今年5月にリリースされた「The Chaos Chapter: FREEZE」はわずか1週間で63万を超える販売枚数を記録し、アメリカ・Billboardのメインアルバムチャート「HOT 200」で5位、日本のオリコン週間アルバムランキングで初週首位を獲得するなど世界的にヒットしているアルバム。「HOT 200」に9週連続チャートインという記録もデビュー3年目のグループとしては初という快挙を成し遂げている。「The Chaos Chapter: FIGHT OR ESCAPE」は、そんな大ヒット作に「LO$ER=LO♡ER」「MOA Diary (Dubaddu Wari Wari)」「0X1=LOVESONG (I Know I Love You) feat. Seori (Emocore Mix)」の3トラックを追加し、新たに“FIGHT”と“ESCAPE”という2つのコンセプトを打ち出してリリースされた。またMOA(TOMORROW X TOGETHERファンの呼称)のためのスペシャルバージョンとしてフォトブックを追加した“TOGETHER”バージョンも用意され、3形態での発売となった。
3カ月ぶりという短いスパンでのカムバックとなったTOMORROW X TOGETHERは、ショーケースイベントにオールブラックのコーディネートで登場。最初の挨拶でYEONJUNは「最短期間でカムバックすることになりました。ドキドキしていますし、楽しみです。今回の活動を通じて、さらに成長した姿をお見せしたいと思います」とカムバックへの意気込みを述べた。
「The Chaos Chapter: FIGHT OR ESCAPE」についてMCから説明を求められたHUENINGKAIは「『The Chaos Chapter: FREEZE』では、突然の世界の変化に何もできず凍ってしまった少年の物語を盛り込みましたが、今回のアルバムでは世界に立ち向かって戦う、または世界から完全に逃げ出したいと思う少年の本当の心を表現しました。少年がこのような心に気付いたのは僕を見つけてくれた“君”に出会ったからです。予測できない窮屈な現実を直面したとき、その状況を解決していく方式が人によって異なると思いますが、僕たちの方式は『君と共に立ち向かう』または『君と逃げ出す』ということでした」とコメントした。リード曲「LO$ER=LO♡ER」はエモポップパンクの楽曲。この曲についてTAEHYUNは「爆発性のあるコーラスと何度でも聴きたくなるフックが目立つ曲。世の中からは “LO$ER”のように見えても、唯一の救いである君にとってはお互いを救い合う関係でいたい。そして唯一の答えである君を救うためにたとえ失敗するとしても世界に立ち向かって戦う、または君と一緒に逃げ出したいという少年のロマンチックな心を描きました。『0X1=LOVESONG (I Know I Love You)』に続く、僕たちだけのラブソングです」と胸を張った。またこの楽曲のラップパートの作詞に参加したYEONJUNは「パン・シヒョクPDが今回のタイトル曲のラップを書いてみたらどうかと提案してくださり参加することになりました。初めてタイトル曲の作業に参加することになり、個人的にもとても意義深かったです。『このサイテーな世界の終わり』というドラマがあるんですが、これを観て歌詞の大きな構想を描くことになりました。2人の主人公が冒険に旅立ち経験する感情の変化が印象的で、ソウルメイトに会って救われ、一緒ならなんでも乗り越えられるという感情を包括的に盛り込みました。少年の切実な感情に注目してください」と聴きどころとこだわりを明かした。
また「LO$ER=LO♡ER」には、ジャスティン・ビーバー、The Weekndなどの世界的アーティストの曲に参加したシンガーソングライターのビリー・ウォルシュ、ポスト・マローンやカミラ・カベロ、5 Seconds Of Summer、セレーナ・ゴメス、テイラー・スウィフトらと主に楽曲制作を行ったスタープロデューサーのルイス・ベルが参加。彼らとの楽曲制作は先日HYBEが買収した、ジャスティン・ビーバーらが所属するアメリカのメディア企業・Ithaca Holdingsのスクーター・ブラウン氏に相談を持ちかけたことがきっかけで決定したという。