“恋愛”がテーマのレキシ全国ツアー終幕、トレンディなラブストーリーの行方は

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レキシの全国ツアー「レキシツアー2025 ~イルカラブストーリー 101回目のイナホバケーション~」の追加公演となる“美ら海編”が本日7月29日に沖縄・ミュージックタウン音市場にて開催された。本公演をもって5月から行われてきた全国ツアーは無事終了。本稿では、7月22日に東京・東京国際フォーラム ホールAにて実施されたツアー本編最終日の模様をレポートする。

「レキシツアー2025 ~イルカラブストーリー 101回目のイナホバケーション~」の様子。(撮影:森口眞梨子)

「レキシツアー2025 ~イルカラブストーリー 101回目のイナホバケーション~」の様子。(撮影:森口眞梨子)

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ドラマチックに幕開け

「イルカラブストーリー 101回目のイナホバケーション」という往年の月9ドラマの題名を詰め込んだかのようなタイトルを冠した今回のツアー。その世界観を表現すべく、ステージには都会のビル群やレインボーブリッジを思わせるアーバンなセットが組まれている。ライブの始まりを知らせるホラ貝の音が場内に鳴り響くと、ステージ後方のスクリーンにトレンディドラマを思わせる映像が映し出される。物語の主人公はKMTR水族館に勤務するイルカの調教師・レキシ。いつものようにイルカのヨシオと特訓を重ねる彼の元に、ある日、ジェラードンかみちぃ扮する女性獣医・いなほが現れる。最初は、ぎこちない会話を重ねていた2人ではあったが、ヨシオに突き飛ばされたレキシが、いなほに倒れかかった瞬間──甘い恋の始まりを告げるかのように有名なソウルナンバーが鳴らされ、ライブはドラマチックに幕を開けた。

「レキシツアー2025 ~イルカラブストーリー 101回目のイナホバケーション~」の様子。(撮影:森口眞梨子)

「レキシツアー2025 ~イルカラブストーリー 101回目のイナホバケーション~」の様子。(撮影:森口眞梨子)[拡大]

ステージ中央の階段から登場したレキシは、「Iruka♡Love Story」というカラフルなネオンサインをバックに、シティポップ調のオープニングナンバー「たぶんMaybe明治」をクールに歌唱。「どうも、ケビン・コスナーです」というお決まりの挨拶に続けて、「今回のツアーは“恋愛”がテーマだから、恋の歌、愛の歌、みんなで歌っていこう!」と客席に呼びかける。続けて披露された「ギガアイシテル」では、サビのフレーズに合わせて観客が一斉に手を振り、レキシとの相思相愛ぶりを体現。開放感あふれる「真田記念日」に続き、ひさびさのツアー参加となる蹴鞠Chang(Dr / 玉田豊夢)がツイストのリズムを叩くと、レキシは同じリズムから入ることができる「SHIKIBU」か「姫君Shake!」のどちらを聴きたいかを観客に問いかける。ステージ後方のオブジェに紫が点灯したら「SHIKIBU」、黄色が点灯したら「姫君Shake!」。しばしの静寂ののち黄色が点滅し、バンドは「姫君Shake!」をプレイ。健介さん格さん(G / 奥田健介 from NONA REEVES)の小気味いいギタープレイを中心に据えたゴキゲンなロックンロールが会場を揺らした。

レキシぷっつん物語

この日最初のMCでレキシは、「今回のツアーは“恋愛”に加えて、“トレンディ”がテーマになっているので、ここからアレンジがジャジーになります」と宣言。バンドが即興でジャズセッションを始めると、「才能をひけらかしている」と、メンバーの演奏能力の高さに改めて感服していた。「古今 to 新古今」をチャールストン調の軽快なアレンジで届けたレキシは、畳みかけるようにして「古墳へGO!」をプレイ。続く「GOEMON」では、ヒロ出島(B / 山口寛雄)と蹴鞠Changのリズム隊がアグレッシブなソロ演奏で観客を沸かせた。

