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SAKANAMON、Zepp Tokyoで“ロックバンド”の10年振り返る

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SAKANAMON「延々々」東京・Zepp Tokyo公演の様子。(Photo by Taku Fujii)

SAKANAMON「延々々」東京・Zepp Tokyo公演の様子。(Photo by Taku Fujii)

SAKANAMONが5月19日に東京・Zepp Tokyoでワンマンツアー「延々々」の最終公演を行った。

ツアーはSAKANAMONの結成10周年、そして最新アルバム「・・・」のリリースを記念して行われた。彼らはワンマンとしてはひさしぶりの大箱となるZepp Tokyoで、10年の軌跡を感じさせるライブを展開し、集まった大勢のファンを魅了。楽曲によってはアラカワシ(G / deid、VELTPUNCH、ayutthaya)と飯野桃子(Piano / テスラは泣かない。)が演奏に参加し、アンサンブルに彩りを加えた。

SAKANAMONはステージバックにポップな映像が流れる中ステージに登場。定位置に着くと、TENGAとのコラボ曲「DAPPI」でライブをスタートさせた。赤と白のライトに照らされながらダンスミュージックを鳴らす3人に、客席からは「オイ! オイ!」と声が上がる。サポートギタリストとしてアラカワシが姿を見せると、4人は向き合って力強く音を出し「マジックアワー」へ。藤森元生(Vo, G)の「お願いしてもいいですか!」という言葉から早くも観客のみのシンガロングが沸き起こり、バンドとファンの信頼関係を感じさせた。

最初のMCで藤森は「ひさびさのワンマンツアーで、まさかのZepp Tokyoで、15分前までどうなることかと思ってましたが、楽しいですね。大丈夫そうですね。ありがとうございます!」と観客の盛り上がりに感謝し、「ここには音楽の趣味がいい人が集まってますからね。大いに楽しみましょう!」と歓声をさらった。藤森のエモーショナルな歌声と森野光晴(B)の巧みなコーラスが響く「反照」、リズム隊と藤森の息ぴったりな掛け合いが見事な「乙女のKANJOU」、森野がヘビーなベース音を響かせた「爆弾魔のアクション ~願い~」といった楽曲で観客を沸かせたあと、3人はバンドのこれまでを振り返るようなMCを展開していく。森野が結成前、藤森からデモ音源をもらったこと、当時すでに「SAKANAMON」という名前があったことに触れ「デモを渡されて、ハートを射抜かれて。この人、天才かもと思った」と言及。藤森が照れ隠しをするように口笛を吹くも、森野はかぶせるように「こんな変な人だと思ってなかった」と発言する。それに木村浩大(Dr)も「俺も最初は礼儀正しいやつだと思ってた……窓越しにずっと見てたと言うか。もうさ、(その窓が)開いたら“藤森元生”がすごいんだよ。もう汚ねえし」と話して観客を笑わせた。

そして3人は、藤森が高校時代に地元・宮崎で組んでいたバンドの頃から演奏していたという「ARTSTAR」を披露。飯野桃子が加わった「架空の色彩」をじっくりと聞かせたあとは、3人のみで「凡庸リアライズ」を届けていく。木村による「アゲ!」のコール&レスポンスでファンと一体となった「AGEINST」を経て、「CATCHY」ではSAKANAMONの母校・日本工学院のダンスチームが登場。続けて「UTAGE」と2曲コラボし、華やかなパフォーマンスでオーディエンスを盛り上げた。終盤、「SYULOVER」ではさらにゲストとしてレコーディングにも参加しているタカハシマイ(Czecho No Republic)とせんせい(東京カランコロン)がステージに加わり、藤森を女性2人で取り合うという楽曲のストーリーを再現。藤森はいちいちステージ袖にはけ、「まあまあお二人さん」と止めに入る歌詞で走り込んで2人の間に割って入り、実にうれしそうな表情で「うん最高」と歌っていた。

2人を見送り「あー、気持ちよかった」と満足げな藤森に、森野からは「そんなお前は気持ち悪いよ」というツッコミが。藤森が「さあ皆さん、ラストスパートですよ! 盛り上がっていけますか!」と声を上げると、バンドは「クダラナインサイド」「ミュージックプランクトン」と人気曲を畳みかけていく。「TSUMANNE」では大きな「つまんねぇよ つまんねぇよ」のコールが飛び、フロアは熱気に包まれた。ラストナンバーを残して藤森は、改めてバンド結成10周年を迎えたことについて「振り返ってみると、そもそも僕らはひょんなことから自然発生したバンドで。ビッグになってこの世を征服するみたいな思いもなく、ノリみたいな感じで始まって」と笑う。さらに宮崎時代のバンドは野望のあるバンドだったが、人間関係がうまくいかなかったことを明かし「東京出てきて、SAKANAMONとして宅録で曲を作って。で、宮崎に帰ろうと思ったけど、みんなに聴かせたくなって、デモを作ったら森野さんが『俺のベースで弾いてみたい』って言ってくれて、恥ずかしながらモジモジしながらSAKANAMONを結成して。キム(木村)さんもひと言めで『(バンド)やるよ』って言ってくれて」と活動初期を改めて振り返った。

