スカパラ、今年最初で最後の東京ワンマンに奥田民生&田島貴男!20年前と今が交錯した奇跡の一夜

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東京スカパラダイスオーケストラが12月3日に東京・Zepp Haneda(TOKYO)でワンマンライブ「Great Conjunction 2020」を開催した。

東京スカパラダイスオーケストラと奥田民生(中央)。(撮影:勝永裕介)

東京スカパラダイスオーケストラと奥田民生(中央)。(撮影:勝永裕介)

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この日のライブは、スカパラにとって2020年最初で最後の東京都内でのワンマンライブとなった。ライブタイトルの「Great Conjunction 2020」はバンドが9月に配信リリースした楽曲のタイトルで、Great Conjunction(グレート・コンジャンクション)は占星術上で今月に訪れる、木星と土星が大接近する約20年に一度の“奇跡の配置”のことを表している。

東京スカパラダイスオーケストラ(撮影:勝永裕介)

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開演時刻の19:00を迎えるとスペーシーな電子音が場内に響き、観客の大きな拍手に迎えられてスカパラの9人が姿を見せた。この日のステージは、ライブタイトルにもなったインストゥルメンタルナンバー「Great Conjunction 2020」で幕開け。バンドが奏でる突風のように力強くシャープなサウンドに、椅子に座っていたオーディエンスも瞬時に総立ちになって手を挙げる。冒頭からテンション全開の9人は「火の玉ジャイヴ」「MONSTER ROCK」とエネルギッシュなナンバーを続け、圧倒的な熱量のパフォーマンスで客席と対峙。譜面台に足をかけながらサックスを吹き鳴らしたGAMO(Tenor Sax)は「今年最初で最後の東京ワンマンライブ、盛り上がっていこうぜ!」と熱く呼びかけた。

谷中敦(Baritone Sax, Flute)(撮影:勝永裕介)

谷中敦(Baritone Sax, Flute)(撮影:勝永裕介)[拡大]

3曲を終えマイクを握った谷中敦(Baritone Sax, Flute)は、この日のライブを「Great Conjunction 2020」と名付けた理由について「占星術上で言う“20年周期”というところに『なるほどな』と思う部分があったんです。20年前といえば自分が歌詞を書き始めた頃だし、スカパラも新たに再生していこうというタイミングだった」と語った。そして、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、座席数が制限されたフロアを見つめ「今年は大変なことがいっぱいですけど、来年には貯めたものをバーッと出していけたらいいなと。そんなきっかけになるライブにできればと思っています」と、ステージにかける思いを明かした。

NARGOになりきってトランペットを吹く谷中敦(左)と沖祐市(右)。(撮影:勝永裕介)

NARGOになりきってトランペットを吹く谷中敦(左)と沖祐市(右)。(撮影:勝永裕介)[拡大]

「今日は20年前の曲もいっぱいやるんで!」と谷中が予告すると、「Tokyo Ska Medley Great Conjunction Special」と題したメドレーへ。レアナンバーを織り交ぜたメドレーコーナーはここ最近のライブの見せ場の1つとなっているが、この日のメドレーは20年前に発表された楽曲を中心に構成された、本公演ならではの特別仕様だった。沖祐市(Key)の澄み渡る口笛を合図に、スリリングな演奏を聴かせる「フィルムメイカーズ・ブリード~頂上決戦~」、軽快なステップを踏みながら超絶技巧の鍵盤さばきを見せる沖、NARGO(Tp)になりきってトランペットを吹き鳴らす谷中、スケートボードに乗りながらトロンボーンソロを披露する北原雅彦(Tb)が次々にアピールし、舞台上がコミカルでカオスな状態となった「JON LORD」と、バンドは2000年にリリースされたアルバム「FULL-TENSION BEATERS」の収録曲を続けていく。この日の公演はGYAO!での生配信も行われたが、NARGOが郷愁に満ちたピアニカの演奏で聴衆を魅了した「Skarada」では、スカパラが20年前に回ったユーロツアーを記録した写真が配信画面にクロスオーバー。視覚でも懐かしさを誘う粋な演出が、視聴者の目と耳を楽しませた。

東京スカパラダイスオーケストラ(撮影:勝永裕介)

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「Howlin' Wolves」まで6曲をメドレーで駆け抜け、加藤隆志(G)は「演奏するとあの頃に戻るというか。自分は正式なメンバーになりたての頃、ツアーでやっていた曲ばかりなので。思い出深いですね」と笑顔で当時を振り返った。そののち彼が「次は最新スカパラの代表曲!」とコールするとGAMOが最前線に飛び出し、9人はここで「Paradise Has No Border」をドロップ。おなじみのテーマを高らかに吹き鳴らし、華麗なフォーメーションとテクニカルなソロ回しでフロアと画面の向こう側を一層ヒートアップさせていく。十分な客席煽りを経て盛り上がりが最高潮に達したところでGAMOが呼び込んだのは、この日1人目のゲスト・奥田民生。スカパラメンバーと同じツートーンのスーツ姿でステージの中央に立った奥田は、ジャケットの中に隠し持ったスライドホイッスルを取り出し、可愛らしい音色で「Paradise Has No Border」のテーマを会場に響き渡らせた。

