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DONGROSSO「DANCING OTAKU」ジャケ写

DONGROSSO DANCING OTAKU

社会の重さと向き合いながら人を踊らせることができるか──“答え”を叩き付ける最新のダンスミュージック

文 / 三宅正一

踊ることと考えることは、矛盾しない。DONGROSSOはその確信を、享楽的かつ切迫したレベルミュージックとして叩き付けている。

DJ / プロデューサーの大沢伸一と2人組ユニット・どんぐりずが手を組み結成したDONGROSSO。彼らは2024年9月発表の「SUKIYAKI」で正式に始動すると、そこから「BOUROU」「CHAS」「MY HARDCORE VALENTINE」「NIPPON」と、矢継ぎ早に配信シングルをリリースした。現行のダンスフロアで怒りと愛情を切り離さないその反射神経が、このユニットの推進力であるかのように。そして2025年4月、1stアルバム「ANTI SOCIAL SOUNDSYSTEM」へ到達する。ポストパンクやニューウェイブを通過した、ミニマルでありハードなテクノが核にあるトラック。アンチでシニカルであることと、人を踊らせることが完全に同義になっているリリック。それが激しく衝突しながら共振するのが、DONGROSSOのダンスミュージック像である。

この新曲「DANCING OTAKU」で射程に収めているのは、スクロールをやめられない人間の、あの感覚だ。意味のある情報も、荒唐無稽な戯言も、安い感動も、貴い怒りも、同じ速度で流れては消えていくフィードの中に、現代人は自発的に浸かり続けている。この曲で「OTAKU」というワードをピックアップしたのは、特定の趣味への耽溺者を指すためではない。画面の向こうへ意識が溶け出すという意味では、今を生きるほとんど全員が「オタク」だと言っているのだ。ある種の告発でありながら、自己申告でもある。

反復するアグレッシブなビートの圧力がじわじわと体に刻まれ、気付けば逃げ場がない。快楽を煽りながら、骨格は冷たく硬い。その緊張の中でこそ、体は踊らされる。享楽と禁欲が同じトラックの上で拮抗している。画面の前で固まった体を、フロアで解体しようとするような、この強度と切迫感こそがDONGROSSOならではの音楽的な感触である。

社会の重さと向き合いながら人を踊らせることができるか? 大沢伸一という音楽家でありDJでありプロデューサーは、フロアを揺らすダンスミュージックを通してその命題と向き合い続けていると思う。そこに、どんぐりずの極めてナチュラルな瞬発力と反骨心が掛け算された結果がDONGROSSOだ。「DANCING OTAKU」は、その問いへの最新にして最も鋭い回答と言っていい。

DONGROSSO「DANCING OTAKU」
2026年4月15日(水)配信開始 / BIG UP!
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作詞・作曲:Shinichi Osawa(MONDO GROSSO)、CHOMO、MORI
編曲:Shinichi Osawa(MONDO GROSSO)

DONGROSSO(ドングロッソ)

DONGROSSO

ラッパーの森、プロデューサーのチョモからなる2人組ユニット・どんぐりずと、DJ / プロデューサー大沢伸一のソロプロジェクト・MONDO GROSSOによるコラボレーションユニット。2022年2月にリリースされたMONDO GROSSOのアルバム「BIG WORLD」の収録曲「B.S.M.F [Vocal : どんぐりず]」をきっかけに結成され、2024年9月にオリジナル楽曲「SUKIYAKI」を配信リリース。クラブミュージック、ヒップホップ、エレクトロニックを横断した独自の音楽性で注目を浴びる。2025年4月に1stアルバム「ANTI SOCIAL SOUNDSYSTEM」を発表後、約1年を経て、2026年4月に新曲「DANCING OTAKU」で再始動した。