berry meet特集|過去も未来も詰め込んだメジャーデビューアルバムを語る、ゆかりの若手バンド11組のコメントも

berry meetのメジャー1stフルアルバム「白昼夢、結んだ言葉は花束に」が、バンド結成記念日にあたる7月8日にリリースされた。

キャリア初の全国流通盤となる「白昼夢、結んだ言葉は花束に」には、berry meetの代表曲である「あのさ」「図星」「月が綺麗だって」「溺愛」、岩橋玄樹と相馬理が出演するTOKYO MXドラマ「恋愛ルビの正しいふりかた」のオープニングテーマ「疲れちゃった」、たく(G, Vo)の妄想を詰め込んだ「脳内告白」などバラエティに富んだ楽曲を収録。CD限定のボーナストラックとして、いこたん(Dr, Cho)が作詞作曲およびボーカルを担当した「願い事」、たなかり(B)作詞作曲およびボーカルの「約束」も収められている。

音楽ナタリーではberry meetに初インタビュー。過去も未来も詰め込んだという「白昼夢、結んだ言葉は花束に」の制作秘話はもちろん、メンバーの出会い、それぞれの音楽的なルーツ、バンド名決定の裏話などたっぷりと語ってもらった。

また特集の後半では、berry meetが敬愛するシャイトープ、ねぐせ。、moon drop、ベリミと交流のあるガラクタ、KOHAKU、Conton Candy、35.7、ちゃくら、TRACK15、パーカーズ、Laughing Hickのメンバー参加のコメント企画を展開。多彩な若手バンドの面々が「白昼夢、結んだ言葉は花束に」の中からお気に入りの1曲をセレクトし、メジャーデビューしたベリミに祝福メッセージを送っている。

取材・文(P1~3) / 天野史彬撮影 / 梁瀬玉実

berry meetメジャーデビュー記念インタビュー

たくは自分のことばっかり書いてる

──1stフルアルバム「白昼夢、結んだ言葉は花束に」、今までのberry meetの歴史を総括しつつ、新しい表情もたくさん見えてくる素晴らしいアルバムですね。特に本作における音楽性の幅広さには感動すら覚えます。皆さんとしては、このアルバムにどんな思いを抱いていますか?

いこたん(Dr, Cho) berry meetが今まで大切にしてきた楽曲と新曲が入ったアルバムで、特に新曲ではberry meetらしさも残しつつ、豊かな表現力をアピールできたなという実感があって。「私たちはこういうバンドです」とberry meetを紹介できるようなアルバムになったなと思っています。

たなかり(B) 歌詞にはたくちゃんが体験したことが幅広くつづられているし、初の全国流通盤なのでいろいろなリスナーの人たちに届けられるのがうれしい。

たく(G, Vo) 実際に思ったことや肌で感じたことを書くのが得意で、自分のことばっかり書いてる(笑)。「白昼夢、結んだ言葉は花束に」は僕らの決意表明みたいなアルバムになりました。それと同時に、今までのことも忘れてはいなくて。メジャーまでたどり着くことができたのはファンの人たちのおかげでもあるし、過去も未来も詰め込んだアルバムになったと思います。

berry meet

berry meet

──いこたんさんとたなかりさんにとって、たくさんから出てくるパーソナルな歌は「みんなに届けたい」と思うものだ、ということですよね。

たなかり そうですね。たくちゃんの歌詞に感情移入してくださる方が多いので、メジャーデビューすることでより多くの人に曲を届けられるのは幸せだなと思います。

いこたん バンドを組んで最初にリリースした「あのさ」の歌詞も、たくちゃんの実体験が書かれた曲ですけど、リリースしたとき、たくさんの人から「わかる!」という声が届いたんです。「たくちゃんが思っていることって、たくさんの人が同じように感じることでもあるんだな」と思いましたし、広く共感してもらえる曲を発表できていることは誇りですね。

──たくさんは、なぜ自分自身のことを書くんですか?

