BiSH、東京ドームで夢を叶えて解散「ばいばい」

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BiSHが、昨日6月29日に東京・東京ドームで解散ライブ「Bye-Bye Show for Never」を開催。約8年の活動に終止符を打った。

BiSH(Photo by sotobayashi kenta)

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BiSHは“楽器を持たないパンクバンド”として2015年に誕生したグループ。2014年に神奈川・横浜アリーナで解散したBiSをもう1度始めるというコンセプトで始動した経緯があり、もともとは“新生クソアイドル”をキャッチフレーズに掲げていた。メンバー加入脱退を経て、2016年8月からはアイナ・ジ・エンド、セントチヒロ・チッチ、モモコグミカンパニー、ハシヤスメ・アツコ、リンリン、アユニ・Dの6人で活動している。

BiSHが解散を発表したのは2021年12月のこと。同年末の「第72回NHK紅白歌合戦」への初出場を決めるなど、大きな躍進を遂げている最中だった。解散が公にアナウンスされてからのBiSHは、12カ月連続シングルリリースや全国ツアー開催、大型ロックフェス出演など怒涛の日々を過ごす中、第2のBiSHを作るオーディション番組「BiSH THE NEXT」への出演や個々のソロワークなど解散後に向けても歩み始めていた。2022年12月にはグループの悲願だった東京ドームでのワンマンライブをもって解散することをアナウンスした。また解散に向けて駆け抜けている真っ只中の今年3月にはアイナが撮影中の事故により頭部を計30針ほど縫う大怪我を負うも、約2週間で復帰してツアーを再開させる。BiSHは波乱万丈な日々を乗り越え、解散の日を迎えた。

東京ドームでのワンマンライブは18:00にスタート。客電が落ちるとステージの端からウサギの着ぐるみが登場した。ウサギはややいびつな動きで手拍子を求めながらステージ中央に移動した。ステージ後方にはバンドメンバーが待機しており、そのさらに後ろには巨大なワイドスクリーンが設置されている。

BiSH(Photo by sotobayashi kenta)

BiSH(Photo by sotobayashi kenta)[拡大]

オープニング映像のあと、けたたましい爆発音とともに始まったのは「BiSH-星が瞬く夜に-」。メンバーそれぞれが歌の合間に観客を煽るなど、普段と変わらないBiSHの姿がそこにあった。過去最多の清掃員(BiSHファンの呼称)が集結した客席からの迫力はすさまじく、地を這うような大歓声が巻き起こる。BiSHはパンキッシュなファストチューン「ZENSHiN ZENREi」に続き、ライブ定番曲「SMACK baby SMACK」でアイナが「東京ドーム、アガってこうぜ!」と叫ぶなど、序盤からアクセル全開のパフォーマンスで盛り上げた。6人は「東京ドームにお集まりの皆さん。初めまして、BiSHです。よろしくお願いします」とそろって挨拶してから、個々にBiSHとして最後の自己紹介を行い、アユニが「今日は“幸(さち)な夜”を過ごしましょう。よろしくお願いします」と締めた。BiSHは続いて、「HiDE the BLUE」をさわやかに届け、「ありのままでいいのかな」というフレーズを歌うメンバーに向けて、清掃員はそろって「いいよ!」と大声でレスポンスした。続けて披露された「FOR HiM」は、タイトルがフランス語だと「プー・ルイ(Pour lui)」になる意味深な曲。BiSHは「BiSをもう一度始めます」というWACK代表・渡辺淳之介の思いで始まったグループで、渡辺が第1期BiSの創設メンバーであるプー・ルイ(現PIGGS)と出会っていなければ誕生しなかったグループと言える。このため、渡辺作詞による「FOR HiM」は、彼女と関連があると清掃員の中で憶測が飛んだ曲だ。

BiSH(Photo by cazrowAoki)

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「JAM」「デパーチャーズ」というモモコ作詞による曲が続いたあと、モモコは「東京ドームと言えば?」とメンバーに話題を振る。アユニは「目の前の遊園地に6人で行ったことがある。100mくらい空中を飛ぶやつあるじゃないですか。リンリンと乗ったんだよね」と話し、リンリンも「そうなのよね」と落ち着いた口調で相槌。アユニは続けて「そこから見えた東京ドームが大きくて。なんてでっかいだろうって。『こんなところに立てたらいいね』って話をしてました」と話し、ハシヤスメが「夢が叶った日、清掃員と最後まで楽しんで、噛み締めてまだまだ愛を届けていきますので、最後までよろしくお願いします!」とファンに呼びかけた。「遂に死」はメンバーが積み重なり、アユニが顔を逆さにした状態で歌い出すハードなナンバー。レーザー、CO2、炎といった演出に加え、デジタルノイズたっぷりのVJ映像がスクリーンに大写しになり、楽曲のアグレッシブかつダークな雰囲気を彩った。またストリングスの旋律が映える「stereo future」ではサビに差し掛かった瞬間、6人は東京ドームの中央に設置されたセンターステージに向かって花道をダッシュ。歓声を浴びながら、6人はシリアスかつストイックなパフォーマンスを見せた。