奥田民生(撮影:勝永裕介)

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過去に例のない楽器でのセッションにスカパラメンバーは「最高!」と喜び、奥田も開口一番「あれ(スライドホイッスル)を舐めちゃいかんよ!」と言って観客を湧かせる。そして奥田は9人に対して「あっち行ったりこっち行ったりするやつ、俺もやろうと思ってたんだよ!」と客席煽りに参加したかった思いを伝え、一層の笑いを誘った。笛をマイクに持ち替えた奥田は続けて「マライの號」をスカパラとコラボし、ワイルドに跳ねるビートにパワフルな歌声を乗せる。20年前の思い出が語られたMCでは、当時作詞を始めたばかりの谷中から詩をつづったメールを受信していたという奥田が「あれ、なんて返せばいいのよ」と笑いながら懐かしむひと幕も。和やかなムードの中、2組がセッションの最後に届けたのは2002年発表のヒットナンバー「美しく燃える森」。谷中が作詞を担当した3曲目の作品にして、作家性に満ちた艷やかな世界観が描かれるこの曲を、奥田は豊かなボーカルで歌い上げた。

茂木欣一(Dr)(撮影:勝永裕介)

茂木欣一(Dr)(撮影:勝永裕介)[拡大]

奥田を見送ったのちにスタートした、茂木欣一(Dr)MCによる「Paradise Radio」のコーナーでも、20年前の話題で盛り上がったメンバー。当時はまだサポートだった茂木は「メドレーで披露した『フィルムメイカーズ・ブリード』が、2000年にスカパラがまた新たな思いで再スタートを切った、その1曲目にレコーディングした曲で。演奏していて重みを感じましたね」と思い入れを語る。彼の言葉に加藤は「そして『Streaming Tears』はアルバムの曲出しの最後に沖さんが持ってきた曲でね。この曲で『FULL-TENSION BEATERS』が完成したなっていう感覚があったよね」と反応した。そして茂木は「20年前の曲をやると、改めて……いつもみんな当たり前のように集っているけどね、その輪の中にいられるって本当にすごいことなんだなと感じます。こうして演奏できているというだけで奇跡だよね!」と、30年以上にわたり、絶えず歩み続けてきたバンドの軌跡を噛み締めた。

東京スカパラダイスオーケストラと田島貴男(中央)。(撮影:勝永裕介)

東京スカパラダイスオーケストラと田島貴男(中央)。(撮影:勝永裕介)[拡大]

茂木が「1日でも早く“本当の春”が来ますように」という願いをさわやかな歌声に込めた「倒れないドミノ」、NARGO、北原、沖、川上つよし(B)、大森はじめ(Per)という少人数編成でじっくり聴かせたミディアムナンバー「花ふぶき ~愛だろ、愛っ。~」が届けられるとライブも佳境。茂木のカウントから「めくれたオレンジ」のイントロが響くと、2人目のゲスト・田島貴男(ORIGINAL LOVE)がさっそうと姿を見せた。田島はアグレッシブな振る舞いでホーンズとのセッションを楽しみ、チキやフェイクを織り交ぜながらソウルフルなボーカルを聴かせる。ステージ上の10人の熱量を受け取ったオーディエンスは、歌詞の通りに“両手を挙げて”音の波に身を委ねた。

田島貴男(撮影:勝永裕介)

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2001年に発表された「めくれたオレンジ」は、スカパラの“歌モノシングル”の1作目に位置付けられている楽曲。バンドの歴史を語るうえでも大きな意味を持つこの曲について、谷中は「『めくれたオレンジ』っていう曲で、バンドとしてもめくれたのかなと思って。それは田島のおかげだなって」と話し、対する田島も「『ついにボーカルを振ってくれた!』と思って、超テンション上がったのよ。その気持ちは今日も続いてる」と熱い思いを返した。相思相愛の両者が2曲目のセッションに選んだのは「上を向いて歩こう」。田島は「こんな時期だからね。上を向いて」と呼びかけ、温かなスカアレンジが施された楽曲を柔らかく歌い上げた。

NARGO(Tp)(撮影:勝永裕介)

