SHE'S、総勢11名の特別編成で届けたホールコンサート「過去も未来も全部大事」

SHE'Sが昨日5月27日に東京・中野サンプラザホールでワンマンライブ「Sinfonia "Chronicle" #1」を開催した。

「オーケストラと共に奏でる音楽を、これから続けていく」という彼らの決意がタイトルに込められた「Sinfonia "Chronicle"」。記念すべき第1回でSHE’Sは銘苅麻野（Violin）、谷崎舞（Violin）、角谷奈緒子（Viola）、吉良都（Cello）のストリングス4人と永田こーせー（Sax, Flute）、真砂陽地（Trumpet, Flugelhorn）、馬場桜佑（Trombone, Flute）のホーン隊3人を従えた11人編成で、インディーズ時代含む新旧さまざまな楽曲を特別なアレンジで演奏した。

ホールを埋め尽くすファンの大きな拍手に迎えられて登場したSHE’Sはメジャー1stシングル「Morning Glow」でライブの幕を開けると、続けて「Un-science」を披露。ストリングスを交えた壮大な旋律がホールに響き渡り、場内は早くもエモーショナルなムードで満たされた。大阪出身のSHE’Sは関西弁のゆるいトークを挟みつつ、その演奏で観客を圧倒。ギターソロ始まりのロックチューン「Isolation」に続く「Just Find What You'd Carry Out」ではストリングス、ホーン隊と共に重厚なハーモニーを轟かせた。

フルートの調べで始まった「Evergreen」に続いて、「パレードが終わる頃」で会場に祝祭的な雰囲気を作り出すと、井上竜馬（Vo, Key）とストリングスを除くメンバーが退場する。ここで井上は5、6年前に交際していた女性に「私の幸せをあんたが決めるな」と言い放たれた過去や、カンボジアで出会った過酷な環境で暮らす人々が「自分の人生を恨んだり、不幸だと思ったことはない」と話していたというエピソードを明かすと、それらの経験から生まれたという楽曲「幸せ」を数年ぶりに披露。井上の弾き語りにストリングスが加わり、さらに舞台に戻った広瀬臣吾（B）、服部栞汰（G）、木村雅人（Dr）の3人の音が重なるドラマチックな構成で観客の心を揺さぶった。

「Ghost」「Night Owl」で鬼気迫るパフォーマンスを見せたあと、彼らは観客を一旦着席させてから「男子！ 女子！」のコール＆レスポンスで会場に和やかな空気を生み出す。そして「Voice」でライブを再開すると、井上は立ち上がろうとする観客に向かって「自由でええよ。座って観たい人は座っててもええよ」と優しく声をかけつつ、透き通った歌声でファンを魅了。続けて「遠くまで」「The World Lost You」「Over You」の3曲を演奏したあと、井上は久しぶりに帰る実家の温かさを語り、「音楽の鳴る場所がみんなにとってホッと一息つける、安心できる場所であったらいいな」と言って「Home」を熱演。彼らはこの曲でフロアにシンガロングを起こして会場に一体感を生み出すと、さわやかな表情でステージをあとにした。

アンコールに応じて登場したSHE'Sは8月8日発売のニューシングル（タイトル未定）に収録される「歓びの陽」を披露。ここで井上は自分自身を好きになれないけれど、みんなが支えてくれたから大好きな音楽をなんとか続けてこれたと語り、ファンやメンバー、スタッフなど周囲の人たちへの感謝の気持ちを口にする。彼はバンドが永遠に続くと言い切ることはできないと吐露しつつも、「過去も未来も全部大事」「全部を無駄にしないために今を懸命に生きるしかない」と自身の思いを語ると、4人で「Curtain Call」を力強く演奏。最後はストリングスとホーン隊を交えた11人で観客に挨拶し、大きな拍手に包まれながら「Sinfonia "Chronicle" #1」に幕を下ろした。