステージを去って行った。

THE ORAL CIGARETTESのライブの様子。(Photo by Ryotaro Kawashima)

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アンコールでは鈴木が、高校時代にあきらと初めて会ったときに「バンアパめっちゃいいよな!」と声をかけられたエピソードを明かし、「あれが最初の会話だったんじゃないかなって思うんですよね」と懐かしそうに語る。さらにあきらも当時the band apartのツアーのDVDを山中と一緒に観たことを振り返り、「俺らもバンドやりたいなって思った。拓也の部屋で2人で観てて、心の奥底で2人で『バンドってええな』って。だから、根本にはバンアパ先輩がいるんですよね」としみじみと述べた。山中は「皆さん本当にテクニックがすごいんです。これ弾きながら歌ってるのやばいよな」と「Eric.W」のイントロのカッティングギターを披露。そのまま彼がプレイを続けていると、鈴木と中西雅哉(Dr)も演奏に加わる。そのセッションに乗せて山中は艶やかにこの曲を途中まで歌い上げ、「こんなん無理やって! だいぶむずい」と言いながらも楽しげな表情を浮かべた。最後に4人はアッパーチューン「mist...」をパフォーマンス。けたたましいコールを浴びながらこの曲を全身全霊でプレイし、晴れやかな表情でツアーを締めくくった。

セットリスト

「THE ORAL CIGARETTES 東名阪 Zepp Tour 2024 "MARBLES" DAY2 Joint Gig “Lose my Marbles”」2024年3月12日 Zepp Haneda(TOKYO)

the band apart

01. ZION TOWN
02. higher
03. The Ninja
04. coral reef
05. ピルグリム
06. 夜の向こうへ
07. DEKU NO BOY
08. Eric.W
09. beautiful vanity

THE ORAL CIGARETTES

01. 隣花
02. Shala La
03. BUG
04. 起死回生STORY
05. マナーモード
06. Shine Holder
07. カンタンナコト
08. CATCH ME
09. BLACK MEMORY
10. 狂乱 Hey Kids!!
11. 聖夜
<アンコール>
12. mist...

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THE ORAL CIGARETTES @oral_official

東京公演のライブレポが公開となりました!
ぜひご覧ください✅ https://t.co/btdesgiKac

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