7月14日にリリースされる
このたび発表された歌唱曲は8曲。
なお、本作は日本コロムビア内に新設されたレーベル「びいだまレコード」の第1弾作品として発売される。「びいだまレコード」は“ことば”に込められた思いや響き、それが“うた”として発せられたときの喜びや感動を届けることを目的として作られたレーベル。色とりどりの言葉や歌をつづり、キラキラと光が反射するビー玉のように人々の心を照らしていくという意図を込めて「びいだまレコード」と名付けられた。
V.A.「風街に連れてって!」歌唱アーティスト / 収録曲
- 幾田りら「SWEET MEMORIES」(原曲:
松田聖子) 池田エライザ「Woman“Wの悲劇”より」(原曲: 薬師丸ひろ子) 川崎鷹也「君は天然色」(原曲:大滝詠一) GLIM SPANKY「スローなブギにしてくれ(I want you)」(原曲: 南佳孝) Daoko「風の谷のナウシカ」(原曲: 安田成美) 三浦大知「キャンディ」(原曲: 原田真二) 宮本浩次「SEPTEMBER」(原曲: 竹内まりや) - 横山剣「ルビーの指環」(原曲:
寺尾聰) - 吉岡聖恵「夏色のおもいで」(原曲:チューリップ)
- MAYU・manaka・アサヒ(
Little Glee Monster)「風をあつめて」( はっぴいえんど)
松本隆 コメント
トリビュートアルバム「風街に連れてって!」について
今回のトリビュート・アルバム「風街に連れてって!」は、僕が作詞家になって50年、その区切りでもあり、半世紀を生き延びた僕のサバイバルの歴史でもある。
こんなに長く続けるつもりはもちろんなかった。違う道を見つけようと、小説を書いたり映画を撮ったりもしたけれど、どれも「歌を作ること」の魅力にはかなわなかった。
ヒット曲を書いている、という意識はなく、いい詞を書くことだけが僕のスタンスだった。いい詞を書くためには売れないと出し続けられない。だからヒット曲はあくまで結果に過ぎないけれど、一方で僕の書いたアルバムの1曲だったりB面の詞を、みんなが知っていてくれることが多い。「風をあつめて」もアルバムの1曲だったし、「制服」はB面の曲だった。普通は埋もれてしまいそうな歌をみんなが長い年月愛してくれる、そんな作詞家は珍しいんじゃないかな。
50年の間にはいろいろな出会いと別れ、そして再会があった。長く付き合ったアーティストともいつかは離れる時がある。それは当然のことで、最後まで付き合ってしまうと、一緒に消えてしまうこともあるからね。昔、ハワイの海岸で、5階建てのビルほどの高い波をサーファーが乗り越えていくのを見ていたことがあるんだけど、あるところで膝を落としてクルッと180度方向転換して、また沖に向かって手で漕ぎ出していく。岸まで着いてしまうとサーフィンは終わるけど、自分の意志でコントロールしながら波に向かうと、身体は水に濡れず、高波にもみくちゃにされずに、いつまでも波に乗っていられるんだ。その光景は、僕が仕事を続けていくうえで、すごく勉強になった。
これまで何枚もトリビュート・アルバムが出ているけれど、今回のアルバムの大きな特徴はヴォーカリストが若いこと。そして大御所のアーティストも含め、みんなが言葉を大事に歌ってくれていることが嬉しかった。何より、プロデューサーの
タイトルの「風街に連れてって!」は、今回の選曲を聴いて僕が付けた。「!」があることで、どこか女の子の切実な思いが感じられるんじゃないかな。そして、選ばれた曲のなかには、はっぴいえんど時代の「風をあつめて」と、チューリップに書いた「夏色のおもいで」がある。「風をあつめて」は僕の永遠のテーマである“風街“の原点。「夏色のおもいで」は、はっぴいえんどを解散して、作詞家として再スタートを切った最初の曲だった。依頼されたときは、ヒットさせるための詞をどう書けばいいのかわからず、手探りで作った。これは偶然の符号だけど、「君をさらってゆく風になりたい」というフレーズは、「風街に連れてって!」と願う女の子の気持ちに対してのアンサーになっているんだ。アルバムを通して聴いた時に、そうか、自分はこうして日本中の「君」をさらっていく風になれたんだ、と感慨深いものがあった。このアルバムを通して聴くと、はっぴいえんどから「夏色のおもいで」に続く道のりの先に僕の50年があり、そこに本当の「風街」が見えてくるはずだ。
新レーベル「びいだまレコード」について
僕はこれまで日本コロムビアで、クラシックのアルバム「白鳥の歌」やクミコの「デラシネ」などをリリースしてきた。2020年にコロムビアの110周年と、僕の50周年が重なったという縁もあり、今回、このトリビュート・アルバムを、コロムビアが新たに立ち上げるレーベルから発売することになった。レーベル名はいくつかの候補の中から、僕が「びいだまレコード」を選んだ。「びいだま」は硝子でできた球体で、キラキラして透き通ったきれいなもの。僕の作品でいうと「硝子の少年」にもこの言葉が出てくるし、「ガラスの林檎」ともイメージが繋がる。子供時代の無邪気な自分とも重なるような思いもある、素敵なネーミングだね。色とりどりの言葉と歌がキラキラと反射するような、言葉と歌を大切にするレーベルに育ってほしい。リリースされる作品はポップスに限らず、クラシックもジャズでも、シャンソンでもいい。そこに「言葉で束ねる」という切り口があれば、それは新しいし、みんなが納得できるレーベルになるんじゃないかな。僕もこのレーベルで、自身の集大成となる作品を今後も発表していきたいと思っています。
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松本隆トリビュート収録曲決定、宮本浩次「SEPTEMBER」や三浦大知「キャンディ」など10曲(コメントあり) https://t.co/hpJRulALaP