「ドライブ・マイ・カー」の音楽をよりドラマチックに届けた石橋英子初のブルーノート東京公演

5

95

この記事に関するナタリー公式アカウントの投稿が、SNS上でシェア / いいねされた数の合計です。

  • 20 74
  • 1 シェア

石橋英子のワンマンライブが4月13、14日に東京・ブルーノート東京で開催された。

石橋英子(撮影:タイコウクニヨシ)

石橋英子(撮影:タイコウクニヨシ)

大きなサイズで見る(全19件)

「石橋英子 BAND SET with ジム・オルーク、山本達久、マーティ・ホロベック、藤原大輔、松丸契」の様子。(撮影:タイコウクニヨシ)

「石橋英子 BAND SET with ジム・オルーク、山本達久、マーティ・ホロベック、藤原大輔、松丸契」の様子。(撮影:タイコウクニヨシ)[拡大]

第94回アカデミー賞で国際長編映画賞を受賞した濱口竜介監督による映画「ドライブ・マイ・カー」の音楽を担当したことで、映画とともに脚光を浴びている石橋。初となるブルーノート東京公演では、ジム・オルーク(G)、山本達久(Dr)、マーティ・ホロベック(B)、藤原大輔(TennorSax, Flute)、松丸契(AltoSax, Flute, Clarinet)をバンドメンバーとして迎え、「ドライブ・マイ・カー」の楽曲や、アメリカのドラマ「LAW & ORDER」の登場人物をモチーフとした作品「For McCoy」の収録曲などを届けた。

ジム・オルーク(G)(撮影:タイコウクニヨシ)

ジム・オルーク(G)(撮影:タイコウクニヨシ)[拡大]

映画における音楽は、良質でありつつも観客に意識されないことが理想とされる。「ドライブ・マイ・カー」のサウンドトラックもその原則に従い、“風景のような音楽“を目指して制作されたとのことだが、今回のライブではその楽曲はより雄弁に、ドラマチックにアレンジして披露された。ライブの1曲目は表題曲「Drive My Car」。ピアノ、ドラム、ベース、そして管楽器の音色が溶け合い、心地いいムードが生み出されていくが、演奏の後半で山本のドラムが徐々に勢いを増していくと、ジムのギタープレイが炸裂する。ジムは取り憑かれたかのように激しくギターをかき鳴らし、観客に大きな衝撃を与えた。

左から石橋英子(Piano, Syn, Flute, Vo)、マーティ・ホロベック(B)。(撮影:タイコウクニヨシ)

左から石橋英子(Piano, Syn, Flute, Vo)、マーティ・ホロベック(B)。(撮影:タイコウクニヨシ)[拡大]

左から松丸契(AltoSax, Flute, Clarinet)、藤原大輔(TennorSax, Flute)。(撮影:タイコウクニヨシ)

左から松丸契(AltoSax, Flute, Clarinet)、藤原大輔(TennorSax, Flute)。(撮影:タイコウクニヨシ)[拡大]

「ドライブ・マイ・カー」のサウンドトラックは「Drive My Car」と「We'll live through the long ,long days,and through the long nights」の2曲と、その派生バージョンで構成されている。石橋の挨拶後、優美なピアノの旋律を主体とする「Drive My Car (Misaki)」と、リズムが強調された「Drive My Car (the important thing is to work)」をシームレスに演奏したバンドは、英語が堪能だという松丸のタイトルコールから「We'll live through the long ,long days,and through the long nights」を披露。この曲は物語と観客の距離を近付ける「歌のない歌もの」という濱口監督のリクエストから作られた楽曲であり、ピアノと管楽器により、心に染み入るようなメロディが奏でられた。

石橋英子(撮影:タイコウクニヨシ)

石橋英子(撮影:タイコウクニヨシ)[拡大]

悲しげなピアノの演奏で始まった「Drive My Car(Kafuku)」では歪な電子音が流れ、にわかに緊張感が漂う。そこから「For McCoy」の収録曲「I can feel guilty about anything」につなげたバンドは、2018年のアルバム「The Dream My Bones Dream」の収録曲を続けて演奏し、石橋はその歌声を披露。車掌の帽子をかぶった彼女が満洲鉄道やウクライナの駅名を記した紙をめくりながら歌った「Iron Veil」ではサックスの妖艶な音色も響きわたった。

「石橋英子 BAND SET with ジム・オルーク、山本達久、マーティ・ホロベック、藤原大輔、松丸契」の様子。(撮影:タイコウクニヨシ)

「石橋英子 BAND SET with ジム・オルーク、山本達久、マーティ・ホロベック、藤原大輔、松丸契」の様子。(撮影:タイコウクニヨシ)[拡大]

そして「For McCoy」収録の「Ask me How I Sleep at night」でライブ本編を締めくくった石橋とバンドメンバーは、拍手の中、ステージに戻ると10年前の2012年に発表されたアルバム「Imitation of Life」の表題曲で演奏を再開。石橋がポップなメロディを歌う一方、バンドメンバーの演奏は次第に激しくなり、圧倒的なセッションが繰り広げられる。会場が興奮に包まれる中、最後に石橋は2012年発表のピアノソロアルバム「I'm armed」から「I'm old」をバンドアレンジで演奏。穏やかな余韻を残し、ライブを終えた。

なお石橋は4月22日に大阪・Billboard Live OSAKA、4月23日に三重・radi cafe apartmentでも単独公演を行う。

この記事の画像(全19件)

石橋英子 BAND SET with ジム・オルーク、山本達久、マーティ・ホロベック、藤原大輔、松丸契2022年4月13、14日 ブルーノート東京 セットリスト

01. Drive My Car
02. Drive My Car (Misaki~the important thing is to work)
03. We'll live through the long ,long days,and through the long nights
04. Drive My Car (Kafuku)
05. I can feel guilty about anything
06. Agloe
07. Iron Veil
08. I can feel guilty about anything
09. Ask me How I Sleep at night
<アンコール>
10. Imitation of Life
11. I'm old

石橋英子 BAND SET with ジム・オルーク、山本達久、マーティ・ホロベック、藤原大輔、松丸契

2022年4月22日(金)大阪府 Billboard Live OSAKA
[1st]OPEN 16:30 / START 17:30
[2nd]OPEN 19:30 / START 20:30

2022年4月23日(土)三重県 radi cafe apartment
OPEN 17:00 / START 18:00

全文を表示

読者の反応

  • 5

SPACE SHOWER MUSIC STAFF @ssm_staff__

#石橋英子 @Eiko_Ishibashi

先日のブルーノート公演のライブレポートが掲載されました。

4/22は大阪ビルボード公演になります。4/23四日市公演はソールドアウトですので、皆様大阪へ🐩 https://t.co/r0bkxJ1jf0

コメントを読む(5件)

リンク

あなたにおすすめの記事

このページは株式会社ナターシャの音楽ナタリー編集部が作成・配信しています。 石橋英子 / ジム・オルーク / 濱口竜介 / ドライブ・マイ・カー の最新情報はリンク先をご覧ください。

音楽ナタリーでは国内アーティストを中心とした最新音楽ニュースを毎日配信!メジャーからインディーズまでリリース情報、ライブレポート、番組情報、コラムなど幅広い情報をお届けします。