BiSH(Photo by Yukihide'JON...'Takimoto)

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続いて「My landscape」がピアノとストリングスの伴奏からなるしっとりとしたアレンジで始まり、BiSHはセンターステージで膝を着いたまま歌い踊る。スクリーンには同曲のミュージックビデオに登場したような荒涼とした景色が投影されている。バンド演奏が加わった大サビで6人は立ち上がり、全身をいっぱいに使った迫力あるパフォーマンスを見せた。KENTA(WANIMA)作詞、Taka(ONE OK ROCK)とMEG作曲によるエモーショナルなナンバー「サヨナラサラバ」に続いて、BiSHのダークな一面が爆発するキラーチューン「NON TiE-UP」に突入し、彼女たちは「おっぱい舐めてろ チンコシコってろ」とエッジーな歌詞を力強く歌唱。間奏のゴスペルチックなパート、通称“スーパーハシヤスメタイム”では、清掃員がハシヤスメのトレードマークであるメガネを掲げた。この曲ではさらに6人を囲うように火柱が上がり、楽曲が進むに連れて熱気が一段と高まった。

BiSH(Photo by Keiichiro Natsume)

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BiSH(Photo by sotobayashi kenta)

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スクリーンにはVR空間のような部屋が映し出され、その中のテレビでは過去のBiSHの映像が流れている。ギターのブラッシング音を合図に「スパーク」の演奏がスタートし、メンバーは噛みしめるように歌を紡いだ。さらにモモコ作詞による慈愛に満ちたミディアムチューン「Life is beautiful」ではリンリンを中心にミュージカルのようなパフォーマンスを見せ、楽曲の世界観を言葉のみならず、ダンスでも表現した。シアトリカルなパートは続き、「FREEZE DRY THE PASTS」ではダークな静からカオスな動へと昇華する楽曲の展開を椅子を使った振付で表現。ここではリンリンの見せる鬼気迫る表情などが、観客の視線を釘付けにした。

BiSH(Photo by sotobayashi kenta)

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左からアイナ・ジ・エンド、ハシヤスメ・アツコ、モモコグミカンパニー。(Photo by Keiichiro Natsume)

左からアイナ・ジ・エンド、ハシヤスメ・アツコ、モモコグミカンパニー。(Photo by Keiichiro Natsume)[拡大]

ライブ後半、ふてくされたようにしゃがむハシヤスメに対し、「ハシヤスメさん、どうしたんですか?」とメンバーが声をかけ、コントコーナーに突入。ハシヤスメは冒頭に登場したウサギが「あれ、絶対素人だ」と不満を垂れる。スクリーンにはうさぎの着ぐるみの頭を外して寝る渡辺の姿が。ハシヤスメは「渡辺は最後まで出たがりだな!」と開き直った。コント終わりに、ステージの左右に2つのフロートが登場し、東京ドームの客席エリアを移動し始めた。「美醜繚乱」と書かれた神輿のようなフロートに乗り込んだBiSHは「ぴょ」「ぴらぴろ」「DA DANCE!!」とアップテンポな楽曲を連投。お祭り騒ぎの盛り上がりを生み出す。さらにハシヤスメが「私はBiSHが大好きー!」と叫ぶと、モモコが「嘘だー!」と突っ込むも、ハシヤスメの後ろからアイナが抱きつくなど、アットホームな雰囲気でライブは進み、チッチは「好きです、清掃員!」と笑顔を弾けさせた。

BiSH(Photo by sotobayashi kenta)

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お祭りムードから一転し、スクリーンには山々と星空の映像が映し出され、星が流れ星に変わっていったところで、6人が身を寄せ合い、代表曲「プロミスザスター」へ。2017年に発表してから、BiSHがライブのたびに心を込めて歌ってきたこの曲のラストパフォーマンスに惜しみない拍手が送られた。また続けざまに始まった「LETTERS」は、コロナ禍の影響でライブ活動が思うようにできなくなった頃に作られた1曲で、清掃員との再会を願う思いも込められたナンバー。そんな曲が超満員の東京ドームの清掃員へと捧げられ、巨大なミラーボールによる演出も相まって、東京ドーム内は感動的なムードに包まれた。そしてチッチは「私たちは清掃員といくつもいくつも約束を交わして、果たして、一緒に夢を見て、一緒に夢を叶えてきました。今までしてきた約束と夢の中で一番の大きな大きな夢が叶いました。みんなが愛してくれたおかげです。ありがとうございます」とコメント。ラストスパートとばかりにBiSHは「GiANT KiLLERS」「MONSTERS」と高速BPMのキラーチューンを連投。「サラバかな」で拳を掲げながら笑顔を見せるBiSHに、清掃員は「その手を離さないよ」と大合唱。その歓声の大きさから、フィナーレが近付くに連れて、惜別の思いを抱きつつも全力でライブを楽しんでいることがうかがえた。

