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サカナクション、1万1000人を酔わせた圧巻の初武道館

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昨日10月8日、サカナクションが初の日本武道館公演「SAKANAQUARIUM 21.1 (B)」を開催。約2時間半にわたるパフォーマンスを繰り広げ、立ち見客を含め1万1000人のオーディエンスを圧倒した。

定刻の19:00を少し回った頃、スクリーンにライブタイトルが表示され、激しい雨音とともに、オープニングナンバー「Ame(B)」からライブがスタート。雨音とコーラスが重なる中、メンバーが順番に現れると、オーディエンスは怒号のような歓声をあげた。

山口一郎(Vo,G)が「『SAKANAQUARIUM 21.1 (B)』! 用意はいいかい?」と叫ぶと、強烈なビートに乗せて草刈愛美(B)と岩寺基晴(G)が前へ。バンドはオリエンタルなサウンドとピンクの照明が場内を彩った「ライトダンス」、江島啓一(Dr)の疾走感あるドラミングが観客を煽る「セントレイ」とアグレッシブなナンバーを連続投下。「アドベンチャー」では岩寺のギターソロが躍動的なビートを生み出し、それにあわせてオーディエンスが踊り狂う。序盤から早くも場内の熱狂はピークに達した。

最初のMCで山口は「今日はロックエンタテインメントをたっぷり体感して帰ってもらいたいと思います」と宣言。神秘的なオイルアートがスクリーンを飾った「フクロウ」、海中を遊泳するクラゲの姿と深みのある音像がマッチした「アンダー」など、楽曲と映像のコラボレーションが次々と展開されていく。「マレーシア32~21.1~Paradise of Sunny」では無数のレーザーが場内を乱舞し、サウンドとシンクロした凝った演出に、観客はため息を漏らした。

「まだみんなが聴いたことない曲をやります」という山口の言葉で、武道館ライブのために作られた新曲も初披露。切ない歌声から幕を開けるこの曲は、凛としたメロディとダンサブルなビートが耳に残るミディアムチューン。演奏が終わると観客は、5人からのスペシャルなプレゼントに大きな拍手を贈った。

柔らかな鍵盤が会場に静かに鳴ると、何の曲か察したオーディエンスが「わぁっ」と声を上げる。そして始まったのは「ネイティブダンサー」。スクリーンにはステップを踏むスニーカーが印象的なビデオクリップ映像が流され、あわせてステージの両脇からレーザーが放たれる。さらに曲の終盤には、雪を思わせるレーザーが天井に投影され、ノスタルジックな気持ちを呼び起こした。

続く「インナーワールド」では、江島の軽やかなパーカッション、山口の小気味のいいボーカルにあわせて盛大なハンドクラップが起こり、会場が一体感に包まれる。岡崎英美(Key)の跳ねるようなシンセが冴える「サンプル」、厚みのあるアレンジが施された「三日月サンセット」と間髪入れずに続けた後はお待ちかねの「アルクアラウンド」。山口は改めて会場を見渡し、オーディエンスの熱狂に笑みを浮かべる。今やすっかりライブの定番となった「アイデンティティ」の途中で、山口は「みんな歌ってくれ!」とシャウト。それに呼応してオーディエンスは手を振りながらサビを大合唱した。

あっという間に駆け抜けた本編のラストナンバーは「enough」。序盤は独白のようなボーカルが武道館に広がり、クライマックスでドライブ感ある轟音が会場を飲み込んでいく。演奏後は山口が「サカナクションでした。ありがとう」とかすれ気味の声で挨拶し、本編に終わりを告げた。

その後、熱烈なアンコールに応えステージにメンバーが再登場。山口はこれからライブが始まるかのように「どうもー。サカナクションです!!」と叫び、会場を笑わせる。そして「僕ら北海道出身なんで、武道館のすごさってイメージが湧きにくかったんだけど、やっぱスゴイ! 武道館は通過点だって言ってたんだけど、もう5回くらいやりたい」と語った。メンバーの真面目なキャラクターが垣間見える挨拶の後は、初期のナンバー「GO TO THE FUTURE」を熱演。この曲はかつて山口が「2度とライブでやらない」と宣言した曲だったが、武道館は特別な場所ということでセットリストに組み込んだようだ。

「初めてサカナクションとしてライブをやったときは、岩寺と江島と3人でアコースティックセットでライブをやってね。そのときは100人もいなかったけど、今日は100倍くらい?」と興奮気味に語る山口。続けて音楽シーンの急速な変化について触れ、「音楽って絶対必要かって言ったら、食べ物とかに比べたら必要じゃない。でもこんだけの人が音楽に触れてるってことは、何かがあるんだよね」と音楽の持つ力について熱弁した。

「白波トップウォーター」でアンコールが締められるも、オーディエンスは貪欲にダブルアンコールを求める。大きな拍手に導かれステージに現れたメンバー5人は、壮大なロックシンフォニー「目が明く藍色」をプレゼント。身振り手振りを交え歌詞に込めたメッセージを伝える山口と、全身全霊で楽器をプレイする4人。クライマックスでは5人の荘厳なコーラスが会場を満たし、客席が明るく照らされる。夜明けを思わせるその光景は、サカナクションが新たなスタート地点に立ったことを告げているようだった。

なお、この日のライブの模様は11月15日(月)深夜0:30からWOWOWにてオンエア予定。サカナクションによる極上のロックエンタテインメントを、今度は映像でじっくり楽しもう。

「SAKANAQUARIUM 21.1 (B)」セットリスト

01. Ame(B)
02. ライトダンス
03. セントレイ
04. アドベンチャー
05. Klee
06. フクロウ
07. 涙ディライト
08. アンダー
09. シーラカンスと僕
10. マレーシア32 ~ 21.1~Paradise of Sunny
11. 新曲
12. ネイティブダンサー
13. インナーワールド
14. サンプル
15. 三日月サンセット
16. アルクアラウンド
17. アイデンティティ
18. enough
<アンコール>
19. GO TO THE FUTURE
20. 白波トップウォーター
<ダブルアンコール>
21. 目が明く藍色
(エンドロール:ホーリーダンス Instrumental Remix)

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