2020年はhideがこの世を去ってから22年、23回忌のメモリアルイヤー。新型コロナウイルス感染拡大の影響で命日の5月2日に予定されていたイベント「hide The 23rd Memorial~hide Memorial Day 2020~」は開催中止となった。このため命日に計画されていたhideのトリビュートライブ「hide Memorial Day 2020 Sing along live "Hi-Ho"」が、本日の公演で無観客の有料配信ライブとして行われることとなった。
今回のバースデーイベントでは、会場にいるアーティストと画面の向こうのオーディエンスが一緒に歌うシンガロングスタイルが提唱された。スペシャルゲストとして
開演と同時に出演者紹介のオープニング映像が流されたあと、ステージにギターを抱えたCUTTとdefspiralのMASATO(G)、RYO(B)、MASAKI(Dr)が登場。hideの1stソロアルバム「HIDE YOUR FACE」に収録されているインストナンバー「PSYCHOMMUNITY」を演奏し、花々しく配信ライブの幕を開けた。CUTT、木村、TAKAが並び「DICE」「Beauty & Stupid」を歌唱し、TAKAは「ようこそ! 皆さん騒いで歌って、最高のバースデーにしましょう!」とカメラに向かってアピール。演奏中には多数のレーザーが飛び交い、足元にスモークが焚かれるという派手な演出が用意され、ステージ後方のスクリーンにはhideのパフォーマンス映像が投影された。「50% & 50%」ではCUTTがメインボーカルを務めhideの特徴的な歌い方でhideへのリスペクトを惜しみなく表現した。続いてはTAKAが足を大きく開いてインダストリアルナンバー「DOUBT」を熱唱。hideがレイ・マクヴェイ、ポール・レイヴンと組んでいたバンドzilchの全編英語詞の楽曲「SPACE MONKEY PUNKS FROM JAPAN」では木村がマイクを握り、ハイテンションに歌い踊った。
ライブ中盤、スペシャルゲストとしてMAGUMIがステージに上がり、大ヒット曲「ピンク スパイダー」を歌唱。defspiralの演奏に乗せて、リズミカルにステップを踏みながら、シャウトから伸びやかな歌声まで多彩な歌声を響かせた。次にアコースティックギターを抱えたTUSKが、黄色いTシャツに迷彩パンツという“hideスタイル”で登場。「俺、hideさん家の近くに住んでいたことがあったんです。近所に引っ越したときにhideさんに電話したら、『これから糸電話で大丈夫だね』って言われたんですよね。俺も『糸電話でいけますかね?』って言ったら、『例え話だよ! 例え話』なんて言ってたんですよ」と思い出話をしてから、「今日はhideさんの歌を歌いに来ました。hideさん! 最近はどこで飲んでますかー!」と叫び、「GOOD BYE」をオリジナルバージョンよりテンポを上げたアレンジで弾き語った。
続いては生配信での出演がスケジュールの都合で叶わなかった、山本恭司がVTRで出演。山本はhideとの出会いについて語り、1976年にBOWWOWとしてデビューした頃、当時中学生だったhideが横須賀公演の際に楽屋に押しかけてきたというエピソードを回想し、「ロック好きっぽいかわいい男の子が楽屋まで来て、最初は楽しそうにしてたけど、ハードロックなお兄さんたちに囲まれたからか、だんだんシャイになっちゃって。僕がしゃべると、『うんうん、はいはい』ってうなずいていたね。中学生でロックバンドの楽屋に押しかけるなんて普通の行動力じゃできないこと。そのシャイさと行動力はのちのhideにつながっているような気がします」とhideの人物像に触れた。さらに「X JAPANのメンバーになり、大スターになってからもBOWWOWやWILD FLAGのライブを2階の端で観ててくれて。でも楽屋で僕が話しかけるとhideは中学時代に戻っちゃうみたいでシャイになっちゃって」「hideの作品、音楽、言動、ファッションを含めたビジュアル、それらすべてにhideのミュージシャンとしてじゃなくて、自分そのもの、人間自体を大きなポップアートとして表現しているような、そんなイメージで僕はhideを観ていました。本当に絶好調で最高だってときにああいうことになってしまって僕もすごく寂しかったです。日本のロック界にとっても大きな損失だった。でも、僕が知ってるhideはね、本気で自分の命を絶とうとする男では絶対にないです。hideはこの世からいなくなってしまいましたけど、作品はずーっとこれからも残り続けるし、僕や皆さんの心の中でずっと生き続けているからね」とhideへの思いを静かに語った。そして「じゃあ今日は僕からのプレゼントをね、聴いてください」と言い、山本は「FLAME」をBOWWOWの楽曲「Ave Maria」と織り交ぜたアレンジでプレイ。アーミングやピッキングハーモニクス、バイオリン奏法などを駆使し、山本恭司節が凝縮された演奏をhideとhideファンに捧げた。