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ここで谷中は、グレート・コンジャンクションののちの未来について「占星術上では、これから200年は“風の時代”になるそうなんです」と切り出した。“風の時代”への変化は「目に見える変化から、目に見えない変化への移行」であることを説明した彼は「世の中はこれまで目に見える形で変わっていったじゃないですか。街も今や完成されて、世界中どこに行ってもほとんど同じ景色で。そういう意味では、これからは中身の変化になっていくんだよね」と自身の実感を重ねる。そして「人って、人に見られていないときにどれだけカッコよくいられるか。どれだけ品よく振る舞えるかが大事だよなと思っていて。神様が見てくれているかはわからないけど……そういう気持ちを大事にしていきたいし、俺は目に見えない優しさを持っている人が圧倒的大多数だと思ってる。そういう人たちが、今世の中をなんとか普通に回してくれているんだと思っています」と力強く訴えた。「そんな人たちのために書いた曲を、これから茂木欣一に思いっきり歌ってほしいと思います!」。谷中がそう曲紹介して届けられたのは「風のプロフィール」。会場にはこの曲に参加した習志野高校吹奏楽部の瑞々しいアンサンブルも響き渡り、9人は新たな時代の幕開けを高らかに告げるように、勇壮な演奏を披露した。

谷中敦(右)が田島貴男を「奥田民生ー!」と呼んだのを聞いて、豪快なヘッドスライディングを見せた沖祐市(中央)。(撮影:勝永裕介)

谷中敦(右)が田島貴男を「奥田民生ー!」と呼んだのを聞いて、豪快なヘッドスライディングを見せた沖祐市(中央)。(撮影:勝永裕介)[拡大]

熱狂の「Glorious」で本編が締めくくられるも場内の熱は冷めやらず、アンコールを求める大きな拍手に応えてステージに戻ったスカパラの9人は「仮面ライダーセイバー」でステージを再開させた。アンコールでは、田島とのコラボによるORIGINAL LOVE「接吻」、奥田とのコラボによるユニコーン「大迷惑」と、2人のゲストの名曲が披露されるスペシャルなひとときも。田島が「接吻」を歌い終えた場面で谷中が力強く「奥田民生―!」と紹介してしまうという “珍事”も発生し、これにメンバーと田島は大爆笑で盛り上がった。沖はステージ中央で豪快なヘッドスライディングをするリアクションを見せ、慌てて登場した奥田は「今、袖で(曲を聴いて)泣いてたのに。バカタレ!(笑)」と谷中にツッコミを入れて周囲の笑顔を増幅させる。川上はのちの挨拶で「沖のヘッドスライディングが見れたのも20年に1度の“Great Conjunction”だね!(笑)」と、このハプニングを喜んでいた。

東京スカパラダイスオーケストラと田島貴男、奥田民生。(撮影:勝永裕介)

東京スカパラダイスオーケストラと田島貴男、奥田民生。(撮影:勝永裕介)[拡大]

20年前と今とが交錯するコンセプチュアルなライブで2020年ラストのワンマン公演を飾ったスカパラ。加藤は「次の20年に向けて今日は演奏したつもりなので。今年の東京公演はこれが最後ですが、来年はツアーもあるので、来年も盛り上がっていきましょう!」と約束し、スカパラと奥田、田島は「DOWN BEAT STOMP」で熱狂のステージを締めくくった。曲を終えると、メンバーは万雷の拍手を送るオーディエンスと笑顔を交わしながらステージをあとにする。高揚感に満ちたムードの中、谷中は最後に「ホント、ライブっていいな!」と言葉に充実感を滲ませた。

GYAO!での本公演の見逃し配信は、12月7日(月)23:59まで実施される。

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東京スカパラダイスオーケストラ「Great Conjunction 2020」2020年12月3日 Zepp Haneda(TOKYO)セットリスト

01. Great Conjunction 2020
02. 火の玉ジャイヴ
03. MONSTER ROCK
04. 遊戯みたいにGO
05. フィルムメイカーズ・ブリード~頂上決戦~
06. 荒野の誓い
07. JON LORD
08. Skarada
09. Streaming Tears
10. Howlin' Wolves
11. Paradise Has No Border(w / 奥田民生
12. マライの號(w / 奥田民生)
13. 美しく燃える森(w / 奥田民生)
14. 倒れないドミノ
15. 花ふぶき ~愛だろ、愛っ。~
16. 太陽にお願い
17. めくれたオレンジ(w / 田島貴男
18. 上を向いて歩こう(w / 田島貴男)
19. 風のプロフィール
20. Glorious
<アンコール>
21. 仮面ライダーセイバー
22. 接吻(w / 田島貴男)
23. 大迷惑(w / 奥田民生)
24. DOWN BEAT STOMP(w / 奥田民生、田島貴男)
※5曲目~10曲目はメドレー

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