杏沙子、何にも縛られずに歌う「フェルマータ」ライブで過去の自分に感謝

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杏沙子が3月15日に大阪・OSAKA MUSE、昨日3月30日に東京・TSUTAYA O-EASTでワンマンライブ「fermata」を行った。この記事では東京公演の模様をレポートする。

杏沙子ワンマンライブ「fermata」の様子。(撮影:川田洋司)

杏沙子ワンマンライブ「fermata」の様子。(撮影:川田洋司)

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杏沙子ワンマンライブ「fermata」の様子。(撮影:川田洋司)

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2月13日に初のフルアルバム「フェルマータ」を発表した杏沙子。アルバムタイトルを冠した今回のライブでは、彼女の楽曲のサウンドプロデュースを多数手がける山本隆二(Key)がバンマスを務め、森本隆寛(G)、Keity(B / LUCKY TAPES)、若山雅弘(Dr)、Nona*(Key, Perc, Cho)の演奏で「フェルマータ」収録曲を中心としたステージが展開された。

杏沙子(撮影:川田洋司)

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ステージ上のミラーボールが青い光を放つ中、杏沙子はバンドメンバーと共にスタンバイ。「フェルマータ」のオープニングナンバー「着ぐるみ」でライブをスタートさせた。「アップルティー」では杏沙子がハンドマイクでステージを駆けながら歌い、観客はビートに乗せてハンドクラップ。「ユニセックス」では杏沙子の動きに合わせて観客も左右に手を振り、フロアに一体感が生まれた。

杏沙子ワンマンライブ「fermata」の様子。(撮影:川田洋司)

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アルバムおよびライブのタイトルに冠された「フェルマータ」(fermata)は音楽記号で、楽譜上でこの記号が記された部分は演奏家の裁量で音符の拍が決められる。杏沙子は「フェルマータは『何にも縛られずに演奏していいよ』という記号なんです。私のアルバムを作る姿勢、音楽との向き合い方……直感を信じて作ったアルバムにすごく合ってるなと思って付けたんです」とタイトルの由来を明かし、「そしてもう1つ、私の音楽を聴いてくれるみんなにも、何にも縛られずに楽しんでほしいんです」と呼びかける。そして「みんなの人生に大きな余韻を残すような、そんなライブにしていきましょう」と、メロウなソウルナンバー「マイダーリン」でライブを再開した。続く「よっちゃんの運動会」では杏沙子がソロ演奏すべく鍵盤ハーモニカを取り出すも、パイプが外れていて吹けないというまさかのハプニングが。大阪公演での演奏ミスを挽回すべく練習を重ねてこの日に挑んだという杏沙子は「こんなことあります?」と肩を落としつつ、ソロパートのみ再度演奏してなんとか挽回した。また杏沙子は「体いっぱいで遊んでいることを伝えたい」と、ファンキーなビートで他者への不満を歌う「ダンスダンスダンス」でボイスパーカッションとトランペット演奏を披露。この日のためにプラスチック製のトランペットをわざわざ購入したものの、当日のリハーサルでピストンが故障し、急遽普通のトランペットをレンタルしたのだという。

杏沙子ワンマンライブ「fermata」の様子。(撮影:川田洋司)

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バンドのタイトな演奏が冴える「チョコレートボックス」「半透明のさよなら」、ピアノ1本をバックに歌う「おやすみ」と、中盤はじっくり聴かせる楽曲が並ぶ。「ダンスダンスダンス」と「おやすみ」は楽曲のテイストは違えど、同じく「愚痴から生まれた曲」とのことで、杏沙子は「満たされない方が人生楽しい。満たされないから曲ができるんだと思う」と持論を述べたかと思うと、ここで突然「第1回、電話選手権ー!」とバンドメンバーの男性陣4名に演技を要求。深夜に寝付けず電話をかけてきた女性への対応を抜き打ちで演じさせ、男性陣は戸惑いながらも4者4様の回答を導き出した。場内は一気になごんだが、その後の「流れ星」「青春という名の季節」では杏沙子のエモーショナルな歌声がそのムードを一変させる。昨年夏のメジャーデビュー曲「花火の魔法」では杏沙子がタオルを取り出し、観客と息を合わせて笑顔で振り回した。

杏沙子(撮影:川田洋司)

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杏沙子はここでひと呼吸置き、大学生のときに初めて作詞作曲した「道」について語り始める。「歌を歌う道に進むか進まないか、怖くて一歩を踏み出せないときに自分の背中を押す意味で作った曲です。その後デビューして、もっとたくさんの人に聴いてもらえる曲を作らなきゃ……と考えすぎて、しばらく曲が書けなくなった時期がありました。そんなときにふと『道』を聴いて、自分がいいと思うものを直感を信じて形にしていくべきだなと思って、この『フェルマータ』というアルバムができたんです。自分の背中を押すつもりで『道』を書いた過去の自分に背中を押されて、自分で作った曲にすごく感謝しています。ちょっと変かもしれないけど、今日は過去の自分に向けて歌おうと思います」と、その「道」を熱唱。最後は自身のルーツに立ち返ったアルバム「フェルマータ」のラストナンバー「とっとりのうた」で締めくくり、杏沙子は深々と頭を下げてステージを去った。

アンコールの声に呼び戻された杏沙子は「よし最後、みんなで恋の病にかかろうか!」と、恋愛を予防接種に例えた軽快なスカナンバー「恋の予防接種」を披露した。さらにもう1曲、ソウルフルな「天気雨の中の私たち」を歌った杏沙子は充実した表情でパフォーマンスを終え、観客と一緒に記念撮影。場内は惜しみない拍手と歓声に包まれた。

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杏沙子ワンマンライブ「fermata」
2019年3月30日 TSUTAYA O-EAST セットリスト

01. 着ぐるみ
02. アップルティー
03. ユニセックス
04. マイダーリン
05. よっちゃんの運動会
06. ダンスダンスダンス
07. チョコレートボックス
08. 半透明のさよなら
09. おやすみ
10. 流れ星
11. 青春という名の季節
12. 花火の魔法
13. 道
14. とっとりのうた
<アンコール>
15. 恋の予防接種
16. 天気雨の中の私たち

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