米米CLUB「大芸術祭」全17公演完走、充実のセットリストで36年間を表現

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米米CLUBの全国ツアー「a K2C ENTERTAINMENT TOUR 2021 ~大芸術祭~」のファイナル公演が、12月1日に神奈川・神奈川県民ホールにて開催された。

米米CLUB「a K2C ENTERTAINMENT TOUR 2021 ~大芸術祭~」11月27日の東京公演の様子。(撮影:荒川潤)

米米CLUB「a K2C ENTERTAINMENT TOUR 2021 ~大芸術祭~」11月27日の東京公演の様子。(撮影:荒川潤)

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米米CLUBは2020年10月よりデビュー35周年記念ツアーの開催を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により延期。ツアータイトルを改め今年9月に開幕したものの、カールスモーキー石井(Vo, MC)の怪我により3公演を延期していた。今回の神奈川県民ホール公演は当初の予定から約2カ月を経て行われ、待ちに待ったファンの前でさまざまなパフォーマンスが繰り広げられた。

11月27日の東京公演より、MARI(左 / Dance)とMINAKO(右 / Dance)。(撮影:荒川潤)

11月27日の東京公演より、MARI(左 / Dance)とMINAKO(右 / Dance)。(撮影:荒川潤)[拡大]

ライブのオープニングではシュークリームシュの2人が緞帳の間から登場し、ステージ中央にメトロノームを置く。メトロノームがリズムを刻む中で緞帳が開きメンバーが姿を現すと、客席からは大きな拍手が沸き起こった。シュークリームシュとテキーラまさはる(Dance, Cho)が踊っている振り付け、メンバーの動きは代表曲「君がいるだけで」のものだが、音は一切鳴らない。ここで石井は演奏をしない理由を「どの歌番組に出ても『この曲を歌って』って言われたら飽きるでしょ? そういう思いを込めて歌うの止めたの(笑)」と明かしつつ「歌わないことによって自分の歌がどんなに大切かわかりました。歌があってこその演奏です」と言い放ち、観客の笑いを誘った。

のっけから観客を煙に巻くような演出を繰り広げたあとは「今夜はフル回転」をパワフルにパフォーマンス。続いてのデビュー曲「I・CAN・BE」はBIG HORNS BEE+のホーンサウンドがさらに華を増した芳醇なアレンジで披露され、36年のキャリアを改めてオーディエンスに印象づけるひとときとなった。続くMCで石井はツアー序盤のアクシデントについて「僕は全然心配していなかったのに、皆さんのほうが心配して……」と強がりつつ、スタッフからずっと体調を気遣われていたという毎日を「ガラスのように扱ってくれて。これがずっと続けばいいなあと思いました(笑)」と振り返った。

米米CLUB「a K2C ENTERTAINMENT TOUR 2021 ~大芸術祭~」11月27日の東京公演の様子。(撮影:荒川潤)

米米CLUB「a K2C ENTERTAINMENT TOUR 2021 ~大芸術祭~」11月27日の東京公演の様子。(撮影:荒川潤)[拡大]

石井曰く「疲れちゃうので、テープに任せている」という事前録音のメンバー紹介に続いては「忘れないよ」をシンプルなバンドサウンドで披露し、観客を魅了する。爽快感あふれる「WE ARE MUSIC!」ではシュークリームシュの笑顔につられるように場内の空気も1つになるが、「芸術家」そして「いただきました」という“ソーリー曲”の連投で再び会場を混沌へと導いた。続くシュークリームシュのコーナーではMARI(Dance)とテキーラまさはるが「五穀豊穣・飢餓飢饉」、MINAKOが「日常の私」を歌う最中に、石井がステージ袖から“二次元生中継”と称してツッコミを入れまくる。石井の脱線の激しさにMINAKOは途中からスルーを決め込み、MARIも「帰りが遅くなっちゃうから」と観客を気遣うそぶりを見せていた。

