竹藪から招き猫まで、豪華な演出で“BIG LOVE”を届けた新生・水曜日のカンパネラ初ワンマン

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水曜日のカンパネラが8月3日に東京・LIQUIDROOMで、新体制として初となるワンマンライブ「水曜日のカンパネラ ワンマンライブ2022 ~Neo poem~」を開催した。

詩羽(撮影:横山マサト)

詩羽(撮影:横山マサト)

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昨年9月にコムアイが脱退し、2代目ボーカリストとして詩羽(うたは)が加入した水カン。詩羽の加入以降は何度かイベントを行ってきたものの、ワンマンライブはこの日が初めて。場内が暗転すると、「アリス」のイントロとともに会場の四隅にうさぎの耳と仮面を身につけた4人の人物が現れ、観客がざわめく。

スタッフから受け取ったモップでステージを掃除する詩羽。(撮影:横山マサト)

スタッフから受け取ったモップでステージを掃除する詩羽。(撮影:横山マサト)[拡大]

登場とともに「アリス」を歌い上げた彼女は、初代水カンの楽曲「アラジン」を歌い継ぐ。詩羽はパフォーマンスの途中で、持っていたマイクと引き換えにスタッフから手渡されたモップでステージの掃除を開始するなど、自由な振る舞いで観客の心をつかんでいく。その後ステージ壁面への「Neo poem」のレーザー投影を合図に「ラー」と「バッキンガム」を堂々と披露した。

歌唱を終え「水曜日のカンパネラの詩羽です!」と自己紹介した詩羽は、「ちょっと、水飲みます!」と早々に拍手を静止し客席の笑いを誘う。観客に見守られながら豪快に水を飲み終えた彼女は「ヤバいね、ぎゅうぎゅうだよ。入ってすぐこの景色で、もうウルっときちゃった」と満員のLIQUIDROOMを見渡し、感慨深げに言葉を紡ぐ。ライブ中の撮影が問題ないことを口頭でスタッフに確認し「私のかわいい瞬間を撮っていただけたらうれしいです!」と茶目っ気たっぷりに声を弾ませた。

最初のMCを終えて披露したのは銭湯をモチーフにした楽曲「ディアブロ」。「いい湯だね」という歌声に合わせて、観客は頭上に掲げた腕をゆらゆらと揺らしてお風呂の湯気を表現し、彼女に呼応する。水を表現するかのように会場は青色に照らされ、幻想的な雰囲気が場内を包み込んだ。新曲「ティンカーベル」を歌い終えると詩羽はステージから退場。しばらくすると全身に電飾を身にまとって客席に現れた。「メデューサ」を歌いながら会場を闊歩した詩羽はステージ後方にたどり着くやいなや、PA席の前に置かれた脚立に腰掛け「モヤイ」のパフォーマンスを開始。ステージに背を向けて彼女に拳を突き上げる観客たちとコールアンドレスポンスを繰り広げながら、詩羽は時折PA席のほうへ振り返ってスタッフたちとも笑顔を交わしていた。

「かぐや姫」の様子。(撮影:横山マサト)

「かぐや姫」の様子。(撮影:横山マサト)[拡大]

観客との一体感を生み出した「モヤイ」のパフォーマンスを終えると、会場は再び暗転し、今度はお祭りを思わせる笛の音が鳴り始める。ライブ冒頭に登場したうさぎの耳と仮面を被った4人が提灯片手に会場を練り歩く。彼女たちがステージの奥に吸い込まれていくと、暗幕からはかぐや姫を思わせる竹藪のセットが登場。十二単を彷彿とさせる衣装に身を包んだ詩羽が竹藪の茂みの奥から「かぐや姫」を届けた。

曲の終了後、詩羽はあっけらかんと「(セットから)降りまーす」と宣言して場を和ませ、再び水をごくごくと飲む。彼女は今回の公演のチケットがソールドアウトしたことについて「活動を始めて1年くらいの20歳が、LIQUIDROOMでみんなと楽しく踊ることができる世の中なんです。私は自分を曲げずにやりたいことをやってきた結果、運やご縁があってここにいるんですけど、自分のスタイルを貫いていれば何かのタイミングでいいことがあるんじゃないかなって思います。たった20年しか生きていませんが、そう思ってます」と話し、「タイミングとかご縁みたいな運命的なものを逃さないでね。ウチと一緒に駆け抜けてほしい」と観客に力強く語りかけた。

「エジソン」のパフォーマンス。(撮影:横山マサト)

「エジソン」のパフォーマンス。(撮影:横山マサト)[拡大]

