ライブイベント「FAKE MOTION 2022 SMR LIVE SHOW」が10月12、13日に東京・かつしかシンフォニーヒルズで行われ、
「FAKE MOTION」は、すべての優劣が卓球の勝敗で決まる“卓球戦国時代”の高校同士の覇権争いを描く、総合エンタテインメントプロジェクト。EBiDANメンバーを中心に人気若手俳優たちが登場キャラクターを演じ、テレビドラマや舞台、朗読劇、アプリゲームなどさまざまなメディアを通して物語が届けられている。ライブステージの開催は今回が4度目。一度の延期ののち、会場をかつしかシンフォニーヒルズに移して行われた同公演は「FAKE MOTION」の世界に新たに“参戦”する東北の雄・梵天丸高校がお目見えすることが事前にアナウンスされており、いったいどのようなストーリーが展開していくのか、ファンの期待が高まる中で公演当日を迎えた。全3公演のうち、音楽ナタリーでは2日目の夜の部の模様をレポートする。
EBiDAN NEXTから志賀李玖、竹内黎、千田波空斗、筒井俊旭、山本龍人の5人が歌うテーマソング「FAKE MOTION」で幕を開けた「FAKE MOTION 2022 SMR LIVE SHOW」。公演は、第1弾のライブステージぶりに復活した朗読劇パートからスタートした。「奪われた絆」と題されたストーリーの第1幕、古川毅(SUPER★DRAGON)演じる恵比寿長門学園のエース・桂光太郎のもとに、卓球部への体験入部を希望する3人の転校生が訪れる。小泉光咲(原因は自分にある。)演じる伊達道久、長野凌大(原因は自分にある。)演じる最上光義、近藤駿太(EBiDAN NEXT)演じる佐竹昭彦の3人は仙台からやって来た転校生らしく「好きな食べ物は牛タンです!」「好きな球団は楽天イーグルスです!」と、ご当地の名物を挙げながら自己紹介をしていく。
「好きな祭りは七夕祭りです!」とセリフを言うはずの近藤は、ここでさっそく先輩・古川に「先輩、好きな祭はなんですか?」とキラーパス。思わぬアドリブを投げかけられた古川は「えっ……と、EBiDAN THE LIVE!」と、見事な切り返しで観客を沸かせ「恐ろしいな……(笑)」と心の声を漏らした。冒頭からライブ感満載のやりとりが繰り広げられる中、光太郎は後輩の“トビモン”コンビこと井上紋太(モンキー / SUPER★DRAGON・田中洸希)と伊藤俊介(トビー / 原因は自分にある。・吉澤要人)を、転校生3人組の指導係に任命する。3人の子犬のような表情とかわいらしい仕草、そしてこれまでにない「先輩」呼びに、モンキーはすっかりメロメロになってしまう。
自由な校風が特徴の“エビ高”ならではの日常の描写が会場に穏やかな空気感をもたらしたのも束の間、続くシーンでは光太郎の前に“東北の独眼竜”として名を馳せる梵天丸高校の主将・伊達竜宗が姿を見せた。武藤潤(原因は自分にある。)演じる竜宗は右目を眼帯で隠したインパクト抜群のビジュアル。役に入り込み、“絶対悪”を生き生きと演じる武藤のヒリつくようなセリフ回しが観る者をグッと物語に引き込む。松村和哉(SUPER★DRAGON)演じる梵天丸の参謀・片山虎十郎とともに光太郎の前に立ちはだかって勝負をふっかけた竜宗は、試合に応じた光太郎に対し、ギフテッド(必殺技)「夢幻泡影(むげんほうよう)」を発動した。
竜宗の「夢幻泡影」は試合中に目が合った相手の記憶を改ざんするギフテッドで、これを受けた光太郎は卓球選手としての記憶を改ざんされ、自身をアマチュア無線同好会の会員だと思い込んでしまう。周囲から「コウ様」と呼ばれるほど気高い卓球魂を持つ光太郎が突如メガネにジャージ、リュックのオタク風ルックに成り代わり、これまでの面影もなく怯えている姿に衝撃を隠せないトビーとモンキー。すると、そこに現れたのは、これまでのストーリーでエビ高と切磋琢磨してきたライバル高の卓球部員たちだった。信玄明王高校の真田空(SUPER★DRAGON・志村玲於)、浅草雷門高校の木曽義雄(SUPER★DRAGON・池田彪馬)、天下布武学園の仙道利休(原因は自分にある。・大倉空人)、八王子南工業高校の市村哲(SUPER★DRAGON・ジャン海渡)は、自身の学校のエースたちも“文化系男子”に変貌してしまったことをエビ高の部員たちに伝える。するとそれを聞いていた道久は、記憶改ざんの原因は竜宗の「夢幻泡影」であること、その恐ろしいギフテッドを持つ竜宗は、自身の兄であることを明かした。
