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有安杏果、夏を駆け抜けた初ソロツアーを経て“ポジ子”に

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「有安杏果 Pop Step Zepp ツアー 2019」最終公演の様子。(c)Apricot Inc.

「有安杏果 Pop Step Zepp ツアー 2019」最終公演の様子。(c)Apricot Inc.

有安杏果がソロとなって初めてのライブツアー「有安杏果 Pop Step Zepp ツアー 2019」を行った。ここではツアーファイナルとなった昨日8月14日の東京・Zepp Tokyo公演の模様をレポートする。

今年3月、東京と大阪でのワンマンライブ「有安杏果 サクライブ 2019 ~Another story~」をもってソロとして音楽活動を再開させた有安。全国6都市を回った「Pop Step Zepp ツアー」では福原将宜(G)、山口寛雄(B)、玉田豊夢(Dr)、宮崎裕介(Key)の4人をサポートに迎え、ツアーのために用意した新曲や公演ごとに異なるカバー曲を織り交ぜながら、緊張の感じられた3月の復帰ステージとはひと味違うライブパフォーマンスを各地で繰り広げてきた。

アレサ・フランクリン「Until You Come Back to Me(That's What I'm Gonna Do)」が流れる中、薄暗いステージにバンドメンバーが陣取ると、観客のリズムに合わせたクラップは大きな拍手へと変わる。玉田のカウントからジャジーなインスト演奏が始まり、有安がゆっくりと歩いてステージ中央へ。大歓声に包まれる中、赤いテレキャスターを構えた有安は、福原とのツインギターソロから始まる「ヒカリの声」でライブをスタートさせた。続く「TRAVEL FANTASISTA」ではギターを置いてステージ上を右へ左へと跳ね回り、フロアを埋め尽くすオーディエンスに向けていっぱいに伸ばした手を振る。「すごい。後ろ見えとる? 泣いている人いたから、せっかく千秋楽は笑顔でいこうと思ってたのに、もらい泣きしそうになったわ」とうれしそうに話した有安は、大勢のファンがひしめく客席を心配しながらも「すんごい熱いライブにしたいから。……自分で言ってて恥ずかしくなっちゃった(笑)」とライブに対する並々ならぬ意欲を見せた。

3曲目に歌われた「ハムスター」は、有安が初めてソロライブを行う際、「自分でも曲を作りたい」となんの知識もないまま鼻歌で作り上げた最初の自作曲。続くピアノバラード「色えんぴつ」では感情をゆさぶるような有安の歌声がZepp Tokyoに響き渡った。日替わりカバー曲として有安が最終日にチョイスしたのは、斉藤和義の「歌うたいのバラッド」。ももいろクローバーZ卒業から1年あまりの間、ゆっくりとした時間を過ごしながら自分を見つめ直し、心の中で強く思った「歌を歌いたい」「歌手になりたい」という自身の素直な気持ちにフィットしたのがこの曲だったという。有安は斉藤本人のバックを務める玉田、山口をはじめとするバンドのずっしりとした演奏に乗せ、アコースティックギターをかき鳴らしながら「歌うたいのバラッド」を熱唱した。「心の旋律」はハンドマイクで丁寧に、「小さな勇気」は1人でピアノを演奏しながらの弾き語り、とそれぞれの曲に合わせたパフォーマンスを見せた有安。後半にはこのツアーのために用意された新曲「LAST SCENE」「Do you know」が2曲続けて披露され、「Do you know」では激しい動きのコンテンポラリーダンスで観客の視線を惹き付けた。これまでのソロ楽曲にはなかったアダルトなムードを持つこの2曲の歌詞は、“恋”という共通のテーマのもと、出会いと別れの2つのシーンを有安自身の手で描いたという。

新曲披露を終えたところで、ライブはラストスパートへ。「遠吠え」「愛されたくて」のジャジーなバンドアンサンブルがオーディエンスを揺さぶり、有安の歌声も軽やかにスウィングする。有安は「愛されたくて」の間奏でバンドメンバーを1人ずつ紹介すると、最後に「ここに1669個の拍手と声という素敵な楽器を持ってきてくれたみんな!」と一緒にライブを作り上げた大事な“メンバー”を紹介した。そして有安はひと呼吸置くと、「ここでちょっとみんなにうれしいお知らせしてもいい?」と、2020年春のライブツアー「サクライブ 2020」の開催を発表した。会場が1つ発表されるごとに歓声を上げるファンを前に、有安も「私もうれしい。次のライブがないと生きてけへんから」と大喜び。そして有安は春のライブにて弾き語りで披露した「虹む涙」をバンドアレンジで歌い、最後は疾走感あふれるピアノロック「Catch up」で締めくくった。

