Perfume、10年ぶりのたまアリでファンと約束「私たちはいつでも皆さんを待っています」

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Perfumeのアリーナツアー「Perfume 9th Tour 2022 "PLASMA"」が昨日11月6日の北海道・北海道立総合体育センター 北海きたえーる公演をもって終了した。最新アルバム「PLASMA」を携えて行われたこのツアーは、8月から全国9会場で2公演ずつ行われ、各地でこのアルバムの世界観が表現された。本稿では10月30日に行われた埼玉・さいたまスーパーアリーナ公演2日目の模様をレポートする。

Perfume(撮影:上山陽介)

Perfume(撮影:上山陽介)

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「Plasma」が流れる中、天井からゴンドラで降りてくるPerfume。(撮影:上山陽介)

「Plasma」が流れる中、天井からゴンドラで降りてくるPerfume。(撮影:上山陽介)[拡大]

「Flow」をパフォーマンスするPerfume。(撮影:上山陽介)

「Flow」をパフォーマンスするPerfume。(撮影:上山陽介)[拡大]

今回のツアーでPerfumeは、アリーナの中心に設置されたセンターステージでライブを実施。センターステージからは曲がりくねった2本の花道が両サイドに伸びている。会場が暗転してライブがスタートすると、最新アルバムの1曲目「Plasma」を歌いながら、ゴンドラに乗った3人が天井からゆっくりと降下。オーロラのような幻想的な照明を浴びて、白い布で覆われたステージに降り立った。そして彼女たちは、柔らかく風に揺れる布の上で「Flow」を優しく歌唱。その後「ポリゴンウェイヴ(Original Mix)」が始まると、有機的な雰囲気を醸す布が一瞬にして剥ぎ取られ、金属のフレームで囲われた無機的なビジュアルのステージが姿を現した。

「再生」の序盤、あ~ちゃんは「今日は最高の日にしようね!」と周囲を見渡しながらオーディエンスに呼びかけ、これに応えるように会場の手拍子が一段と大きくなった。昨年8月と今年1月に神奈川・ぴあアリーナMMで行われたワンマンライブは、アリーナすべてをステージとして使用することでダイナミックな演出を実現するショーだったのに対し、今回のライブはセンターステージを採用することで、大きな会場でありながらメンバーと観客の距離が非常に近い。またライブ前半は先端技術を駆使した映像などは控えめに、工夫された照明やステージ形状の変化などでパフォーマンスが彩られ、どこか温かみのあるアルバム「PLASMA」のイメージが演出でも表現されていた。

「Perfume 9th Tour 2022 "PLASMA"」さいたまスーパーアリーナ公演の様子。(撮影:上山陽介)

「Perfume 9th Tour 2022 "PLASMA"」さいたまスーパーアリーナ公演の様子。(撮影:上山陽介)[拡大]

この前日のさいたまスーパーアリーナ公演初日のステージで、3人はここ数年考えていたという「個人でInstagramをやってみるのはどうだろう?」というアイデアを思い切って観客に相談。会場の歓迎ムードを感じた彼女たちは終演後に即アカウントを開設していた。最初のMCでは、あ~ちゃんがこの前日の出来事に触れて「私たちにとってはやっぱりファンクラブの人たちが一番大事だけど、時代も変化しているし、昔のままのやり方から変わらないといけないんだろうなとずっとずっと感じてたんです」「私たちはそれぞれ個性があるんですよ。同じ活動をしていても、それぞれの歳の重ね方をしてきて、見えてる景色もそれぞれ違うと思うんですよね。そういうところを垣間見てもらえたら、より『共に生きている』ということを実感していただけるのかなと」と個人Instagram開設についての今の思いを語っていた。客席のエリアごとにチーム名を付けてコール&レスポンスする恒例のコーナーでは、メンバーの写真を大胆に使ったツアーグッズのTシャツ「マイメンT」にちなんで「マイ」「メン」「だい」の3チームにチーム分け。新型コロナウイルス感染対策のため観客は声を出すことはできないが、力いっぱいの拍手でメンバーとの一体感を感じていた。

Perfume(撮影:上山陽介)