梵天丸高校の本拠地にトビーやモンキー、道久たちが乗り込んで1週間後の決戦の約束を取り付けたシーンを経て、第5幕ではエビ高を取り巻く仲間たちの“遊び心”が爆発。決戦に向け「誰が“エビ高連合軍”のリーダーにふさわしいか」と言い合いをする場面では、玲於、ジャン、彪馬、空人が自身のセリフの語尾に「ゴリラ!」を付けてお互いをディスるという4人のアドリブ合戦が観客の笑いを誘う。一方、梵天丸高校の卓球部員を演じるEBiDANメンバーたちも、しっかりとそれぞれのキャラクターに命を吹き込み、登場人物の豊かな個性をステージの上に立ち上がらせてゆく。オーバーリアクションと抑揚を付けた言い回しで帰国子女の支倉恒美を演じた米尾賢人(EBiDAN NEXT)と、大食いのムードメーカー・岩城孝雄を演じた桜木雅哉(原因は自分にある。)が「ハッピーセット!」と言いながら2人でハートマークを作って無邪気な1年生部員らしい振る舞いを見せれば、屋代景伸役のハル(
そんなエビ高連合軍と梵天丸高校の決戦が描かれたクライマックスシーンでは、キャストがステージ上にずらりと立ち並び、道久、光義、昭彦の臨場感あふれる実況のもと、各所で激闘を繰り広げた。手に持った台本をラケットに見立てたキャストたちは「朗読劇」の範疇には収まらないほどの激しいアクションで1対1のラリーを見せる。各試合の勝者、敗者それぞれの叫びもアドリブ満載で、真田空に敗れた景伸役のハルは「どうしよう、主将に怒られちゃう……カイくーん!」と、自身が所属する超特急の最年長にして「FAKE MOTION」の世界では薩川大学付属渋谷高校の主将・島津晃を演じているカイの名前を絶叫。対市村哲戦で勝利を収めた孝雄役の雅哉は、「一緒にケバブ食べに行こう!」と笑顔でジャンに語りかけた。
梵天丸高校と互角に渡り合うも、竜宗の圧倒的な力の前に敗れ去ろうとしていたエビ高連合軍。絶体絶命かと思われたところに現れたのは、「夢幻泡影」の“呪縛”から解き放たれた光太郎だった。雌雄を決する光太郎と竜宗の一戦では、「夢幻泡影」を攻略すべく生まれた光太郎の新たなギフテッド「スターゲイザー心眼バージョン」が炸裂。真紅の魔眼を晒してスマッシュを打ち込む竜宗と、静かに目を閉じてコースを読み切る光太郎の熱戦を、壇上のメンバーも観客も息を飲んで見守った。
勝負の決着のあとには竜宗・道久兄弟の“奪われた絆”にまつわる悲しくも愛に満ちた真実が明かされ、竜宗の胸の中で泣き崩れる道久の姿が観る者の心を打つ。そして、公演ごとに異なるストーリーが用意されていたエンディングシーンでは、アマチュア無線オタクの名残を引きずるコウ様のもとに、同じくオタクと化したエビ高連合軍の面々が集結してトビーとモンキーを困惑させるという結末が描かれた。瓶底メガネをかけた利休が手にしていたのは「仮面ライダーギーツ」出演のためグループ活動を制限中の杢代和人(原因は自分にある。)演じる真田海の顔がプリントされたうちわで、利休は「俺の推し、“もくでえ”です!」と笑顔を見せる。やりたい放題のオタク軍団にトビーとモンキーが追いかけ回されるというカオスが観客の眼前に広がる中で「奪われた絆」の物語は幕を閉じ、会場にはモンキーの「最悪なんだけど! これ悪夢!?(笑)」という悲痛な叫びが響いていた。
熱演の余韻も冷めやらぬままスタートしたライブパートでは、各グループの持ち曲や「FAKE MOTION」のテーマ曲が次々と披露され、会場の熱気をいっそう高めてゆく。トップバッターを担ったEBiDAN NEXTは李玖、黎、波空斗、俊旭、龍人の5人で天下布武学園のテーマソング「エンドゲーム」を披露したのち、賢人を加えた6人で「カチカク」へ。フレッシュでエネルギーに満ちた歌とダンスでまっすぐに観る者を鼓舞し、「疾風迅雷」の疾走感に満ちたパフォーマンスまで、3曲を全力で駆け抜けてみせた。