たく リスナーの方々の存在を強く意識しているからです。「どうしたら僕たちの曲を自分事として受け取ってくれるだろう?」と考えるんです。berry meetの曲が“聴いてくれる人のための曲”になるには、僕の弱いところを見せることが大事なのかなと思って。こっちが心を裸にして、全部さらけ出したものを曲にしたら、聴いた人にもきっと響く。だから、自分のことをつらつらと書くようになった気がします。

──リスナーがその歌を「自分事にする」というのが、たくさんの理想とする聴き手とのつながり方なんですね。

たく そうですね。「あの人が歌っている、あの曲」として受け止められるよりも、その人の恋や人生の一部になれたらいいなと思うので。

たく、たなかり、いこたんの3人だからしっくりくる

──今回のアルバムの魅力は音楽的な幅広さにもあると思うんです。ロックだけじゃない、ジャズやフォーク、クラシックなどいろいろなジャンルを吸収した楽曲になっているし、ホーンやストリングスが入っている曲もあって、サウンドも多彩ですよね。どんなものが作曲家としての素養になっているんですか?

たく そもそも、ジャンルに縛られず曲を書きたいという気持ちがあるんです。「あのバンドと言えば歪んだギターと激しいドラムだよね」と言われるよりは、「berry meetはいろんな曲があるよね」と思われたい。僕はジャズが好きだし、クラシックも習っていたので聴いてきた。友達がカラオケで歌うのを聴いて松田聖子さんのような昭和歌謡にも触れて、The Beatles好きでギターコレクターみたいな父の影響で昔の洋楽も好きで。それぞれのアーティストに詳しいわけではないけど、たくさんの音楽を聴いて育った実感があるんです。なので、ロックだけではなく、いろいろな要素を全部取り込んで、ポップスとして表現できたらとずっと思っています。

たく(G, Vo)

たく(G, Vo)

いこたん たくちゃんが作る曲の幅広さは、私もすごいなと思っていて。デモが送られてくると「またこんな新しいことしてる!」と思って、スタジオに行く前はけっこうハラハラするときもあるんですよね(笑)。でも、いざ曲が完成したら「berry meetの新しい部分を見せられた」と手応えを感じる。「たくちゃんはどれだけ引き出しがあるんだろう?」と思います。その引き出しの多さがberry meetの魅力の1つだと思う。

──音楽の引き出しは、増やすために努力をしているのか、それとも自然と引き出しを増やしたり開けたりする感覚が鋭敏なのか、どちらでしょう?

たく 今は手持ちの引き出しでがんばっている状態かもしれない(笑)。ただ、1つの引き出しだけじゃなくて、2つの引き出しを混ぜ合わせることで、バンドの幅を見せようとしている気がします。ゆくゆくは、ジャンルを問わずもっといろいろな音楽に触れて、自分のものにしていかなきゃなと思ってます。

──そもそも混ぜ合わせられるくらいの引き出しがすでに存在していることがアイデアにあふれている証拠ですよね。音楽はずっと、たくさんの身近にありましたか?

たく 記憶がないくらい小さい頃にバイオリンを始めて、高校3年生まで続けたんです。なので、最初に触れた楽器はバイオリンなんですよね。でも中学生の頃に反抗期が来て、「習いごとなんてやってられんぞ!」となりまして(笑)、ギターを持ったんです。そこからはギターをメインにやってきました。

──じゃあ、今のギター、ベース、ドラムという3ピースバンドの編成はしっくりきているということですね。

たく 3ピースが自分にフィットしているというよりは、この2人が自分にしっくりきているんだと思います。

──いこたんさんとたなかりさんのどんなところがしっくりきますか。

たく どんなところが……?(笑)

──言語化するのは難しいとは思いますが(笑)。

たく 僕は中学校2年生で転校したんですけど、たなかりはそのときからずっと一緒にいるので。いこたんとはバンド活動で出会ったんですけど、もはや小学校から一緒にいるような感覚がある(笑)。

たなかり 普通に友達だよね(笑)。

たなかり(B)

たなかり(B)

いこたん 誕生日が2003年5月1日でまったく一緒なんですよ。正反対なところもあるけど、「似てるな」と思うところもいっぱいある。恋愛においては正反対で……。

いこたん(Dr, Cho)

いこたん(Dr, Cho)

たく 真逆だよ。似てたらヤバいわ。

たなかり 笑いのツボは合ってるのかな。たくちゃんが変なこと言って、いこたんが笑うみたいな瞬間がけっこうある(笑)。

たく それで言うと、僕もいこたんも“エンタテインしたい側”というか。誰かを笑わせたい人たち。そこが合うのかな。