「今日ビジュイイじゃん」──。
サムズアップでキメ顔の輪郭をなぞる動きとともに、このゴキゲンなワンフレーズで2025年上半期の流行を席巻したM!LK。見事なスマッシュヒットを決めて結成10周年イヤーを快走する彼らが、7月9日にニューシングル「アオノオト」をリリースした。
表題曲「アオノオト」は、メンバーの佐野勇斗が出演するボディケアブランド「シーブリーズ」のCMタイアップソング。さわやかに疾走するサウンドに乗せて“終わらない青春”を歌う、夏にぴったりの楽曲だ。
今作のリリースを記念し、音楽ナタリーでは佐野、曽野舜太、山中柔太朗の3人にインタビュー。「イイじゃん」大ヒットの背景や新作収録曲に関する話題、そしてM!LKの今について、たっぷりと話を聞いた。
取材・文 / 三橋あずみ撮影 / YURIE PEPE
僕の予知通りではあります
──前回、3月にアルバム「M!X」のインタビューをさせてもらったのですが(参照:M!LK「M!X」佐野勇斗、曽野舜太、吉田仁人インタビュー)、そこから3カ月。アルバムのリード曲「イイじゃん」がスマッシュヒットを記録し、周囲の環境が一変したかと思います。
佐野勇斗 6年前だったかな。家で1人で目標を書いているときに「2025年、27歳のときにM!LKは来る」と書いたんです。なので、僕の予知通りではあります。
山中柔太朗 証拠は残ってるの?
佐野 証拠は、残ってません!
山中 誰でも言えるやん!
曽野舜太 あはははは!
山中 でもマジなんです、これ。ホントに言ってました。
佐野 そういう直感が昔から当たるんですよ。
──SNSでの総再生数が20億回を突破、海を超えて韓国でもチャート1位を獲得するなど、M!LK史上かつてないバズとなっていますが、皆さんが今どんな気持ちでこの“大きな波”の中にいるのか聞かせてもらえますか?
山中 まず純粋に、めっちゃうれしいです。ヒット曲を出すこと、世間の方に広く知ってもらうことは念願だったから。バズったことによって「もっとがんばらないとな」という気持ちになってるのも事実で。みんなの意識がさらに上がってるよね?
曽野 そうだね。やっぱり、この大きい波にしっかり乗っていかないとダメだと思うし、本当に今ががんばりどきだってみんなで話をしてるので。今日もこのあとみんなで集まるんですけど、いろんなアイデアがメンバーそれぞれから積極的に出てるから、M!LK、もっと来ますよ~!
佐野 それ怖いフラグだな。やめてよ?
山中 舜太の予想は当たったことないんだから(笑)。
佐野 でも本当にね。難しいことですけど、1曲バズって終わりにならないように。どんどんトライしてきたいなって、ずっと思っているから。
──M!LKに関しては“一発屋”とはまたちょっと違うような気がしていて。これまでにもすごく精力的にTikTokやYouTubeを上げていたし、そういうところでの積み重ねや経験値がしっかりとある5人だから、今回のバズに関しても「そうだよね」と納得できるというか。
佐野 そうですね。ここ数年、“基盤”を作ってきたつもりです。
続けてがんばってきたことの意味
曽野 あとは、ありがたいことに個人の仕事も活発なので、バズったときに“広がり先”があるのがすごくいいなと思っていて。それもまた、僕らが続けてがんばってきたことの意味なのかなって。
山中 確かにそれはそうだね。出先で「イイじゃんの人だ」と認知がつながるのはいいことだよね。
──実際そういう反響ってありますか?
佐野 とんでもない量あります。会った方全員に言われます。
山中 マジで全員に言われるよね。
佐野 大久保佳代子さんがTikTokで「イイじゃん」を踊ってくれていたんですけど、先日テレビの収録でお会いしたら「あれ、君の曲なんだ!?」と言われて(笑)。そういうパターンもある。
曽野 音楽が先行してたんだ。それは紛れもない“バズり”だよね。
佐野 そうそう、曲が先行して。それはうれしかったですね。
曽野 中学校のクラスの学級目標が「イイじゃん」になったという話を聞いたり、ホントにいろんな場所に「イイじゃん」があふれていて。
山中 「体育祭で曲使ってます」と言われたりね。体育祭で踊る曲って、基本的にみんなが知っている曲じゃないですか。そう考えたら、やっぱりすごいなっていう。
佐野 ホントだよね。そういう反響があるから体感的にはもちろんうれしいんですけど、ようやくスタート地点に立てたかなという感じなんですよ。これはM!LK全員。バズったら浮き足立つだろうなと思ってたけど、逆に地に足が着き始めてる。すごく不思議な感覚なんです。
曽野 だから今、1つひとつの物事を、すごく丁寧にやっている感覚があります。
山中 中でもだいちゃん(塩﨑太智)がすごいよね、今。
佐野 アイツがなんか、やる気あるんですよね……。
山中 TikTokは僕が担当なんですけど、今だいちゃんがいろんなアドバイスをくれます。どのタイミングでどの動画を上げるかとか。
佐野 マジで?
