くるり×MOROHAツーマン閉幕、水と油な2組競演「なんだこの対バン」

くるりとMOROHAによるツーマンライブ「ライブナタリー“くるり×MOROHA”」の振替公演が、6月30日に神奈川・CLUB CITTA'で開催された。

この公演は当初、対バンライブ3公演からなる「ライブナタリー202005」の一環として昨年5月に開催が予定されていたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により日程を変更して実施された。

公演はMOROHAのパートからスタート。彼らは「革命」でライブの口火を切り、UK（G）が爪弾くアコースティックギターの音色に乗せてアフロ（MC）が怒涛のように言葉を紡ぐ。さらにMOROHAは次々と出てくる固有名詞が特徴的な「奮い立つCDショップにて」、UKがアコギをパーカッシブに演奏する「ストロンガー」を立て続けに披露。「ストロンガー」では「くるりとMOROHA 水と油 まったく混じらない なんだこの対バン いやいやそんなの前提でしょ 何かと混じっちまう音楽なんて誰が聴くんだよ」というこの日限りのリリックも飛び出した。

続けてMOROHAは「遠郷タワー」「恩学」をメロディアスなギターに乗せて歌唱。ここまでの熱がほとばしるようなステージングから一転、会場はセンチメンタルな空気に包まれた。その後アフロは「今日は大きな目標が2つあります。1つはお客さんの前で自分の力をすべて出し切ること。もう1つ、どうしても果たしたい目標。くるりのお2人とお友達になりたい」と宣言。くるりの楽曲「野球」にまつわるトークをしたのちに、「暖かい春の光の中を 野球少年が走っていくよ」という歌詞から始まる「tomorrow」をパフォーマンスした。さらに2人はコロナ禍を歌った「主題歌」、攻撃的なナンバー「俺のがヤバイ」を連投。「俺のがヤバイ」という強烈なリリックを幾度となく全身全霊で客席にぶつけ、ステージをあとにした。

続いてくるりのパートは「琥珀色の街、上海蟹の朝」でゆったりとスタート。徐々に熱量が高まる演奏から、そのまま「花の水鉄砲」へと突入し、くるりはサポートの松本大樹（G）、石若駿（Dr）、野崎泰弘（Key）とともにソリッドな演奏を聴かせる。続く穏やかな「ハイウェイ」を経て、くるりは新曲を演奏。アウトロで長尺のセッションが行われ、5人が生み出すアンサンブルに観客は聴き入った。

岸田繁（Vo, G）と佐藤征史（B, Vo）のハーモニーが美しい「さよならリグレット」の演奏後、岸田は対バン相手のMOROHAについて「めっちゃうまいな。ビックリしたわ」と感心した様子を見せる。続けて彼らは代表曲「ばらの花」、後半になるにつれて熱を帯び出す「ハム食べたい」を披露。その後最新アルバム「天才の愛」に収録の「潮風のアリア」を悠然と歌った。ライブも佳境に入ったところで、同じく「天才の愛」より「野球」がパフォーマンスされると、会場のボルテージは一気に上昇。さらにくるりは畳みかけるように「ロックンロール」をプレイし、激しくも軽やかな演奏で観客を魅了する。アンコールでは「奇跡」がしっとりと歌い上げられ、ライブの幕がそっと下ろされた。