実の姉妹である戦慄かなの、頓知気さきなのセルフプロデュースユニットとして結成されたfemme fatale。2018年10月のデビューライブ以降、2人は個々の活動と並行しながらスローペースで活動を続けてきたが、それぞれ所属していたグループから離れたのをきっかけに、いよいよユニット活動が本格化の兆しを見せている。2020年11月発売の1stアルバム「femme fatale」と1stシングル「安眠swimming / 恥晒し(feat.ゆゆうた)」に続き、今年4月には2ndシングル「鼓動 / ピューピル」がリリースされ、femme fataleとしては最大規模となるZepp Haneda(TOKYO)でのワンマンが決定。新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の発令を受けて一度は延期となったが、5月9日の予定から約1カ月を置いて振替公演開催の運びとなった。
開演時刻を迎えてステージの幕が開くと、そこには寄り添いあう戦慄と頓知気のツーショット写真が飾られていた。高揚感を煽るBGMに乗せて、2人は写真を引き裂いてステージに登場。戦慄はハンマー、頓知気はモーニングスターを手に、まずは1stアルバムからのナンバー「down shout leaf」を歌唱した。続けて「after light」「フェイズ」を歌い終えたところで、2人は目の前の観客と生配信を楽しむ視聴者に挨拶。キメキメのパフォーマンスから一転、トークパートは仲睦まじい姉妹のプライベートを垣間見るようなゆるいムードで、戦慄はこれまでになく大勢の観客に驚きつつ、指でハートを作って「今日は爆レスを全員に1人1回は送ると決めた」と宣言した。「バタフライ」でライブを再開すると、2人は息の合ったパフォーマンスで観客の目を惹き付ける。「安眠swimming」では場内に放たれた無数のシャボン玉が照明を浴びて幻想的にきらめき、最新シングルからの1曲「ピューピル」では回転するミラーボールがじわじわと興奮を高めた。
「今日は特別ゲストを連れて来てるんだよね。拉致して来たんだ」という戦慄の発言とともにキーボードがステージ上に運び込まれると、場内は静かにざわめく。ステージ上手から戦慄が連れてきたのは、アイマスクをして耳にヘッドフォンを付けた、ミュージシャンでYouTuberのゆゆうた。往年のドッキリスタイルで連行されたゆゆうたは「ここどこ? 何も見えない! わかんない! え、どこどこ?」とひどく狼狽しながらステージ中央に立ち、ヘッドフォンとアイマスクを外してしばし呆然とするも、10秒ほどで事情を察知しキーボードの前へ座った。演奏されたのはもちろん、ゆゆうたが作曲と演奏、コーラスで参加した「恥晒し feat. ゆゆうた」だ。観客にとってもゆゆうた本人にとってもサプライズの生コラボで場内は大いに沸いた。
ライブ中盤には戦慄と頓知気それぞれのソロパフォーマンスが披露された。頓知気はかわいい着ぐるみの動物たちを引き連れて佐々木喫茶とのコラボ曲「Jucy Fruity Lady」を歌い、5月に配信リリースされた同じく佐々木とのコラボ曲「恋のロケットランチャー」ではサインボールの入ったロケットランチャーを発射。戦慄はfemme fataleと並行してソロプロジェクトを立ち上げたことを宣言し、大勢のダンサーを従えた妖艶なダンスパフォーマンスを展開した。ソロでの新たな一面を見せた2人は、ライブタイトル「ユートピア」を表現した奇怪な映像を挟み、さらにfemme fataleとしての新たな動きを示唆する新曲2曲を初披露した。
「JR」「サバイバー」とアンニュイな2曲を歌い、最後の1曲を残したところで戦慄と頓知気はそれぞれライブの感想を伝えていく。これまでライブの前は毎回プレッシャーで鬱状態になっていたという頓知気は、開催延期を受けて図らずも準備に多く時間を割くことができたことが、よい方向に作用したと笑顔で語り、「今回も今までで断トツに大きな会場だから想像もできなくて怖かったんだけど、今日は『楽しい』っていう気持ちでライブができました。femmeがここまで来れたのは、私の気持ちがここまで成長できたのはすごくうれしいことだなと思います。これからもっともっと大きな会場で、感動できるようなライブをしたいです」とコメント。妹の成長ぶりに感極まった戦慄は、思うような活動ができなかった約2年間の出来事に思わず悔し涙を浮かべながらも「でも今はこうしてさき(頓知気)と一緒にやれていることが幸せで。全芸能人の中で選んでfemme fataleを組み直すとしても、さきを選ぶと思う。そういうことをやれているのが奇跡だし、気付いたら周りにたくさん人がいてチームになっていて。femmeを大きくしようとがんばってくれる人たちがいることがすごく幸せで、だからもう……ライブで暗いMCをしない!」と今現在の前向きな思いを伝えた。
femme fatale史上最大規模となった今回のワンマンを「通過点」と断言し、「femmeはこれから日本を代表するアーティストになります! これからもセルフプロデュースでやっていきます!」と宣言した戦慄と頓知気は、最後に2ndシングルから「鼓動」をパフォーマンス。スモークに包まれた幻想的なステージで華麗なヴォーグダンスを決めた。2人が去ったステージ背面のスクリーンでは、夏にfemme fataleの新曲がリリースされること、7月から8月にかけて全国4都市のZepp会場を回る単独ツアーが開催されることを知らせる「特報」が上映された。
femme fataleワンマンライブ ~ユートピア~
2021年6月5日 Zepp Haneda(TOKYO)セットリスト
01. down shout leaf
02. after light
03. フェイズ
04. バタフライ
05. 安眠swimming
06. ピューピル
07. 恥晒し feat.ゆゆうた
08. Jucy Fruity Lady / 頓知気さきな
09. 恋のロケットランチャー / 頓知気さきな
10. Fire Paan / 戦慄かなの
11. 未発表曲(タイトル未定)/ 戦慄かなの
12. 未発表曲(タイトル未定)
13. 未発表曲(タイトル未定)
14. JR
15. サバイバー
16. 鼓動
femme fatale Zepp Tour 2021
2021年7月27日(火)北海道 Zepp Sapporo
2021年8月13日(金)愛知県 Zepp Nagoya
2021年8月14日(土)大阪府 Zepp Osaka Bayside
2021年8月16日(月)福岡県 Zepp Fukuoka
※記事初出時より写真を変更しました。
音楽ナタリー @natalie_mu
【ライブレポート】femme fatale、過去最大規模ワンマンは「通過点」新曲やソロでユニットの未来を示す(写真36枚)
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