Saucy Dog、“先輩”フォーリミに噛み付く!? 対バンツアー「One-Step Tour」大阪公演

Saucy Dog企画の対バンツアー「One-Step Tour」の初日公演が昨日7月12日に大阪・BIGCATで行われた。

今回のツアーでは、バンドをよりステップアップさせるべく、04 Limited Sazabys、クリープハイプ、SUPER BEAVERという敬愛する先輩バンドを迎え、東名阪で対バンを繰り広げるSaucy Dog。初日公演には学生時代から愛聴していたというフォーリミを招き、白熱したライブバトルを展開した。

ライブ前に音楽ナタリーの取材に応じたSaucy Dogの石原慎也（Vo, G）は「まさか出演してくださるとは思ってなくてうれしかったです。でもめちゃ緊張してます。手が震えて爪が切れなかったくらい」とフォーリミとの競演を控えての思いを吐露。フォーリミのGEN（B, Vo）は「誘ってもらえてうれしかったです。先輩の立場から見て、Saucy Dogが今、いい感じだなと思ってたので、ライブハウスでどんな感じなのか見たかった」と語った。また石原は緊張感をにじませながらも「（先輩に）しっかりと噛み付いていきます」と気炎を吐く。するとGENは「噛み付かれるの怖いなあ。懐いてほしい」と笑い、「僕も先輩に覚えてもらいたいがために生意気なことを言ったりしていたので、逆の立場になったんだなと。だからこそ先輩の力を見せてすごいプレッシャーを与えようかな」と本番に向けて意気込んだ。

先攻を務めた“先輩”フォーリミは、フロアを埋め尽くすオーディエンスの期待に満ちた視線を浴びながら登場。GEN（B, Vo）の「大阪いける？ 一緒にいける？」という言葉を合図に4人は高速のパンクチューンを矢継ぎ早にプレイし、観客のテンションをいきなり沸点に引き上げた。会場はさながらフォーリミのワンマンライブのような雰囲気になり、GENはその光景を前にSaucy Dogの名前を引き合いに「俺は猫派だ！ ここはBIGCAT（猫）ということで、完全にホームってことでいいか？」と後輩に向かって宣戦布告し、最近のライブの定番曲「message」を叩き込んだ。中盤ではトリッキーなギターのアンサンブルと切れ味の鋭いリズムが絡む「mahoroba」や、RYU-TA（G, Cho）のシャウトが炸裂する「discord」などタイプの異なる楽曲を演奏。4人は先輩としての貫禄を見せるようなパフォーマンスを繰り広げた。またGENは石原と銭湯で裸の付き合いをしたエピソードを語り、「ずっと若手のつもりだったんですけど……俺に対して緊張してくれる後輩ができてうれしい。でも早いうちに芽を摘んでおかなきゃと思って対バンに臨みました」と冗談を飛ばして観客を笑わせた。そんな言葉を放ちながら4人は、後輩への敬意を示すように全力のパフォーマンスを届けてステージをあとにした。

続いて“後輩” Saucy Dogの出番に。せとゆいか（Dr, Cho）、秋澤和貴（B）に続いて現れた石原は、着用しているフォーリミのTシャツをアピールして気合いのほどを伺わせた。先輩の熱演に気圧され前半こそ萎縮していた3人だったが、次第にそのプレイは伸び伸びしたものに。せとは柔らかな表情を浮かべながら軽快なリズムでフロント2人のプレイを支え、秋澤はアグレッシブに動きながらメロディアスな音色を奏でた。また石原は楽曲ごとに異なる表情の歌声を聴かせ、満員の会場を惹き付けていく。「煙」で感情を爆発させるように歌い上げたかと思えば、「雀ノ欠伸」ではその声で朗らかな空気を作り出すなど、ボーカリストとしての幅広さを発揮した。緊張が解けた頃、石原は「GENさん、俺の裸の話してた？ キャラ的にダメでしょ」と軽口を叩きながらもフォーリミ愛を告白。一方でGENのMCを受けて「ここ、BIGCATでしょ？ GENさんは猫派でしょ？ どう思う？ でもSaucy Dogのことをみんなが好きになってくれたら、ここは俺らのホームと言ってもいいんじゃない？」と、せとと秋澤と共に三位一体のステージを展開した。音楽ができる幸せを噛み締め、先輩の胸を借りながらも自分たちらしい音を奏でていきたいと意気込んだSaucy Dogのメンバーたち。ラスト1曲まで気合いたっぷりの熱演を披露して「One-Step Tour」の初日を締めくくった。

なお「One-Step Tour」は明日7月14日に愛知・DIAMOND HALLでクリープハイプを迎えて、25日に東京・Zepp DiverCity TOKYOでSUPER BEAVERを迎えて行われる。