紫の十二単を身にまとい、ステージをアクティブに動き回り、汗だくになりながら「SHIKIBU」を熱唱したレキシ。エネルギッシュなパフォーマンスに会場のあちこちから声援が寄せられるも、男性ファンからの声がことさら多いことに、彼は不満気な表情を浮かべ「男は声かけないで」と客席を牽制し、さらには「次に声かけたら引退するから」と、まさかの引退宣言までも飛び出す。それにもめげず男性ファンが声援を送ると、レキシは引退コンサートの山口百恵ばりにマイクをステージに置きパフォーマンスを放棄。そして「次にマイクを握るのは誰だ?」と元気出せ!遣唐使(Piano / 渡和久)をステージセンターに呼びつけると、半ば強制的にマイクを拾わせ、先ほどまで彼が座っていたキーボードの位置に移動。レキシが思いつくままにThe Beatlesの「Hey Jude」や「Let It Be」のフレーズを演奏すると、元気出せ!遣唐使は、デタラメな英語詞を歌唱して必死に窮地をしのいでみせた。

「レキシ、稲穂振ろっ!」

穏やかなピアノの調べに乗せて「アケチノキモチ」をソウルフルに歌い上げて、先ほどまでのコミカルな空気を一変させたレキシは、ステージ中央の階段を上って一旦退場。すると再びスクリーンに映像が流し出される。舞台はBARアタック。すっかり意気投合したレキシといなほは仲睦まじく会話を交わしている。そんな2人の様子をジェラードンのアタック西本扮するマスターのタケが静かに見守る。楽しい時間はあっという間に過ぎていく。バーを出たレキシといなほは、名残り惜しい気持ちのまま、なかなか帰路につくことができない。「せーの」で同時に後ろを向いて帰ろうという、いなほの提案を受け、後ろ髪を引かれるような気持ちで歩き始めたレキシ。そんな彼の背中に向けて、いなほが意を決して言葉を投げかける。「レキシ、稲穂振ろっ!」──突然始まった2人のラブ・ストーリー。そして次の曲は「狩りから稲作へ」。レキシといなほの恋路を祝福するように、観客たちはオフィシャルグッズの光る稲穂を一斉に揺らして盛り上がり、会場はまばゆいばかりの光で埋め尽くされた。「貴女と此処にいたいから 私の想いはもう 揺れない」。恋に落ちたレキシの気持ちを代弁するかのような歌詞も相まって、この日の「狩りから稲作へ」は、いつもとは違う輝きを放っていた。

サビの変化は突然に

レキシ(撮影:森口眞梨子)

レキシ(撮影:森口眞梨子)[拡大]

興奮冷めやらぬ会場にラテンタッチのピアノが鳴り響き次曲「エレキテルミー」へ。ここでもう1人のサポートメンバーであるサックス奏者、島流しの圭(鈴木圭)が合流。TAKE島流し(Sax, Fl / 武嶋聡)、元妹子(Tp / 村上基 from GENTLE FOREST JAZZ BAND在日ファンク)の3管が情熱的な彩りを楽曲に加える。「年貢 for you」では観客が隣の席に米俵を回していく“俵リレー”が行われ、会場に不思議な一体感が生まれる。バンドはテンポよく次曲「刀狩りは突然に」の演奏へ。爽快なサウンドに乗せて、気持ちよさそうに歌唱するレキシではあったが、ここでトラブルが発生。「刀狩りは突然に」のサビを歌おうとすると、なぜか別の曲のサビを歌ってしまうという謎の事態に。仕切り直して、再び「刀狩りは突然に」をスタートさせるも、サビに差しかかると、どうしても別の曲を歌ってしまう。レキシは都合7回にわたりこのくだりを繰り返し、途中には客席からアンコールが発生する一幕も。コッテリとしたパフォーマンスを通じてレキシと観客たちは深い愛を互いに確かめ合った。

