本公演は、5月2日に誕生日を迎えたミミミユを祝うため企画されたもの。当初は5月8日に同会場で開催予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言などを受けて延期となっていた。8月にはグループのディレクターである田中紘治、ミミミユ、ユブネ、レーレが相次いで新型コロナウイルスに感染し、約1カ月間のレイヴ活動休止を余儀なくされるといった波乱万丈がありつつも、ようやく開催に漕ぎ着けた形だ。
会場のEX THEATER ROPPONGIは、MIGMA SHELTERの単独公演の会場としては過去最大規模。場内の各所にはAqbiRecのライブ配信をこれまでも手がけてきたカメラマンや、スイッチャー陣が待機している。開演時間を迎えると、ミミミユが白いワンピースのパジャマ姿で登場。2016年に“崩壊”したベルハーことBELLRING少女ハートの楽曲の中から1960年代のサイケデリックロックテイストの「WIDE MIND」、ホラー映画をモチーフにした「タナトスとマスカレード」をカバーし、続けて初オリジナルソロ曲「Diva」を披露した。この曲はMIGMA SHELTERの楽曲にトラックメイカーとして参加するTomohiko Togashiがサウンドプロデュースしたサイケデリックトランス。ミミミユは前日に振り入れしたというダンスを激しく妖艶に踊り切り、会場バルコニーから見守っていたMIGMA SHELTERのメンバーも拍手を送った。ソロパフォーマンスを終えたミミミユは「このあとはMIGMA SHELTER、長尺を踊るんですけど、お気を付けて、がんばってください。ミちゃんもがんばってください」とファンおよび自分自身にエールを送って一旦退場した。
転換後、メンバーの「ガンギまっていきまっしょい!」というかけ声に続いて「69」の重厚なギターリフが鳴り響くと、ミミミユがバイクにまたがって登場。この日のために教習所に通い、生誕前日に卒業検定に合格したという彼女は、バイクをステージの後方に停車し、ステージ中央で勢いよく踊り始める。そこへMIGMA SHELTERのメンバーが1人、また1人と現れ、勢ぞろいしたフルメンバー6人でのパフォーマンスに突入すると、ファンも腕を突き上げて盛り上がった。「Unbirthday」「BANG ON」「Road」とボルテージの高い楽曲が続き、グループ屈指の人気曲「Joint」で早くもクライマックスのような熱狂が生まれる中、ユブネの歌い出しが印象的な「Egg Head」へ。大サビが延々とループする通称“無限Egg”でメンバーもファンも幸福な疲労感に包まれた。
スタイリッシュなサウンドの「Spider Line」では、10年以上トレードマークとしていたロングヘアをバッサリと切ったレーレの大人びたシルエットとダンスが見事に映える。そこから「theAnswer」「NAME」と美しい旋律のトランスが続き、会場は心地よいダンスフロアへと化していく。「It doesn't matter」でチルアウトしたあと、怪しげな儀式を連想させる「明けの歌」へ。ミミミユの妖艶な笑みと激しく振り切ったダンスがレイヴのトリップ感を加速させ、初期からの人気曲「GIPS」「Svaha Eraser」がフロアの熱気を再び高めていく。
ホラー映画をモチーフにしたダーク系トランス「Baron」、「不思議の国のアリス」の世界観で演劇的要素を取り入れた「Rabiddo」、ジャジーなピアノが楽しい異色トランス「Drops」から現体制のテーマ曲とも言える「TOKYO SQUARE」に突入。イントロでセンターを切り開くように歩くブラジルは女王のような風格の笑みでファンを魅了し、ダンスのソロパートではタマネの躍動感あふれるパフォーマンスが観客の目を釘付けにした。ラテンギターの旋律がフロアを熱くした「Coro Da Noite」、「アリス」の物語が目まぐるしく展開する「My Wonderland」、ナーナナラの力強い歌唱がドラマチックな「QUEEN」が次々と繰り広げられ、ファンが徐々に力尽きていく中、6人は「Paralyzing」「Compression: Free」を連発。攻撃的なシンセサウンド、huezによる照明とレーザー、メンバーによる狂乱のダンスがグループのコンセプト“アタマぶっ壊れるまで踊れ”を体現し、約150分間のノンストップレイヴは終了した。
MCではミミミユが「本当は(生誕を)5月にやる予定だったんですけど、諸々あり今日になりました。本当にお待たせした。昨日やっと(バイクのAT小型限定普通二輪免許に)卒検に受かって、本当はもっと早く取れる予定だったんですけど、1回落ちてしまい……」とコメントし、照れ笑いを浮かべる。ここでメンバーが突然バースデーソングを歌い出すと、ブラジルがイチゴのタルトを持って登場。サプライズに極端に弱いミミミユは、パニック状態に陥り、ステージの隅まで逃げ出げてしまう。ブラジルに手を引かれてセンターに戻り、「一番好きなケーキ! 一番好きな……」とニンマリ微笑んだミミミユは、ソロ曲について「昨日の夜に振り入れをやって、本当にギリギリまで練習をして、ちゃんとできたことがなかったくらいなんですけど、本番はなんかできちゃって、よかった」と語り、ユブネもミミミユのソロについて「かわいさもカッコよさもあって、さすがは我らがリーダー」と讃えた。
10月2日に東京・TSUTAYA O-EASTでブラジルの生誕レイヴ「胎児の夢」が開催されることを告知したあと、ステージには再びバイクが登場して記念撮影へ。ミミミユが「みんなは赤ちゃんになれましたでしょうか? 大好きなみんなにお祝いしてもらえて、とてもうれしいです。配信で観てくれた方も、(情勢のために)来れなくなって残念って言ってくれてた方もたくさん(ツイートで)見ましたが、ちゃんと伝わっておりますので、ありがとう」と感謝を伝えたあと、6人は深くお辞儀してステージをレイヴを締めくくった。
YouTubeでは本公演の映像が9月26日23:59まで公開されている。またMIGMA SHELTERが所属するAqbiRecは、MIGMA SHELTER、NILKLY、そして新グループのメンバー募集を開始した。アイドルを目指す女性は要チェックだ。
MIGMA SHELTER・ミミミユ生誕RAVE「まだまだ赤ちゃんでいさせて!あの日、みーは大人の階段を登らないと誓ったの。だってしんどそうだから。」
2021年9月12日 EX THEATER ROPPONGI セットリスト
「まだまだ赤ちゃんでいさせて!あの日、みーは大人の階段を登らないと誓ったの。だってしんどそうだから。」
2021年9月12日 EX THEATER ROPPONGI セットリスト
ミミミユ
01. WIDE MIND
02. タナトスとマスカレード
03. Diva
MIGMA SHELTER
01. 69
02. Unbirthday
03. BANG ON
04. Road
05. Joint
06. Egg Head
07. Spider Line
08. theAnswer
09. NAME
10. It doesn't matter
11. 明けの歌
12. GIPS
13. Svaha Eraser
14. Baron
15. Rabiddo
16. Drops
17. TOKYO SQUARE
18. Coro Da Noite
19. My Wonderland
20. QUEEN
21. Paralyzing
22. Compression: Free
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ますおぱも @orekinokoebc
六本木exシアター、少なくともバイクは走らせられるだよな https://t.co/OcMfXDfw6x