ライブ終盤、チッチは「東京ドーム、BiSH解散ライブ。早いもので最後の曲になります。BiSHはみんなにもらった沢山の愛でこんなに大きくなりました! 私たちは東京ドームが似合うグループになれましたか?」と話すと、大歓声が沸き起こる。鳴り止まない拍手の中、彼女は続けて「今日という日がみんなの人生のお守りになるように。明日からのあなたの生きる糧であるように強く願っています。最後に、大切に届けます。ここにいるすべての人に、消えない愛を込めて」と話し、ラストナンバー「ALL YOU NEED IS LOVE」へ。6人は笑顔で歌い続け、肩を組んで体を左右に揺らした。そして「以上、私たちBiSHでした。ありがとうございました」と挨拶して、颯爽とステージをあとにした。

左からリンリン、セントチヒロ・チッチ、アイナ・ジ・エンド。(Photo by Keiichiro Natsume)

左からリンリン、セントチヒロ・チッチ、アイナ・ジ・エンド。(Photo by Keiichiro Natsume)[拡大]

BiSH(Photo by sotobayashi kenta)

BiSH(Photo by sotobayashi kenta)[拡大]

アンコールでは暗転したままのステージに6人が再び登場。チッチは「どこまでも続くこの空に、永久に響き続けますように」と話してから、「オーケストラ」を歌い始める。バンド演奏が加わり、照明がメンバーを照らすと、6人は腕から肩にかけて華やかな装飾が施されたワンピースに着替えていることがわかった。「オーケストラ」は「プロミスザスター」に並ぶBiSHの代表曲。歌詞にある「その手と手繋いで笑いあった声 忘れはしないよ」「あんなにも近くにいたはずが今では繋がりなんて この空だけ」といった言葉が、東京ドームでは解散後のBiSHを想起させた。そしてメンバーそれぞれが愛と感謝を込めて、清掃員にメッセージを送る。そして「今日は全員で優勝しに来たんです! 最後みんなで最高のトゲトゲ見せてくれますか!」というチッチの言葉から、「beautifulさ」が届けられた。ハッピーなムードの中、バンドメンバーの紹介を経て、銀テープが東京ドームいっぱいに発射されると同時に「BiSH-星が瞬く夜に-」の演奏がスタート。ハッピーな時間を生み出し、アイナが「みんなの声、聞かせて」と呼びかけると、盛大なシンガロングが東京ドーム中に響きわたった。バンドメンバーを送り出したあと、BiSHは手をつなぎ、マイクを使わずにチッチが「バイバイ! ウィーアー BiSH!」と挨拶。ステージを駆け回って清掃員に感謝の気持ちを伝えた。

BiSH(Photo by cazrowAoki)

BiSH(Photo by cazrowAoki)[拡大]

BiSH(Photo by cazrowAoki)

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再びアンコールの声が上がる中、BiSHはバンドメンバーを率いずに6人だけで登場。そして吉井和哉(THE YELLOW MONKEY)プロデュースによるラストCDシングル曲「Bye-Bye Show」を披露した。スクリーンには桜の木が映し出され、ドーム内には紙吹雪が大量に舞う。楽曲の披露後、満開の桜をバックに、メンバーはそれぞれの立つセリが下がっていく形で観客の目線から徐々に見えなくなり、ステージを去った。その後、スクリーンには「ばいばい」という文字とメンバーのサインが表示された。こうして、BiSHは夢の舞台でのワンマンライブを終えて、解散。終演後の外は土砂降りだった。

BiSH「Bye-Bye Show for Never」2023年6月29日 東京ドーム セットリスト

01. BiSH-星が瞬く夜に-
02. ZENSHiN ZENREi
03. SMACK baby SMACK
04. HiDE the BLUE
05. FOR HiM
06. JAM
07. デパーチャーズ
08. 遂に死
09. stereo future
10. My landscape
11. サヨナラサラバ
12. NON TiE-UP
13. スパーク
14. Life is beautiful
15. FREEZE DRY THE PASTS
16. ぴょ
17. ぴらぴろ
18. DA DANCE!!
19. プロミスザスター
20. LETTERS
21. GiANT KiLLERS
22. MONSTERS
23. サラバかな
24. ALL YOU NEED IS LOVE
<アンコール>
25. オーケストラ
26. beautifulさ
27. BiSH-星が瞬く夜に-
<アンコール2>
28. Bye-Bye Show

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