エビネクのメンバーが作り上げたさわやかな空気感を塗り替えたのは、梵天丸高校のメンバーを演じたキャストの面々。彼らがここで届けた同校のテーマ曲「夢幻泡影」は、雅やかなムードを宿したメロディアスなナンバーだ。“前衛”のダンスチーム・颯、壮吾、楽がダイナミックに舞うその後方で、潤、和哉、雅哉、ハル、賢人は息の合ったマイクリレーで曲を歌いつなぐ。続けて信玄明王高校のテーマ曲「花鳥風月」のイントロが鳴り響くと、ステージに姿を見せたのは洸希、潤、空人の3人。トリプルボーカルで歌をしっかりと聴かせるこのミドルバラードを、スポットライトに照らされた3人は表現力豊かに歌い上げ、その歌声にオーディエンスはじっくりと聴き入っていた。
スパドラ、げんじぶ、エビネクの3組だからこそ実現できる、本公演ならではの組み合わせによるセッションが観る者を楽しませたあとは、再び各グループのパフォーマンスセクションへ。げんじぶの6人がまず届けたのは、最新ナンバーの「チョコループ」。9月に幕を閉じた全国ツアーで披露されていた楽曲だが、演出なしのオリジナルパフォーマンスが届けられるのはこれが初めてとあり、客席は一瞬にして観測者(原因は自分にある。ファンの呼称)の興奮に包まれる。熱気渦巻く中、ステージ上のメンバーはお互いの頬を突ついたり、さわやかなウィンクを飛ばしたりと、キュートな仕草に全振りしたパフォーマンスでさらなる興奮を誘い、極め付けには潤と要人が作った大きなハートの中から光咲と雅哉が顔を覗かせるポーズで観測者を魅了してみせた。まっすぐな恋心を歌う甘酸っぱいエレクトロポップで客席に笑顔をもたらしたのち、リリースから3カ月足らずで早くも彼らのライブアンセムと化している「原因は君にもある。」をドロップした6人。空人が「気合い入れていくぞ!」と叫ぶと客席の観測者もクラップ音を響かせ、メンバーのパフォーマンスの勢いを加速させてゆく。会場の大きな一体感を受け取った凌大の口からは「俺たちげんじぶ、いつだって“7人”でやってます!」と、この場にはいない和人を思う愛ある叫びも飛び出していた。
ライブ中盤には、スパドラから玲於、ジャン、颯、彪馬、和哉の5人による薩川大学付属渋谷高校のテーマ「BEAT of ENERGY」、げんじぶの6人による謙信ソルト電子工学院のテーマ「SMASH」と、それぞれが先輩グループの持ち歌を披露するレアなシーンも。超特急メンバーが歌い踊る「BEAT of ENERGY」をカバーしたスパドラの5人は、緩急自在のダンスに強者の風格をにじませるこの曲の特徴を、気迫あふれるパフォーマンスで再現してみせる。一方のげんじぶメンバーも、ONE N' ONLY流のアッパーなエレクトロサウンドを踏襲した「SMASH」をパワフルに乗りこなし、いつにも増したアグレッシブな歌とダンスでオーディエンスのテンションを引き上げる。そして「SMASH」のラストには、スパドラの8人もステージに合流。14人はずらりと1列に並んで聴衆を煽り、この日一番の熱気と一体感を作り上げていた。
エビネク、げんじぶからバトンを受け取ったスパドラは、最後に「Indelible Magic」と「Cruisin'」の2曲を披露。メンバーはシックなジャケットスタイルでぐっと大人びたムードを醸しながら、スキルに裏打ちされたボーカルワークとラップリレーでオーディエンスを自身の世界観へと誘ってゆく。洒脱な雰囲気そのままに「Indelible Magic」から「Cruisin'」へとスムーズに展開すると、青いペンライトの光で満たされた客席を穏やかな笑顔で見つめながら、楽曲の心地よい疾走感に身を委ねた8人。甘く優しい余韻を残しつつ自身のパフォーマンスを終え、ジャンはここでオールキャストをステージへと呼び込んだ。
