音楽ナタリー - 最新音楽ニュース

さくら学院、12人それぞれの思い乗せて歌を届けた「歌の考古学」

843

山出愛子

山出愛子

さくら学院が3月4日に東京・THE GRAND HALLにて、公開授業イベント「歌の考古学」を開催した。

「歌の考古学」はさくら学院が年度末に行う公開授業イベント。講師はさくら学院校長でありミュージシャンの顔も持つ放送作家の倉本美津留が務める。「自分が生まれる前に発表された楽曲」という条件のもと、生徒自らが選曲した楽曲を自分なりの歌詞解釈などをプレゼンしてからアカペラで歌唱するという内容で、毎年チケット争奪戦となる人気イベントだ。2017年度の「歌の考古学」は1時限目に岡崎百々子、麻生真彩、日高麻鈴、藤平華乃、吉田爽葉香、田中美空、2時限目に山出愛子、岡田愛、新谷ゆづみ、有友緒心、森萌々穂、八木美樹が出席した。

1時限目に登場したメンバーは、昨年グループを卒業した黒澤美澪奈を除く2015年度の転入生に、今年度の転入生である田中を加えた6名。担任の森ハヤシが「1番にやりたい人!」と呼びかけると、藤平がスッと手を挙げ、そのままトップバッターを務めた。Kiroro「Best Friend」を選曲した藤平は、Kiroroのプロフィールを説明したあと、2番の歌詞の自己解釈を述べ、メンバーへの感謝の気持ちと同期で同学年の吉田への思いを乗せて同曲を歌唱。「“爽葉香”の笑顔に何度助けられただろう」と一部歌詞を変更し、吉田にアイコンタクトを送るなど、自信に満ちたプレゼンと歌を届けた。2番手の吉田は「アイドルの楽曲」にテーマを決めセレクトしたという松浦亜弥「ね~え?」をプレゼン。彼女いわく“さくら学院の吉田爽葉香”でいるときは普段よりも明るく、それは松浦が語った「“あやや”を演じていた」という言葉に重なったという。そんなプレゼンのあと吉田が「ね~え?」をキュートなダンスを交えて披露すると、生徒たちから「かわいい……!」という声がこぼれた。

麻生は歌番組で聴き、気に入ったという岩崎宏美「聖母たちのララバイ」をチョイス。この曲は麻生の母が初めて買ったレコードに収録されていた曲だったそうで、それも決め手の1つになったという。このことをきっかけに彼女は身の回りの人を対象に「初めて買ったCDやレコード」を調査。その結果を模造紙に書いて発表したあと、自分の初めて買ったCDがさくら学院「FRIENDS」であり、ずっと憧れていたさくら学院に転入(加入)し、母が初めて買ったレコードの楽曲を歌えるという偶然に感激した様子だった。「聖母たちのララバイ」を麻生が歌うと、倉本は「100点です。歌の考古学ということを踏まえていますね。歌も素晴らしかった」と太鼓判を押した。今回「歌の考古学」初参加となる田中は「涙の数だけ強くなれるよ」という冒頭の歌詞に共感したという岡本真夜「TOMORROW」を歌唱。緊張した面持ちだったが一生懸命歌ってみせた。

日高は“マリン”つながりで選んだというディズニー映画「リトルマーメイド」の挿入歌「Part of Your World」をチョイス。英語が得意な彼女は英語の歌詞を和訳して説明し、日本語版の歌詞は前向きな内容に訳されているが、オリジナル版はそれよりもリアルな心情が描かれていると分析した。そして「これからも強い意志を持って歌を届けていきたい」という思いを込めて、同曲を歌唱。英語の歌詞をなめらかに、感情豊かに歌い上げると、観客から大きな拍手が起こった。1時限目のラストを飾ったのは岡崎。今回が最後の「歌の考古学」になる彼女は300以上の曲を聴いた中からもっとも心に残ったというさだまさし「道化師のソネット」を選んだ。岡崎はこの楽曲のバックボーンを説明したあと、歌詞に繰り返し登場する「笑う」という表現に自分が思う笑顔の大切さを重ねてプレゼン。後輩たちに「つらいことがあってもいつか笑いながら話せる日があるから大丈夫」とメッセージを送り「道化師のソネット」を歌い始めたが、途中で歌詞が飛んでしまう。なんとか歌詞を思い出して歌い、そのメッセージを体現する形で発表を終えると、目をうるませながらも満面の笑顔を見せた。