ゴスペルタッチなピアノの音色で最新シングル「YO.JIN.BO」の演奏がスタート。イントロでレキシはとあるラブバラードを気持ちよさそうに口ずさむ。続いてふいに彼がバンドメンバーに向けて「愛してるって最近言わなくなった?」と尋ねると全員が一斉に目を逸らした。ロマンチックな「YO.JIN.BO」に続けて届けられたのは「きらきら武士」。ミラーボールの煌々とした光が場内を照らす中、レキシと観客が「武士」のコール&レスポンスを繰り広げ、本編は賑々しくフィナーレを迎えた。

「僕は振りましぇん!」

アンコールを求める拍手が鳴り響く中、三たびスクリーンに映像が流し出される。舞台は再びKMTR水族館。仕事にいそしむレキシの前に、エレキコミックやついいちろう扮する、かつての恋人やつこが現れる。やつこは復縁を求め、レキシに無理やり抱きつく。物陰からその様子を見ていた、いなほはショックのあまり、その場から走り去ってしまう。いなほに追いついたレキシは、あるがままの気持ちをストレートに伝える。そして「振られるのが恐いの」という彼女に向けて「僕は振りましぇん! いなほのことが好きだから!」と涙まじりにシャウト。「いなほ、俺はお前が好きだ。だからYESと言ってくれ!」──そんな魂の叫びを受けてステージ後方の高台に現れたのは、全身黒ずくめのシックな衣装を着用したレキシと元気出せ!遣唐使。2人はスローバラードを熱量高く歌唱。エモーショナルな歌声を会場いっぱいに響かせた。

続けて最後の映像がスクリーンに流れる。登場するのは、レキシといなほの恋の行方を見守っていたバーテンダーのタケと、レキシとの復縁が叶わなかったやつこ。「彼氏いない歴、また更新しちゃった」と落ち込むやつこに、「いっそのこと俺と付き合っちゃう?」とモーションをかけるタケ。「これぞまさに101回目のイナホバケーションね」というやつこの言葉に、「これぞまさにラブレボリューションだろ?」とタケが小粋に答えた刹那──あのアイドルグループを意識したであろう黒い衣装を身に着けたレキシとバンドメンバーがステージに登場。2カ月のツアーを通じて磨き上げたダンスパフォーマンスに盛大な拍手喝采が沸き起こった。「カワイイという罵声が飛び交っております」とレキシは苦笑い。「まだやってないイルカの曲をやります!」という言葉をきっかけに「KMTR645」がスタートすると、イルカのヨシオもステージに登場し、キュートなアクションでライブを盛り上げた。ライブの最後を飾ったのは1stアルバムに収録されていたミドルバラード「LOVEレキシ」。じっくりと楽曲を届けたレキシとメンバーはステージ前方で横並びになって観客に挨拶。一同は退場BGMに合わせてステップを踏みながらステージ袖に姿を消していく。最後はレキシが「おしまい」と書かれた看板を片手にステージ袖から顔を覗かせ、3時間超におよぶライブの幕を下ろした。

セットリスト

「レキシツアー2025 ~イルカラブストーリー 101回目のイナホバケーション~」2025年7月22日 東京国際フォーラム ホールA

01. たぶんMaybe明治
02. ギガアイシテル
03. 真田記念日
04. 姫君Shake!
05. 古今 to 新古今
06. 古墳へGO!
07. GOEMON
08. SHIKIBU
09. アケチノキモチ
10. 狩りから稲作へ
11. エレキテルミー
12. 年貢 for you
13. 刀狩りは突然に
14. YO.JIN.BO
15. きらきら武士
<アンコール>
16. KMTR645
17. LOVEレキシ

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読者の反応

gyo33@🥔🥦🦫🎇走るひと @z_gyo_kai43

この曲数で3時間超え?
って思うだろ?
数えちゃいけないあんな曲やこんな曲w
あと1曲が10分あったりなw
#レキシツアー2025
#レキシ https://t.co/AsNumOBvse

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