最後の曲を前に舞台上にラインナップしたメンバーは、ジャンの進行のもと今回のライブステージの感想を観客に伝えてゆく。竜宗を演じた潤は「FAKE MOTIONシリーズの新たな一員になれてうれしいです!」とコメント。ハルは「夏に開催される予定だったのが延期になって、その間に、うれしいことに超特急に加入しまして……」と、自分の身に起きた激動を改めてファンに伝えたうえで「昨日メンバーカラーがオレンジに決まったんですけど、オレンジ(のペンライト)を振ってくださる方がいてうれしいです。2日間、本当に楽しかったです!」と笑顔を弾けさせた。凌大は「朗読劇は初めてでめちゃくちゃ緊張したけど、稽古を通して(共演の)2組と仲良くなれたと思うのでうれしいです」と思いを語り、続く洸希は「前回の朗読劇に出られなかったので俺は初参戦だったけど、盛りだくさんな内容を届けられてよかったです。これからも温かく見守ってくれたら」と言葉に喜びをにじませた。そして最後にジャンは「毅に大きな拍手を!」と観客に呼びかけ、肺気胸からの復帰途中のため朗読劇のみの参加となった毅の奮闘に喝采を送る。
ライブの最後を飾ったのは、「FAKE MOTION」シリーズのテーマソングである「FAKE MOTION」。曲中の決めゼリフを担った潤は「負ける気がしねえな」と言うはずのところを「はい、これで記憶改ざーん!」と“竜宗バージョン”に言い換えて、眼帯をパタパタと振ってみせる。もう1つの決めゼリフパートを担当した洸希は「Get ready for the next!」と、「疾風迅雷」の歌詞の中にある自身の決めフレーズを引用し「やっと言えたよ、『疾風迅雷』の俺の決めゼリフ! フォー!」と喜びを爆発させた。楽が同い年のハルをお姫様抱っこして盛り上がったり、ステージのあちこちでそれぞれが笑顔を交わしたりとにぎやかなお祭り騒ぎの中で曲を終え、和哉は「最高だったぜー!」とひと言。玲於が「お前ら楽しみすぎだろ!」とメンバーに笑いかけると、ジャンは「皆さん笑い過ぎてお腹が痛いでしょうから、帰ってお腹のケアをしてくださいね(笑)」とファンを気遣っていた。
退場時には光咲の投げキッスが飛び出し、1人ステージに残った洸希もモンキーの必殺技「モンキースペシャルスマッシュ」を客席にお見舞い。最後の最後まで出演メンバーのサービス精神が詰め込まれていた本公演は、10月25日(火)までHuluストア、BARON、ZAIKOでアーカイブ配信が行われている。このアーカイブ配信では出演者のアフタートークも観ることができるので、気になる人はさっそくチェックしてみよう。
「FAKE MOTION 2022 SMR LIVE SHOW」2022年10月13日 かつしかシンフォニーヒルズ 夜公演 セットリスト
オープニングアクト
01. FAKE MOTION / EBiDAN NEXT
FAKE MOTION LIVE
02. エンドゲーム / EBiDAN NEXT
03. カチカク / EBiDAN NEXT
04. 疾風迅雷 / EBiDAN NEXT
05. 夢幻泡影 / 梵天丸高校
06. 花鳥風月 / 田中洸希(
07. チョコループ / 原因は自分にある。
08. 原因は君にもある。 / 原因は自分にある。
09. BEAT of ENERGY / SUPER★DRAGON(志村玲於、ジャン海渡、飯島颯、池田彪馬、松村和哉)
10. SMASH / 原因は自分にある。
11. Indelible Magic / SUPER★DRAGON
12. Cruisin' / SUPER★DRAGON
13. FAKE MOTION / オールキャスト
前田直敬 @maedanaotaka
アーカイブは25日(火)まで
お見逃しなく👀
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#FAKEMOTION
エビ高の前に立ちはだかる東北の独眼竜!スパドラ×げんじぶ×エビネクが紡ぐ“卓球戦国時代”新章の結末は(ライブレポート / 撮り下ろしカット90枚) - 音楽ナタリー https://t.co/84RE4d5eSe