アンコール恒例の“逆再生メドレー”では、本編で歌われた13曲を逆順に、ジャズ、ボサノバ、レゲエ、スカなどオリジナルとはまったく異なるアレンジで数珠つなぎに展開する。冒頭の「Catch up」では中学時代からやってみたかったというサックス演奏に挑戦する場面も。ゆったりとしたシャッフルビートに変換された「ヒカリの声」で観客とのシンガロングをたっぷり楽しんだ有安は「最っ高の夜を……ありがとーう!」と叫んだ。バンドメンバー、スタッフ、そしてファンへの深い感謝を述べた有安が「こんなにあったかいみんながいるので、もっともっとがんばっていきたいと思います。いつもネガティブになりがちな私なので、もうちょっとポジティブに……“ポジ子”でがんばろうと思います」と決意を口にすると、客席のあちこちからさっそく「ポジ子!」の声が。有安は「夏のツアーに向けて作った新曲を」と満面の笑顔でさらにもう1曲、夏の感傷的な思いを詰め込んだ新曲「ナツオモイ」を届けた。

有安がステージを去り、明るくなった場内に終演のアナウンスが何度も流れるも、観客の「杏果!」コールは鳴り止まない。楽屋で声を聞きつけ慌ててステージに飛び出してきた有安は、「とりあえずアコギさえあれば大丈夫かな」とPAを通さない生音で演奏することに。その場でリクエストを募った結果、この日のセットリストになかった「feel a heartbeat」が選ばれ、有安はその場でコードをおさらいする。マイクも通さない生声とアコースティックギターの音だけで観客と共に「feel a heartbeat」をワンコーラス歌った有安は、「日常いろいろあると思うけど、たまにはこのライブのことを思い出してね。ポジ子、帰ります!」と元気に手を振って笑顔でステージをあとにした。

有安杏果 Pop Step Zepp ツアー 2019
2019年8月14日 Zepp Tokyo セットリスト

01. ヒカリの声
02. TRAVEL FANTASISTA
03. ハムスター
04. 色えんぴつ
05. 歌うたいのバラッド(オリジナル:斉藤和義)
06. 心の旋律
07. 小さな勇気
08. LAST SCENE
09. Do you know
10. 遠吠え
11. 愛されたくて
12. 虹む涙
13. Catch up
<アンコール>
14. 逆再生メドレー
15. ナツオモイ

各公演のカバー曲

2019年7月15日(月・祝)北海道 Zepp Sapporo:しあわせのランプ(オリジナル:玉置浩二)
2019年7月17日(水)・18日(木)宮城県 チームスマイル・仙台PIT:福笑い(オリジナル:高橋優)
2019年7月22日(月)・23日(火)東京都 Zepp Tokyo:若者のすべて(オリジナル:フジファブリック)
2019年7月29日(月)・30日(火)大阪府 Zepp Osaka Bayside:くちばしにチェリー(オリジナル:EGO-WRAPPIN')
2019年8月6日(火)・7日(水)愛知県 Zepp Nagoya:全力少年(オリジナル:スキマスイッチ)
2019年8月9日(金)・10日(土)福岡県 Zepp Fukuoka:シグナル(オリジナル:WANIMA)
2019年8月13日(火)東京都 Zepp Tokyo:歌うたいのバラッド(オリジナル:斉藤和義)

有安杏果 サクライブ 2020

2020年3月5日(木)愛知県 Zepp Nagoya
2020年3月11日(水)大阪府 Zepp Namba
2020年3月13日(金)香川県 高松festhalle
2020年3月14日(土)広島県 BLUE LIVE HIROSHIMA
2020年3月16日(月)福岡県 Zepp Fukuoka
2020年3月19日(木)北海道 Zepp Sapporo
2020年3月21日(土・祝j)宮城県 チームスマイル・仙台PIT
2020年3月27日(金)東京都 LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)

※記事初出時、文中の楽曲タイトルに一部誤りがありました。訂正してお詫びいたします。

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