2時限目は新谷による松任谷由実「春よ、来い」のプレゼンで幕開け。さくら学院にとって春は卒業の季節であり別れの季節だが、そんなときに胸を張って「春よ、来い」と言えるように成長していきたいという思いを込めてまっすぐな歌声を響かせた。続く有友はレッスンの帰り道で、家族で共有しているという音楽のラインナップの中からたまたま流れてきたというエレファントカシマシ「風に吹かれて」を選曲。ユーモアを交えてプレゼンを終えた彼女は、落ち込んだ自分を励ましたというこの曲を、この春卒業を迎える山出、岡田、岡崎への思いを込めて歌った。

森萌々穂は「友達」をテーマに楽曲を探し、ジャケットに惹かれたというPERSONZ「DEAR FRIENDS」を歌唱。友達でもあるさくら学院メンバーへの思いを歌と共に届けた。八木は当時自分と同世代だったフィンガー5が歌う「学園天国」をチョイス。晃のトレードマークであった大きなサングラスをかけた彼女は踊りながら歌い、手拍子ですらご法度と言われる「歌の考古学」の会場でコール&レスポンスを巻き起こした。「愛子、5年もやってきたんだよ? (最後じゃなくて)いいの?」と山出を最後を任せた岡田は越路吹雪「ラストダンスは私に」を選曲。プレゼンでは歌詞の中から「ハートだけは とられないで」という一節を、SNSでエゴサーチをして見つけたというほかのアイドルに浮気をする父兄たちに送り会場を笑わせた。彼女は卒業生の大賀咲希や本条友奈埜(野津友那乃)から“まじめに”笑いを取って、父兄を楽しませることの大切さを教わったという。おしとやかでいること以外のまじめさに気付き、殻を破れたという岡田は「ラストダンスは私に」を伸び伸びと歌い上げた。

山出は合唱曲の「BELIEVE」と平家派「Graduation」を持ち込み、各曲のエピソードを明かしたあと、父兄に歌う曲を選んでもらうという新しい選曲方法で臨んだ。これは前回の「歌の考古学」で倉本校長から言われた「そつがない」という言葉から解き放たれるべく行ったことだそうで、父兄の拍手の大きさで選ばれた「BELIEVE」を堂々と歌い上げた。山出が倉本校長の反応を恐る恐る確認すると、倉本校長は「『Graduation』も歌ってみるか」と提案。2曲目として「Graduation」も歌うという、これまでにない形で最後の「歌の考古学」を終えた。

2017年度さくら学院は3月20日に東京・TSUTAYA O-EASTにて最後のオールスタンディング公演「The Road to Graduation 2017 ~放課後アンソロジー レッツ スタンディング~」を開催。24日の東京・中野サンプラザホール公演「The Road to Graduation 2017 Final~さくら学院 2017年度 卒業~」にて今年度の活動の幕を閉じる。

さくら学院 公開授業「歌の考古学」メンバー歌唱楽曲

・山出愛子「BELIEVE」(合唱曲)、「Graduation」(平家派)
・岡田愛「ラストダンスは私に」(越路吹雪)
・岡崎百々子「道化師のソネット」(さだまさし)
・麻生真彩「聖母たちのララバイ」(岩崎宏美)
・日高麻鈴「Part of Your World」(ジョディ・ベンソン)
・新谷ゆづみ「春よ、来い」(松任谷由実)
・藤平華乃「Best Friend」(Kiroro)
・吉田爽葉香「ね~え?」(松浦亜弥)
・有友緒心「風に吹かれて」(エレファントカシマシ)
・森萌々穂「DEAR FRIENDS」(PERSONZ)
・田中美空「TOMORROW」(岡本真夜)
・八木美樹「学園天国」(フィンガー5)
※丸カッコ内はオリジナルアーティスト

The Road to Graduation 2017 ~放課後アンソロジー レッツ スタンディング~

2018年3月20日(火)東京都 TSUTAYA O-EAST

The Road to Graduation 2017 Final~さくら学院 2017年度 卒業~

2018年3月24日(土)東京都 中野サンプラザホール

※日高麻鈴の「高」ははしご高が正式表記。

音楽ナタリーをフォロー