山中 「今日は『イイじゃん』上げて、明日は違う曲で」とか、アドバイスしてくれる。
佐野 太智ってゼロからイチを生み出すのは苦手なんですけど、イチを無限大に広げていく作業が得意なんですよね。ライブの演出とかもそう。
曽野 そういうことかあ。僕も最近ポスターとかビジュアル周りを担当してるんですけど、それに関してもだいちゃんが「こういう感じどう?」とかめっちゃリファレンスを送ってくれたりする。
──それは「イイじゃん」後の如実な変化だと。
山中 前からそういうタイプではあったんですけど、よりエンジンがかかってますね。この間、17:00にアップするはずの動画の作業がちょっと遅れちゃったんです。そうしたら、だいちゃんからめっちゃLINE入ってました。「じゅう、TikTok」って(笑)。
曽野 あはははは!
佐野 いいねいいね。で、吉田さん(吉田仁人)だけは、この状況についてこれてません!(笑)
一同 あはははは!
佐野 でも10周年イヤーにありがたいです、本当に。
僕らってちょっと青くさい
──大きな注目が集まる中でリリースされるのが、ニューシングルの「アオノオト」です。表題曲はボディケアブランド「シーブリーズ」のCMタイアップソングとしてオンエアされていて、M!LKは「ブルーシャワー」に続き2年連続でCMタイアップソングを担当することになりました。楽曲の印象についてはいかがですか?
山中 すごくM!LKっぽいなって。“M!LKっぽさ”ってなんだろう?という話になってきちゃうんですが……王子様っぽい正統派ラブソングを「M!LKらしい」と思う方がいる一方、青春を歌ったこういう曲を「M!LKっぽい」と思う方もいると思うんです。
曽野 「ブルーシャワー」とか「恋がはじまる」とかね。
山中 こっち系の曲を「M!LKっぽい」と思う方のほうが多い気がするんですよ。
──自分もそんな気がします。
山中 根本的な話、結局僕ら田舎っぺの集まりなのよ。
佐野 そう。俺らそうなんすよ。
──田舎っぺだとは思わないですが、5人全員が地方出身ではありますよね。
山中 そういうことを考えてもね。僕らってちょっと青くさい感じの雰囲気が漂ってるのかなと思うんですよね。
曽野 洗練されたシティボーイがいないから。
佐野 俺はそのつもりないけど? 研ぎ澄まされてると思ってるよ。
曽野 そういうところなんだって……!(笑)
佐野 (笑)。まあ確かに、地元の男子校みたいなノリは確かにあるので、こういう曲は僕ららしいなと思います。意外とね、制服風の衣装を含め評判がよくて。
山中 衣装は僕が担当させてもらいました。曲にちょっと平成感があるなと思ったので、それぞれの制服に“平成要素”を1つ追加したのがポイントです。ジャージにスカートとか、ウォレットチェーンとかね。
柔太朗、やるたびに「楽しい~!」って言ってきて……
──レコーディングに関してはいかがでしたか?
佐野 僕は今回、ちょっと軽めに歌うことを意識しました。曲によってミドルで歌う、ローで歌う……とかいろいろ歌い方を変えるんですけど、「アオノオト」は響きを上に持ってくる感じ。明るい曲なんで、思い切り青春!って感じで。
山中 僕はもうそれどころじゃなくて。サビとか……。
佐野 「それどころじゃない」って(笑)。まあ確かに大変よね。この曲キーが高いから。
山中 僕は声が低いので。がんばって歌ってます(笑)。「その感じがいい」と言われたので、思いっ切り。
──舜太さんはいかがですか?
曽野 やっぱりシーブリーズさんの曲なので、去年のはやちゃん(佐野)のCMを観てからレコーディングに臨みました。
佐野 へえー! 役作りしたん?
曽野 役作りから入った。自分に青春を降ろさないとね。そうやってイメージ作りをしたり、あとレコーディングブースって暗いんですけど、青空を思い浮かべて歌っていました。
山中 僕、「アオノオト」かなり好きで。自分の中の好きな曲ランキング、1位になりました。
曽野 マジ? そうなんだ!
山中 これまでは「リンガベル」とか「ボクラなりレボリューション」が一番だったんですけど、「アオノオト」が首位に躍り出ましたね。
佐野 振り入れもやったんですけど、柔太朗、やるたびに「楽しい~!」って言ってきて、めちゃくちゃ気持ち悪いんすよ。
曽野 あはははは!
山中 マジで楽しいんです(笑)。サビに行く瞬間とか、超楽しくて。
仁人のしゃかりき、珍しい
──振付はどんな感じに?
山中 サビに応援団のような動きがあったり、けっこうキャッチーな感じです。振付に関しても「こういう感じがいいです」とリクエストして作っていただきました。今回の振付は「topaz」や「奇跡が空に恋を響かせた」を手がけてくださったKyoさんにお願いして。
──柔太朗さんが特に気に入っている、「楽しい」と思うパートも教えてもらえますか?
山中 うわあ、どこだろうなあ。サビがやっぱり最高なんですけど、舜太が歌うBメロの「がむしゃらに何だってやっちゃえば!? 酸いも甘いも噛み分けて行っちゃえばいい」が、一気にギアが上がる感じで好きですね。あと僕たぶん、“Bメロ好き”なんです。この曲は、数ある“好きBメロ”の中でもピカイチです。
曽野 確かに、このBメロは勢いをすごく意識して歌ってる。
山中 あとここは吉田さんも好きなのか、振り入れからかなり気合い入ってて。かわいらしい振りなんですけど、珍しく張り切って踊ってました。
佐野 仁人のしゃかりき、珍しいよね。
曽野 僕もけっこう全力で踊ってるんですけど、そういえばじんちゃん(吉田)「しゃかりきいいね」って褒めてくれたわ。
佐野 舜太インスピレーションなのかもな。
曽野 そうかもしれないです(笑)。
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5人の本気芝居