日本の原風景をとらえた映像とともに「愛を米て」の雄大なアンサンブルが響いたあとは「Eことあるサ」へ。この曲では着席が義務付けられたオーディエンスのためにシュークリームシュがスツールを用いた振り付けを披露し、座ったままでも楽しめる演出で客席との一体感を作り上げた。その後は石井扮する“諜報部員”の辰次郎と、BIG HORNS BEE+の石川県金沢(Sax)扮する警官による寸劇に突入するが、ストーリーから脱線したボイスパーカッション対決を繰り広げる展開に。さらにジョプリン得能(G)扮する謎の船乗り・マドロスさんも乱入するというカオスっぷりを披露した。

11月27日の東京公演より、ジェームス小野田(Vo)。(撮影:荒川潤)

11月27日の東京公演より、ジェームス小野田(Vo)。(撮影:荒川潤)[拡大]

BIG HORNS BEE+のナンバー「African Fever」ではテキーラまさはるが真紅のマーライオンの着ぐるみ姿でアジテートし、会場内に熱いビートを響かせる。そしてステージ上にスモークが焚かれる中、紅白の甲冑姿のジェームス小野田が華々しく登場しライブのクライマックスを迎えた。小野田はヘヴィなロックアレンジの「紅い人」を熱唱し客席を圧倒。「インサート デザート」では小野田と石井のパワフルな歌声、メンバーが鳴らすグルーヴが会場を揺らすが、曲中の石井の小芝居パートではスケッチブックを手にしたBIG HORNS BEE+が写生大会を始めるなど、ファイナルならではの大脱線で客席を沸かせた。

公演当日の1日に配信リリースされたファンキーな新曲「WHO?」、1997年にリリースされた解散前ラストシングル「Special Love」とバンドの軌跡を感じさせる幅広い年代の楽曲をパフォーマンスし、ラストは「Shake Hip!」で客席を盛り上げる。メンバー全員が去ったあと、最後にステージに残った石井はメトロノームをステージ中央に置き、カオスな展開を見せたこの日を「今日は俺、辛かったわ……(笑)」と苦笑いで振り返っていた。

米米CLUB「a K2C ENTERTAINMENT TOUR 2021 ~大芸術祭~」11月27日の東京公演の様子。(撮影:荒川潤)

米米CLUB「a K2C ENTERTAINMENT TOUR 2021 ~大芸術祭~」11月27日の東京公演の様子。(撮影:荒川潤)[拡大]

アンコールでは美しい夕景の映像をバックに「ア・ゲ・ハ」の優美なアンサンブルが届けられる。すべての曲が終わると石井は全17公演を着席限定で行ってきたツアーを「意外と歌詞の一言ひと言が伝わったんじゃないかと」と振り返り、「米米CLUBは常に生音で勝負してきたバンドです。これからもがんばっていきたい」とデビューから36年を経ても前進し続ける姿勢を明かし、大きな拍手を浴びた。石井がマイクを通さずに「また遊ぼうぜ!」と叫び、緞帳が下りたあともオーディエンスの拍手は止まず、ステージ上にメンバーが横1列に並んでのカーテンコールへ。メンバーは笑顔で客席に手を振り、ツアーを完走した喜びを伝えていた。

なお12月26日(日)には、今回のツアーのうち11月28日に行われた東京・東京ガーデンシアター公演の模様がWOWOWプラスにて放送される。

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米米CLUB「a K2C ENTERTAINMENT TOUR 2021 ~大芸術祭~」2021年12月1日 神奈川県民ホール セットリスト

01. NO SOUND OF SILENCE(君がいるだけで)
02. 今夜はフル回転
03. I・CAN・BE
04. 忘れないよ
05. WE ARE MUSIC!
06. 芸術家
07. いただきました
08. 五穀豊穣・飢餓飢饉
09. 日常の私
10. 文化女子
11. 愛を米て
12. Eことあるサ
13. 俺は河原の諜報部員
14. African Fever
15. 紅い人
16. Primitive Love
17. インサート デザート
18. WHO?
19. Special Love
20. Shake Hip!
<アンコール>
21. ア・ゲ・ハ

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🐾まろすけฅ🐾 @maroei5

【ライブレポート】米米CLUB「大芸術祭」全17公演完走、充実のセットリストで36年間を表現(写真10枚)
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