生配信中のCLUB CITTA'に映像が切り替わり、CUTT、木村、TAKAの3人が「LEMONed I Scream」「ever free」でアコースティックセッションを展開。途中からdefspiralのMASATO、RYO、MASAKIが合流した。続いてスペシャルゲストとしてPATAが登場し、奏でたのは「CELEBRATION」のブルージーなリフ。PATAは誰よりも爆音のギターサウンドを轟かせ、存在感を放った。ライブ終盤にはPATAを含む布陣で「ROCKET DIVE」「TELL ME」「MISERY」と人気曲が立て続けに届けられた。PATAは途中のMCで「ここにマイクがある、なんかしゃべれってか! お茶の間の皆さん、こんばんは」とだけ語った。ライブのラストを飾った楽曲はイベントタイトルになっている「Hi-Ho」。MAGUMIとTUSKが巨大なhideのぬいぐるみを持って登場し、出演者そろっての豪華セッションがにぎやかに繰り広げられ、配信ライブ形式では初めてとなるhideの生誕イベントは大団円を迎えた。
なお公演終了後、hideの23回忌メモリアルイヤープロジェクト「hide The 23rd Memorial」にまつわる発表があった。新作映画が2021年に公開されること、さらにhideの故郷である神奈川県横須賀市に存在したミュージアム「hide MUSEUM」の特別展示版「PSYCHOVISION -hide MUSEUM Since 2000-」が開催されることがアナウンスされた。どちらも詳細は追って発表となる。また今月にはhideオリジナルのワイヤレスイヤフォン「hide TRUE WIRELESS STEREO EARPHONES」の“rocket dive Type”が発売されたほか、12月25日には音楽雑誌「FOOL’S MATE」のhide関連の主要記事を網羅したアーカイブブック「FOOL’S MATE ARCHIVES hide × HIDE」の予約販売がスタート。この書籍にはhideとTUSKが出演する93年発表の映像作品「Seth et Holth」(セスエホルス)のデジタルリマスター版DVDが付属する。
「hide Birthday Party 2020 Sing along live "Hi-Ho!"」2020年12月13日 神奈川・CLUB CITTA' セットリスト(メイン出演者)
オープニングSE. PSYCHOMMUNITY
01. DICE(木村世治 / CUTT / TAKA)
02. Beauty & Stupid(木村世治 / CUTT / TAKA)
03. 50% & 50%(CUTT)
04. DOUBT(TAKA)
05. SPACE MONKEY PUNKS FROM JAPAN(木村世治)
06. ピンク スパイダー(
07. GOOD BYE(TUSK)
08. FLAME(山本恭司)
09. LEMONed I Scream(木村世治 / CUTT / TAKA)
10. ever free(木村世治 / CUTT / TAKA)
11. CELEBRATION(木村世治 / CUTT / TAKA / PATA)
12. ROCKET DIVE(木村世治 / CUTT / TAKA / PATA)
13. TELL ME(木村世治 / CUTT / TAKA / PATA)
14. MISERY(木村世治 / CUTT / TAKA / PATA)
15. Hi-Ho(木村世治 / CUTT / TAKA / PATA)
16. HURRY GO ROUND(
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hideとファンがオンラインでつながった「hide Birthday Party」豪華セッションで大団円 https://t.co/SABRECQ5K3