「いい話をしたところで次の曲へ行きたいと思うんですけど……」と自ら話を切り上げた詩羽は、観客にスマートフォンのライトをステージに向けるよう呼びかける。そうして作られた“天の川“に照らされながら、彼女は「織姫」を披露する。続けざまに「卑弥呼」のパフォーマンスを繰り広げたのち、2曲目となる新曲をお披露目した。楽曲の途中では、5人のカメラマンがステージに突如現れる演出もあり、彼らは詩羽を囲い込んだのちに客席にカメラを向けてすぐさまステージを後にした。その後しばらくすると、今度は白衣を着た“助手”たちが現れる。助手たちは蓄音機やデスクトップ型のコンピュータなどを用意して「エジソン」のミュージックビデオを再現したセットを準備し、詩羽を迎え入れた。

「水曜日のカンパネラ ワンマンライブ2022 ~Neo poem~」東京・恵比寿 LIQUIDROOMの様子。(撮影:横山マサト)

「水曜日のカンパネラ ワンマンライブ2022 ~Neo poem~」東京・恵比寿 LIQUIDROOMの様子。(撮影:横山マサト)[拡大]

大きな拍手に包まれて「エジソン」のパフォーマンスを終えた彼女は「楽しい! 楽しい!」と感情を昂らせながら、このワンマンに懸ける思いを語り始めた。コロナ禍真っ只中の2021年に活動を開始した彼女は、「みんなの顔が半分しか見えない状態でステージに立っているから、どうしても表情全部が見えなくて……。10のラブを届けてくれても、7しか伝わらなかったりするんです。だからこそ、手拍子とかの熱量がすごく大きく伝わるんですよ」と観客に微笑む。そして、「さっき目が合ったかも、と思ったあなた! ……そうです、目が合ってます! 私は目を合わせにいってるので、全員勘違いじゃないです。だから全員に熱い視線で詩羽のこと見てもらって。ラブはちゃんと届くので、伝えられるだけ伝えてほしい」と優しく語りかけた。

またMC前に披露した楽曲「エジソン」がSNSで“バズっている”状況については、「いろんな人の目に留まることが増えてきて、詩羽のもとにはラブ以外のヘイトも数えきれないほど届くんじゃないかなと思うんです。だからここにいるみんなを先頭に、ヘイトをかき消すくらいのラブを届けてくれたらなって!」と溌剌と話す。そして、「2022年8月3日に水曜日のカンパネラのワンマンあったな、って覚えててもらって。私に対してラブでいてくれる期間はみんなのラブを分け続けてほしいですし、私も与え続けたいです。どこにいても『ラブの多い世界でいようぜ』って伝えていきたいと思ってます」と客席に晴れやかな笑顔を向けた。

詩羽(撮影:横山マサト)

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じきにライブが終了してしまうことを匂わせながら、詩羽は「みんな、筋肉痛になる準備できてる? 筋肉痛になるくらい全力で楽しんでもらえたらと思うので、最後までよろしくお願いします!」と観客を鼓舞し、「桃太郎」のパフォーマンスを開始する。彼女は「き・び・だーん」というフレーズに合わせて、観客とともに、卓球の三角打法をモチーフとしたお馴染みの振り付けに興じたのち、「一寸法師」を続けて披露した。これら2曲を終えると、ステージ上に初代水カンから受け継いだ風船型の巨大招き猫が満を辞して登場。詩羽は壇上に堂々と鎮座する猫と戯れながら、縁起のいい金色の紙吹雪に包まれて「招き猫」を披露した。「忙しい猫の手も借りたいくらい」と最後のフレーズを歌い切り、彼女は「ありがとうございました! ビッグラーブ! ちゅっちゅバイバーイ!」と会場に屈託のない“ビッグラブ”を届け、ステージの幕を下ろした。

開演前に観客たちをざわつかせた「ライブ終了後には、詩羽が来場者全員にお名刺をお配りします」というアナウンス通り、終演後は詩羽が直々に観客をお見送り。アクリル板越しに1人ひとりと目を合わせて自身の名刺を手渡しながら、すべての観客の退場を優しい眼差しで見届けた。

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水曜日のカンパネラ「水曜日のカンパネラ ワンマンライブ2022 ~Neo poem~」2022年8月3日 LIQUIDROOM セットリスト

01. アリス
02. アラジン
03. ラー
04. バッキンガム
05. ディアブロ
06. ティンカーベル(新曲)
07. メデューサ
08. モヤイ
09. かぐや姫
10. 織姫
11. 卑弥呼
12. (新曲)
13. エジソン
14. 桃太郎
15. 一寸法師
16. 招き猫

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