ブラウン氏は「TOMORROW X TOGETHERに合いそうだ」という理由でTOMORROW X TOGETHERの制作チームに2人を紹介し、今回の座組での楽曲制作が進行した。HUENINGKAIは「僕たちが普段好んで聴いている楽曲を作っている方が曲作りに参加してくださって光栄でしたし、完成した曲を聴いてうれしい気持ちになりました」と笑顔で語った。また本作の制作に向けてブラウン氏はパンPDにキース・リチャーズ(The Rolling Stones)が使用していたギターをプレゼント。このギターを使って録音されたサウンドが「LO$ER=LO♡ER」には盛り込まれているそうなので、こちらにも注目したい。
TOMORROW X TOGETHERの楽曲タイトルは独特で意味深なものが多く、今回の「LO$ER=LO♡ER」も例外ではない。「LOSER」の「S」に置き換えられたドルマークについてSOOBINは「少年が気付いた欲望にはお金に対する率直な気持ちも含まれています。お金に執着する大人の姿を嫌いながらも、君と僕を救うためにはお金が必要で、それで一発逆転を夢見るという話を盛り込みました」とコメント。TAEHYUNは「周りを見ると仮想通貨や株式の投資などお金を稼ぐ方法に興味を持っている友達が多いような気がします。程度の差はあると思いますが、少なくともお金が暮らしの手段であり、生存に必要だと感じるのは誰でも同じような気がします。特に僕たち世代は現実に直面する瞬間が早くなっている。だから小さい頃からお金について考えるようになるのだと思います」と語る。YEONJUNは「正直これまで僕はお金の重要性を認めていませんでした。いつも幸せが優先だと考えていましたし、お金についてあまり知らなかったと思います。しかし社会生活を始めて、今は自分が欲しいものを得るためにはお金が必要だとわかりました」とZ世代のリアルな感情を重ねた楽曲であることを切実に述べた。
「LO$ER=LO♡ER」のミュージックビデオでは、5人がそれぞれ異なるシチュエーションでZ世代が抱える問題や窮屈な現実を打破しようともがき、立ち向かう姿が描かれる。SOOBINはハンバーガー屋でフライドポテトを投げて遊び、店員に怒られてお金も払わずに逃げ出す少年、HUENINGKAIはカフェで働くパートタイマー、BEOMGYUは親子間での問題を抱えるインフルエンサー、YEONJUNはATMの傍らで見かけた現金がぎっしり入ったカバンを持って逃げ出す少年、TAEHYUNはスケートボードに熱中する少年を演じた。BEOMGYUは「怒っても叫んだことは今までなかった。でも今回叫ぶ演技をして自分の違う面を見ました。そのシーンを観た人が開放感を感じてくれたら」と語る。今回の撮影で初めてフライドポテトを投げたというSOOBINは「快感を感じる少年の姿を表現しました。物を蹴ったり、人にフライドポテトを投げたり、トラックに忍び込んで隠れたりして面白くもあったんですが、こんなことをしてもいいのかなという気持ちもありました」と、その行為に罪悪感を感じたことを明かした。
MVの中の少年たちのように抗えない問題に直面したとき、TOMORROW X TOGETHERの場合は、“FIGHT”(=戦う)するか“ESCAPE”(=逃げる)するかという質問がMCから投げかけられるとTAEHYUNは「変化を作り出す能力が僕になければ、その状況に合わせて進化してその苦しみに慣れるまで待つ。そういうタイプです。自分が無力であることを感じているからこそ、社会ではなく自分自身の中でのベストを探しているような気がします。なので僕は戦うより、自分でできる方法を探すんじゃないかなと思います」と自分なりの考えを述べる。SOOBINは「繰り返される日常に窮屈さを感じたことがあります。そういう状況の中で僕は自分なりの新しい趣味を作ったりしながら“FIGHT”をしているような気がします」と話し、BEOMGYUは「僕はオーディションに合格して練習生になって、また一生懸命努力してデビューをして、そういう壁を乗り越えるたびに、いつも新しい悩みができました。正直、前回のアルバムの活動の前までは会社や宿舎、放送局だけを行き来するだけの繰り返される日常に窮屈さを感じていたように思います。前回のアルバム活動が僕にとってはターニングポイントで、同じ状況の中でもまたいい点を探せるようになった。これが僕なりの“FIGHT”の方法だと思います」と前作の活動で心境に変化があったことを明かした。