Perfume(撮影:上山陽介)[拡大]

「Drive'n The Rain」ではメンバーそれぞれが椅子を使い、車を運転するドライバーの動きを振付に取り入れて切ない心情を描出。照明で作られた水玉模様が雨粒のようにステージでキラキラと光っていた。曲が終わり、3人は椅子に座ったまま床の下に消えていったが、その後あ~ちゃんがセンターステージ、かしゆかとのっちが花道の途中の小島に迫り上がって登場。3人とも互いに離れた小さな舞台の上で「ハテナビト」を歌った。さらに彼女たちは細い花道の上で踊りながら、観客のすぐ目の前で「ナチュラルに恋して」を歌唱。「Time Warp(v1.1)」のパフォーマンスを経て、彼女たちは再び舞台から消え、メンバー不在のセンターステージを囲って円筒状に紗幕が吊り下げられた。紗幕に映し出されたのは「∞ループ」をダンスするPerfumeの本人映像。スクリーンの向こう側が透けて見えるため、円筒の反対側に映るメンバーの姿が手前の映像と重なって見え、観客に不思議な感覚を与えていた。

「Spinning World」をパフォーマンスするPerfume。(撮影:上山陽介)

「Spinning World」をパフォーマンスするPerfume。(撮影:上山陽介)[拡大]

そしてこれを皮切りに、先端技術を駆使した映像演出が次々に披露される。「Spinning World」ではメンバーが歌い踊るセンターステージの周囲で、円筒状のスクリーンに目まぐるしく模様が流れ、まるで3人が竜巻の中心にいるような状態に。「アンドロイド&」ではセンターステージの左右に2枚ずつ、計4枚の巨大な縦長スクリーンが登場し、スクリーンに映る4体のCGのダンサーを相手に、Perfumeはダンスで掛け合いを繰り広げた。今年1月のぴあアリーナMM公演でこの曲が初めてライブで披露された際は、現実のダンサーたちとの掛け合いが行われていたが、今回のツアーではあくまで実際にステージ上にいるのは3人だけながら、CGダンサーを加えた計7人でのパフォーマンスを実現していた。天井から吊られたミラーボール風の3つの球体の下で披露された「マワルカガミ」を終えると、お馴染みの「P.T.A.のコーナー」へ。この日は今夏TikTokでバイラルヒットした「だいじょばない」のダンスで、メンバーと会場中の人々によるコラボパフォーマンスが実現した。

「Puppy love」をパフォーマンスするPerfume。(撮影:上山陽介)

「Puppy love」をパフォーマンスするPerfume。(撮影:上山陽介)[拡大]

そして「Party Maker」がスタートし、アリーナは一気に興奮状態。最新アルバムのムードに合わせて意図的にセットリストから排してきたかにも見えた“バキバキ”なダンスミュージックがここで解禁されたことで、観客は無言のままでありながら、いつも以上の爆発力をもってその場で飛び跳ねながら盛り上がっていた。さらに、Perfumeの活動初期から数々のステージを盛り上げてきた「エレクトロ・ワールド」に突入し、会場の熱気はさらに上昇。コロナ禍より前であればフロアから盛大なコールが発生するこの曲だが、この日の観客は声に出さずに自らの感情を拳を振り上げて表現していた。続いて始まったのは、ライブでは観客が毎回お決まりの振付で踊る「Puppy love」。一斉に腕を上下させる周囲のオーディエンスとの一体感を感じてか、このときあ~ちゃんは涙を浮かべていた。その後センターステージの周囲にたくさんの小さなLEDライトが吊るされ、まるで星空に囲まれるようにして3人はしっとりと「STAR TRAIN」を歌い上げた。

かしゆか(撮影:上山陽介)

かしゆか(撮影:上山陽介)[拡大]