そして藤森は「10年、CDをいっぱい出して、いろんな人と関わって。売れる売れないとか言われて。でも僕らはただ、好きな音楽を皆さんに聴いてほしいだけで、ただ好きな音楽を続けていきたいだけなんです。『浮遊ギミック』(2011年リリースの1stミニアルバム)を出したとき、そんなに売れないと思ってた。でも、こんなにセンスのいい人たちが……いたんですねえ、世の中に。本当にありがとうございます」と客席へ向かって感謝する。「これからも僕の一番の理解者である森野さん、僕らには言えないような、『SAKANAMONがナンバーワンだ』みたいなことを自信を持って言ってくれるキムさんがいれば、まあ、しばらくは解散しないでしょう。僕もまだみんなに聞かせたい音楽がたくさんあるし、それをこの3人で鳴らせる限りずっと続けていきます。皆さんも本当に気に入ったときだけでいいから、ライブ観に来てください。僕らはずっとライブやってます。次どんな音楽を投げるかわからないけど、気に入る曲が1曲でも多く作れるようにこれからもがんばりますので、皆さんどうか! 応援よろしくお願いします!!」と言葉に力を込め、ファンから盛大な拍手を受けた。「そんな曲を最後にやって終わります」という言葉から、3人は10年を振り返って制作された「ロックバンド」を熱演してステージを降りた。

アンコールでは、ファンの寄せ書きを集めた横断幕が前列の観客から渡されるシーンが。森野は「こんなことをやってもらえるなんて、愛されますね……僕ら」と感激し、藤森は「いやー、まいったね」と照れ臭そうに喜んだ。そして藤森は飯野のしっとりとしたピアノに乗せて、これまで出会ったすべての人への感謝を込めた「テヲフル」をつぶやくように歌い始める。演奏が進むにつれて力強いバンドサウンドへと変化し、会場にはエモーショナルな空気が広がっていった。ラストにSAKANAMONは藤森が初めてバンドのために書いた曲「妄想DRIVER」を3人のみで披露。最後に彼はギターをステージに置いてマスコットキャラクター・サカなもんの人形で前列の観客とハイタッチし、森野はそのギターをかき鳴らしたりと、大熱狂のうちにワンマンツアー「延々々」の幕を閉じた。

なおSAKANAMONはこのライブで、9月から11月にかけて対バンツアー「連々々」を行うことを発表。SAKANAMONのオフィシャルサイトでは、5月27日までチケットの先行予約を受け付けている。またレコチョクのアーティスト支援プラットフォーム「WIZY」で実施されている「SAKANAMON THE MOVIE ~ サカナモンは、なぜ売れないのか ~」と題したドキュメンタリー映画を制作するプロジェクトのサポート申し込みも5月27日まで。

SAKANAMON「SAKANAMON結成10周年『・・・』リリース記念ワンマンツアー “延々々”」2018年5月19日 Zepp Tokyo セットリスト

01. DAPPI
02. マジックアワー
03. 幼気な少女
04. アリカナシカ
05. 反照
06. ぱらぱらり
07. 乙女のKANJOU
08. 爆弾魔のアクション ~願い~
09. DAVID
10. ケーキ売りの女の子
11. ARTSTAR
12. 架空の色彩
13. 凡庸リアライズ
14. AGEINST
15. CATCHY
16. UTAGE
17. STOPPER STEPPER
18. SYULOVER
19. クダラナインサイド
20. ミュージックプランクトン
21. TSUMANNE
22. ロックバンド
<アンコール>
23. テヲフル
24. 妄想DRIVER

SAKANAMON10周年対バンツアー“連々々”

2018年9月7日(金)千葉県 千葉LOOK
2018年9月15日(土)宮城県 SENDAI CLUB JUNK BOX
2018年9月17日(月・祝)北海道 DUCE
2018年9月21日(金)京都府 KYOTO MUSE
2018年10月7日(日)愛知県 CLUB UPSET
2018年10月8日(月・祝)岡山県 IMAGE
2018年10月10日(水)香川県 高松TOONICE
2018年10月12日(金)宮崎県 SR BOX
2018年10月13日(土)福岡県 INSA
2018年10月31日(水)石川県 vanvanV4
2018年11月3日(土・祝)大阪府 BIGCAT
2018年11月11日(日)東京都 TSUTAYA O-EAST

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