YEONJUNは「最近の僕にとって一番大きなプレッシャーは『会社のおかげで成功した』という世間からの視線です。もちろんその垣根の中でより安定的に成長できた部分もありますが、僕たちはその視線に打ち勝つために基準を厳しく設定してがんばっていますし、努力もしています。僕はそういった視線を避けるよりも、時間がかかっても自分で考えて努力していけばいつか音楽やステージで僕たちの努力を証明できるということを信じているんです。だからゆっくりでも地道に戦っていくのが僕なりの方法ですね」と切実な思いを吐露。HUENINGKAIは「練習生のときはいろんな試練があったので、世の中を恨んだりもしました。でも考えを変えてポジティブな面を見るようにして、挫折を経験しながらも大きく成長できるという点に集中して活動してきた。だから僕は戦ったり逃げだしたりするよりは、ただ今現在に集中したほうがいいと思います。そしていつか世の中に復讐できる機会を願いながら……」と笑った。
新曲「MOA Diary (Dubaddu Wari Wari)」はMOAへの思いを込めて、メンバーが作詞を手がけた“ファンソング”。ダンサブルかつポップチューンで、MOAと一緒に楽しみたいというメンバーの気持ちが詰まっているという。「Dubaddu」とはMOAがTOMORROW X TOGETHERを “투바투”(トゥバトゥ)と略すことから取れ入れたサブタイトルだそうで、BEOMGYUは「僕たちはいつも明日も明後日も共に末永く一緒にいようと言っています。この曲は『僕たちは永遠に一緒だ』という気持ちで歌詞を書きました。今はなかなかMOAの皆さんに会うことはできませんが、それでも僕たちはいつも一緒で僕たちの関係は永遠に続くという願いを込めています」と楽曲に込めた思いを明かした。
ショーケースイベントではTOMORROW X TOGETHERによる「LO$ER=LO♡ER」のパフォーマンスが初公開された。MVと同様にブラックの衣装を身に着けた5人はスタンドマイクを使いながら、エネルギッシュな群舞で魅せた。ダンスのポイントは「LO$ER」にも「LO♡ER」にも使用されている「L」を人差し指と親指で表現したハンドサイン。サビではこの「L」の文字を多用したダンスを披露した。またこの曲の振付についてSOOBINは「重苦しい現実から逃げ出したいと思う少年の気持ちを表現しました。Nirvanaの『Smells Like Teen Spirit』をはじめ、多くのロックステージを見てインスピレーションを受けました。控えめで節制している振付から感じられる内面の爆発的な表現を僕たちも表現したいと思い、スタンドマイクを活用した控えめな動きの中で、外的要因で制約されるほど、さらに激しくなる少年の感情を表現しようと思いました」と語った。
記者からの質疑応答のコーナーでは「先輩であるBTSの成功から刺激を受けながらもプレッシャーを感じているのでは?」という質問が。ここではYEONJUNが「BTSのいい知らせを聞くとうれしいですし、いい刺激をたくさん受けています。素晴らしい先輩方が近くにいることは大きな力になります。プレッシャーに感じることもありますが、避けられない部分なので、それに打ち勝つために基準をより厳しく設定して努力していますし、いい音楽といいステージで僕たちの努力を証明できると信じています」と真摯に回答した。最後にSOOBINは「本日も本当にお忙しい中、僕たちのショーケースをご視聴くださいました記者の皆様に心より感謝申し上げます。3カ月ぶりにカムバックしましたが、MOAの皆さんと大切な思い出を作っていきたいと思います」と世界中の記者への感謝とMOAへの思いを語り、ショーケースイベントを締めくくった。
リンク
音楽ナタリー @natalie_mu
【ショーケースイベントレポート】TOMORROW X TOGETHERが自身最速カムバック、Z世代のリアル打ち出した「LO$ER=LO♡ER」初披露(写真21枚 / ソロカットあり / 動画あり)
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