序盤から前のめりな歌と演奏
3月15日は有安の誕生日。「有安杏果サクライブ2025」の開催日に30歳のバースデーを迎えた彼女は、4ピース編成のバンドを率いて気合十分な中でライブに臨んだ。ここ最近はアコースティックギターやピアノの弾き語り、ジャズスタイルのライブが続いていたため、今回の編成でのパフォーマンスはひさしぶり。開演時刻を少し過ぎた頃、まずはバンドメンバーの福原将宜(G)、玉田豊夢(Dr)、川崎哲平(B)、松本ジュン(Piano)がステージにスタンバイし、彼らが奏でるサウンドと観客の拍手に包まれながら有安も姿を現した。バンドメンバーとおそろいのVANSのシューズを身に着け、アコギを抱えた彼女は約9年前に人生で初めて作詞作曲した楽曲「ハムスター」でライブの幕を開け、会場中を伸びやかな歌声で満たす。3曲目「TRAVEL FANTASISTA」ではアコギを置いてマイクを手に持つと、ステージを縦横無尽に動き回りながらエネルギッシュに歌唱。観客と一緒に手を左右に振って心地よい一体感を生み出した。
ライブの意気込みを興奮気味に述べたあと、有安はエレキギターを手に躍動感に満ちた前のめりなパフォーマンスを展開。疾走感あふれるギターロックナンバー「Drive Drive」では、観客が一斉にタオルを振り回した。さらに「feel a heartbeat」「Another story」とアッパーチューンを矢継ぎ早に畳みかけ、盤石なプレイでライブを支えるバンドとともに、ギアをぐんぐんと上げていく有安。場内を大きな高揚感で包んだかと思えば、彼女は再びアコギを持つと「弾き語りライブに向けて作った曲です。なかなか夢って簡単には叶わなくて、でもあきらめない気持ちでがんばろうって、そういう気持ちを込めて作りました」と言葉を紡ぎ、「指先の夢」を情感たっぷりに丁寧に歌い上げる。楽曲序盤は弾き語りでパフォーマンスが届けられ、スポットライトに照らされながら歌う有安の姿に観客の視線が釘付けになった。このほか、バンドセットでは初披露となった「夢の途中」などを通して濃密なグルーヴが広がっていった。
ビルボードライブで鍛えたピアノも披露
ここで有安は「今日30歳になりました!」と声を弾ませながら報告。観客がバンドの演奏に合わせて合唱する「Happy Birthday to You」を笑顔で受け止めたのち、「今のところ全然実感がなくて(笑)。ライブがある誕生日って幸せだけど、けっこうバタバタしていて。ついこの間20歳の誕生日をお祝いしてもらった気がします」と心境を明かした。その後、有安はピアノの前へ腰掛けると、観客も座席に座らせ「初めての『サクライブ』でピアノで弾き語りした曲で、ソロになってこれからがんばっていくという時期に作りました。決意表明みたいな強い思いも入っているんですけど、それと同時にこの曲を作ったときは不安だったり、ちょっとしんどかったりして。でも『私は何くよくよしているんだ。がんばらないと』と背中を押してくれる大切な曲です」と次に披露する楽曲に対する思いを口に。虹色の照明をバックに「虹む涙」を切々と歌い上げた。2月にビルボードライブでピアノの弾き語りを披露した有安は、続く「裸」でも見事な演奏を披露し、「心の旋律」ではマイクを手にステージ中央に移動して温かく芯の強い歌声を届けた。
ライブが終盤に差し掛かった頃、有安はジャズテイストのナンバー「愛されたくて」を皮切りに、「遠吠え」「LAST SCENE」と大人びた楽曲を連発。バンドのテクニカルな演奏と有安のスキャットも交えたキレのある歌声が絡み合う、ハイレベルなステージに観客が圧倒された。4月5日にInterFM897にてレギュラーラジオ番組がスタートすることを発表したり、客席をハツラツと煽ったりと、会場のテンションをより一層引き上げた有安は、ラストスパートとして「ヒカリの声」「Runaway」「靴ひも」の3曲を投下。約2時間に及んだライブ本編が、駆け抜けるようにしてフィニッシュした。
「30歳の有安杏果もよろしくお願いします」
アンコールでは今の季節にぴったりな春のナンバー「サクラトーン」でパフォーマンスが再開する。有安は「ライブは私にとってすごく大切な場所で。ライブがあるからがんばれると思っています。そんな大切なライブをこうやってできて、みんなが集まってくれて本当にうれしいです」と感謝の思いを言葉にすると、「またみんなに会える日までコツコツがんばりたいと思いますので、30歳の有安杏果もよろしくお願いします!」とファンに呼びかけた。そしてミラーボールのきらびやかな光が場内をまばゆく照らす中、彼女はラストナンバーとして「Catch up」を生き生きと歌唱。充実のライブで自身の30歳のバースデーを華やかに彩った。
セットリスト
「有安杏果 サクライブ2025」2025年3月15日 KT Zepp Yokohama
01. ハムスター
02. Do you know
03. TRAVEL FANTASISTA
04. Drive Drive
05. feel a heartbeat
06. Another story
07. 指先の夢
08. ペダル
09. 夢の途中
10. 虹む涙
11. 裸
12. 心の旋律
13. 愛されたくて
14. 遠吠え
15. LAST SCENE
16. ヒカリの声
17. Runaway
18. 靴ひも
<アンコール>
19. サクラトーン
20. オレンジ
21. Catch up
有安杏果 Ariyasu Momoka @ariyasu0315
【ライブレポート】有安杏果、30歳の誕生日に充実のバンドセットワンマン「ライブがあるからがんばれる」(写真48枚)
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