XIIX、幅広いアプローチで届けたニューアルバムの世界「もっと楽しいところに行ける」

XIIXの東名阪ツアー「XIIX LIVE TOUR『2&5』」の最終公演が8月9日に東京・Zepp Shinjuku（TOKYO）にて開催された。

XIIXは7月26日に2年半ぶりとなるオリジナルアルバム「XIIX」をリリース。最新作を携えて開催された今回のツアーは、前半のステージを斎藤宏介（Vo, G）と須藤優（B）の2人編成で、後半のステージをサポートメンバーを加えた5人編成で行うという2部構成で行われ、これまでの軌跡を彩ってきた楽曲やアルバム収録の最新曲を幅広いアプローチでファンに届けた。

斎藤と須藤が2人きりでステージに現れ、最初に披露した楽曲は「タイニーダンサー」。アコースティックギターを爪弾きながら歌う斎藤の低音にオーディエンスが引き込まれていき、その後は美しいメロディと須藤のベースラインのハーモニーで会場に高揚感をもたらした。シンプルかつスリリングなアレンジの「アカシ」を届けたのち、斎藤は今回のライブの狙いを「2人編成と5人編成で、僕らがやりたいからやります。僕らが作ってきた曲がいろんな味付けで楽しめます」と語り、ファンの期待を煽った。

斎藤と須藤のツインギターで始まった「White Song」は、途中から須藤がピアノを奏でて楽曲の優しげな世界を彩る。ルーパーを用いて幾重にも重なる音色を届けた「Light & Shadow」では、白1色のシンプルな照明で照らされていた場内壁面のライトが光り、2人が作り上げる空間にさらなる広がりを加えた。「シトラス」はフロアのオーディエンスのクラップを録音してループさせ、曲のリズムとして取り入れる。息もぴったりの小気味良いクラップに、須藤は「ナイス歌舞伎町！」、斎藤は「歌舞伎町のバイブス感じちゃうな！」と喜んだ。そのクラップを鳴らしたまま、前半パート最後に披露されたのは「Answer5」。2人きりで鳴らす圧巻のグルーヴでフロアを揺らし、後半へとつないだ。

後半ではサポートメンバーの岡本啓佑（Dr）、粂絢哉（G）、山本健太（Key）がステージに登場。華やかなアンサンブルによって「Stay Mellow」を演奏したあとは、斎藤と粂が向かい合って「魔法の鏡」のイントロを奏でる。XIIXがサポートギタリストを迎えてライブを行うのはこのツアーが初ということもあり、新鮮な光景にオーディエンスからは大歓声が起こった。ツインギターによってより迫力を増したアウトロを経て、続く「スプレー」では斎藤がハンドマイクを握ってパフォーマンス。途中のラップパートを斎藤がキレよく繰り広げる中、須藤も「斎藤さん気をつけて、あんた立場が！」と加わり、観客を沸かせた。

斎藤と粂のギターソロ合戦が展開された「あれ」、岡本の力強いタムが楽曲の背骨を支えた「正者の行進」のあとは「まばたきの途中」へ。オリジナルバージョンでは斎藤と橋本愛のボーカルによって異なる目線から見た世界が描かれたが、今回のライブでは斎藤のパートのみの1コーラスバージョンで披露され、曲の切り口をがらりと変化させて観客を驚かせた。MCで斎藤は東名阪3会場で行われた今回のツアーに「この編成もたった3本でしたけど、またやろうね」と手応えを見せ、須藤も「2人編成と5人編成で、すごく濃いんですよ。観てて疲れてないですか？（笑）」と充実した表情で観客に呼びかけた。

「No More」「うらら」でみずみずしくもエモーショナルなサウンドを響かせたあと、「月と蝶」では楽曲の尖ったムードをステージ後方やフロア壁面のLEDに映し出された映像が倍増させる。本編最後の曲は、前半でもラストに披露された「Answer5」。2人編成と5人編成、それぞれの魅力をくっきりと浮かび上がらせる演出で締めくくられた。

アンコール1曲目で「LIFE IS MUSIC!!!!!」を披露したのち、斎藤は「どう思ったか聞かせて？ 心を込めて（笑）」と須藤にツアーを終えた心境を尋ねる。「本当に思ったんだよね、今日のために生まれてきたって」と真面目な表情で言い切ってフロアに拍手と笑いをもたらした須藤は、同じ質問を斎藤にも投げかける。斎藤は「音楽的にもいろいろやれて。まあ端的に言うと、今日のために生まれてきたなと（笑）」と同じ表情で断言した。

今回のサポートメンバー3人について「いつか一緒にやりたかった、気心の知れた人たちばかりで。背中をぐっと押してくれる感じがあった」と感謝を述べた斎藤は、5人編成でのライブを披露する10月の全国ツアー「XIIX LIVE TOUR『XIIX』」に向けて「またパワーアップして戻ってきます」と意気込む。そして「大切なバンド名を付けたアルバムを出して、それを演奏して聴いてもらえるのは本当に幸せで。改めていいアルバムだなと思ったし、この目印があることでもっと楽しいところに行けるんじゃないかと思いました」とツアーを振り返った。最後は万感の思いを込めて「All Light」を演奏し、ライブの幕を閉じた。