朗読にアルバムの新曲初披露!花澤香菜、単独ライブで声優アーティストの本領発揮

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花澤香菜のワンマンライブ「HANAZAWA KANA Live 2024 "Intaglio"」が1月21日に神奈川・相模女子大学グリーンホールで開催された。

花澤香菜(Photo by  KOBA)

花澤香菜(Photo by KOBA)

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柔らかな口調で紡がれる物語

昨年リリースの最新シングル「インタリオ」をタイトルに冠した本公演は、近年の花澤にとって恒例になりつつある、シングル表題曲をフィーチャーした一夜限りのライブシリーズの一環。今回は新たな試みとして朗読パートが設けられ、演奏の合間に花澤が純文学小説を思わせる物語を読み上げるシーンが差し込まれた。その文章は、「インタリオ」の作詞をはじめ数々の花澤楽曲を手がけてきた宮川弾が本公演のために書き下ろしたものだ。

花澤香菜「HANAZAWA KANA Live 2024 "Intaglio"」の様子。(Photo by  KOBA)

花澤香菜「HANAZAWA KANA Live 2024 "Intaglio"」の様子。(Photo by KOBA)[拡大]

ライブはその朗読パートでスタート。場内の明かりが落とされると、舞台上に幾重にも折り重なったカーテンが淡いブルーの照明で照らされ、さながらオーロラのようにほのめいて幻想的なムードを漂わせた。そこへ北川勝利(G / ROUND TABLE)、山之内俊夫(G)、千ヶ崎学(B)、末永華子(Key, Cho)、渡邊シン(Dr)、毛利泰士(Per, Manipulator)からなるバンド“ディスティネーションズ”が「インタリオ」をベースにしたインストゥルメンタルのプレリュードを奏で始める。そして不意に演奏が止むと、薄暗い舞台の中央で、クリップボードを手に純白のドレス姿で佇む花澤が「インタリオの夜、帰れない二人」とおもむろに言葉を紡ぎ始めた。

北川のつま弾くジャズマスターの穏やかなアルペジオを背に、花澤は柔らかな口調で都会の夜を舞台とした寓話的とも言える物語を丁寧に読み上げていく。聴衆が息を飲むように聴き入る中、その短編小説のような物語が「灰色が支配権を求めている」の一文で結ばれるやいなや、末永のピアノが静寂を打ち破るように響きわたり「灰色」の演奏がスタート。ダークな世界観のギターロックバラードでドラマチックにライブの幕が開けた。

「私とどうなりたいんだー!」

花澤香菜(Photo by  KOBA)

花澤香菜(Photo by KOBA)[拡大]

ダンサブルな四つ打ちナンバー「Miss You」からは一転してアッパーチューンが連続。花澤の「盛り上がっていけますかー?」の声を合図に会場の張り詰めた空気が一瞬にして塗り替えられ、色とりどりのペンライトを手にしたオーディエンスたちは一斉に立ち上がって手拍子や合唱、全力のコールなどで応戦する。「Moonlight Magic」では、花澤が曲中のセリフパート「君は私とどうなりたい?」を「相模原のみんなは、私とどうなりたいんだー!」と会場にちなんだアレンジを施して絶叫し、客席から最大級の歓声を浴びた。

花澤香菜(Photo by  KOBA)

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ライブはその後も要所で朗読を織り交ぜながら、アッパー曲とバラード曲が目まぐるしく交錯する緩急自在なセットリストで進行。朗読パートは生で披露されただけでなく、白のドレスからライトグリーンのワンピースへと衣装を替えるタイミングでは収録音声を使った転換演出も施された。そんなさなか、MCでは花澤が観客に「ギミギミ♡ラヴ」の振付指導を試みる場面も。花澤は「(ポケモンの)バリヤード」「乳搾り」「猫ひろし」といった独特のワードセンスを駆使した懇切丁寧な解説で会場を和ませつつ、オーディエンスとのシンクロダンスを楽しんだ。ライブ終盤では朗読パートを挟まずに「恋する惑星」「ドラマチックじゃなくても」など、新旧織り交ぜた開放的なポップソングの数々が立て続けに投下される。みるみる会場中をハッピーなムードに束ねた花澤は、ラストに本公演のタイトルにもなった荘厳なマイナーバラード「インタリオ」を繰り出して、しめやかにライブ本編を締めくくった。

ニューアルバムの新曲初披露

花澤香菜「HANAZAWA KANA Live 2024 "Intaglio"」の様子。(Photo by  KOBA)

花澤香菜「HANAZAWA KANA Live 2024 "Intaglio"」の様子。(Photo by KOBA)[拡大]

アンコールに応え、花澤はライブグッズのロゴ刺繍トレーナーをリメイクしたトップスに、デニムスカートを合わせたカジュアルな服装で再登場。「We Are So in Love」「雲に歌えば」といった軽快なポップナンバーを立て続けに歌ってご機嫌を伺ったのち、続くMCでニューアルバム「追憶と指先」のリリース決定や秋のZeppツアー開催などの新情報を告知した。その流れで「アルバムから新曲を1曲歌ってもいいですか?」と問いかけて盛大な歓声を巻き起すと、彼女は宮川弾の作詞作曲によるキュートなテクノポップナンバー「ないものねだりのGreeDy」をパフォーマンス。きらびやかなシンセサウンドと四つ打ちダンスビートで聴衆を魅了した。

花澤香菜とディスティネーションズ。(Photo by  KOBA)

花澤香菜とディスティネーションズ。(Photo by KOBA)[拡大]

思いがけず披露された新曲に惜しみない喝采が送られる中、北川がアコースティックギターをつま弾き出すと、ステージ背面の照明が点々と輝き、一面の星空のような光景が形作られた。花澤は「今日は本当にありがとうございました!」とオーディエンスに感謝の言葉を伝え、「世の中には不安なことがたくさんありますけど、いつでも私はみんなのことを応援しています。みんなの輝く笑顔が見られるように、そして私も輝く笑顔でいられるように、日々精進して楽しくやっていきたいと思っています」と胸中を語る。そして「無理のない範囲で、会えるときにまた会いましょうね」と柔和な表情で呼びかけると、サンバ調にアレンジされたラストナンバー「星空☆ディスティネーション」を温かな歌声で伸びやかに披露。歌い終えた花澤がステージを退いたあとには、暗転した場内にエピローグに相当する最後の朗読パートが流され、じっと聴き入る聴衆を深い余韻に導いた。

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セットリスト

花澤香菜「HANAZAWA KANA Live 2024 "Intaglio"」2024年1月21日 相模女子大学グリーンホール

01. 灰色
02. Miss You
03. Don't Know Why
04. Moonlight Magic
05. Silent Snow
06. SHINOBI-NAI
07. Circle
08. 青い夜だけの
09. Night and Day
10. 運命の扉
11. ギミギミ♡ラヴ
12. Groovy Mystery Train
13. Young Oh! Oh!
14. 恋する惑星
15. ドラマチックじゃなくても
16. インタリオ
<アンコール>
17. We Are So in Love
18. 雲に歌えば
19. ないものねだりのGreeDy
20. 星空☆ディスティネーション

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楊(やん) @yan_negimabeya

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