最後に3人は会場に来てくれた観客に挨拶。かしゆかは「アルバムって、リリースしたときが完成じゃなくて、みんなと一緒にライブで育てていく、完成のないものなんだってツアーを通して感じています。楽曲を一緒に育ててくれてありがとう」と観客に感謝の言葉を送り、この日のライブについて「どんなにツアーを重ねても本番前は緊張するし、手も震えるけど、今日『再生』のイントロであ~ちゃんが『楽しんでいってね!』と言ったのが、お客さんだけでなく私たちにも言ってくれてる気がして。この2人と立ててるからここまで来れてるんだなって、すごく幸せに満ちあふれた人生を送れてるんだなって思いました(笑)」と涙声になりながら振り返った。そして客席に向けて「これから先も続いていきます。きっとみんなの人生のステージや環境が変わっていく中で、Perfumeと寄り添ったり離れたり距離感は変わっていくと思いますが、私たちPerfumeはいつでも皆さんを待っています」と固く誓い、会場に盛大な拍手が響きわたった。

のっち(撮影:上山陽介)

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あ~ちゃん(撮影:上山陽介)

あ~ちゃん(撮影:上山陽介)[拡大]

のっちは「みんな明日からもいろんなことがあると思うし、私たちにもどんな試練があるのかわかりませんが、それを明るくポジティブに乗り越えていく方法のヒントが今のPerfumeチームにはあると思います。私もこのチームに救われてきています」と観客に声をかける。あ~ちゃんは2012年に同会場で関東公演を行ったアリーナツアー「Perfume 3rd Tour『JPN』」のことを思い出しながら、10年ぶりに同じ会場でワンマンライブをしていることについて「あのときはまた10年後にここに立てているなんて想像もできなかった。そんなはずないと思ってたから。流行りはすぐ終わるし、自分たちが歌を続けられるとも思ってませんでした。でも、まだ行ける、まだ行けるかも、って言ってるうちに、あれよあれよと10年後の今、立っています」と感慨にふけり、続けて「信じられないような自分になれてる。歳を重ねることが本当に楽しくて、この2人と一緒にいられることが本当に幸せです。これを長く続けていきたいと思っています。形ややり方は変わるかもしれないけど、私たちはPerfumeでいられたらなと思っています」と今後への決意を口にした。

Perfume(撮影:上山陽介)

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最後の曲「さよならプラスティックワールド」が始まると、まるで夜が明けるようにうっすらと客席が明るくなり、歌っているメンバーからオーディエンス1人ひとりの表情が見える状態に。彼女たちは間奏のたびに1人ずつ観客に向けて挨拶し、かしゆかは「また会いましょう! それまで幸せでいてね!」、あ~ちゃんは「また会える日があると信じてる!」、のっちは「素敵な未来でまた会えますように!」と声を上げていた。そして曲が終わると、この日の1曲目だった「Plasma」が流れ始め、再び天井からゴンドラが降下。3人がゴンドラに乗り込むと、オープニングの演出を逆再生するようにして彼女たちは空に帰っていった。その後、ステージを円筒状に囲む紗幕に、さまざまな曲をパフォーマンスするPerfumeが粒になって消えていく映像が次々に流れ、「See you at the next stage」というメンバーの声とともにライブは終了となった。

なお10月29、30日のさいたまスーパーアリーナ公演の模様は、2023年1月にWOWOWにて放送および配信が予定されている。また、このツアーのオリジナルアフターパンフレットが発売されることも決定。プロのカメラマンによって撮影されたライブ写真の中から、ユーザーがそれぞれが好きな写真を選んで、フォーマットにコラージュし完成させる、この世に1つしかないパンフレットを作ることができる。この詳細は後日Perfumeのオフィシャルサイトなどで告知される。

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「Perfume 9th Tour 2022 "PLASMA"」2022年10月30日 さいたまスーパーアリーナ セットリスト

01. Plasma
02. Flow
03. ポリゴンウェイヴ(Original Mix)
04. 再生
05. Drive'n The Rain
06. ハテナビト
07. ナチュラルに恋して
08. Time Warp(v1.1)
09. ∞ループ
10. Spinning World
11. アンドロイド&
12. マワルカガミ
13. Party Maker
14. エレクトロ・ワールド
15. Puppy love
16. STAR TRAIN
17. さよならプラスティックワールド
18. Plasma

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【ライブレポート】Perfume、10年ぶりのたまアリでファンと約束「私たちはいつでも皆さんを待っています」(写真11枚) https://t.co/UBKNZf0Hdm

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