迷いを断ち切り未来へ、ダンスロックバンドDISH//が4年目の武道館で示した決意

7

2758

この記事に関するナタリー公式アカウントの投稿が、SNS上でシェア / いいねされた数の合計です。

  • 662 2081
  • 15 シェア

DISH//が昨日1月1日に東京・日本武道館でワンマンライブ「DISH// 日本武道館単独公演'18『& DISH//』」を開催した。

DISH//

DISH//

大きなサイズで見る(全82件)

2015年の初開催から4年連続4回目を数え、すっかり毎年恒例となった彼らの元日武道館公演。今回のライブは5組のプロデューサーがDISH//をプロデュースすることをテーマとしたもので、その5組にはヒャダイン、理事長(スターダストプロモーション)、渡辺淳之介&松隈ケンタ、ファッション雑誌「装苑」、DISH//ファン・スラッシャーの代表によるチーム"スラデューサー"が名を連ねた。この5組はメインステージおよび「//」の形に伸びる花道を舞台に、それぞれにまったく異なる趣向のステージを演出。DISH//の5人はさまざまな表現でスラッシャーを楽しませ、2018年の幕開けを華々しく飾った。

ギターを振り回す北村匠海(右)。

ギターを振り回す北村匠海(右)。[拡大]

ライブ冒頭、オープニングのプロデュースを担当したのは渡辺淳之介&松隈ケンタ。「We Will Rock You」をテーマとしたこのコーナーでは、松隈がDISH//に楽曲提供したロックチューン「Newフェイス」「JUMPer」などが届けられた。北村匠海(Vo, G)は英語のMCでスラッシャーを煽り、「Newフェイス」では激しいヘッドバンギングで会場の熱気を急上昇させる。彼が咆哮にも似た雄々しいボーカルを聞かせた「HIGH-VOLTAGE DANCER」ではオーディエンスもシンガロングで5人の熱演に応え、これを受けた匠海は手にしたギターをアンプめがけて思い切り振り下ろし、爆破の特効で会場を驚かせた。

「THE PHANTOM」の様子。

「THE PHANTOM」の様子。[拡大]

続く「装苑」のプロデュースステージでは、パワフルなバンド演奏でオープニングを駆け抜けた5人がロッカーからモデルに早変わりし、ダークでファンタジックな世界観を演出する。1人のピエロがショーの幕開けを告げると、ピエロふうのモノトーンの衣装に身を包んだメンバーが「//」型の花道をランウェイに見立てて闊歩。さらに彼らはピンク1色で統一されたハーネス付きのドレスアップスタイルを披露すると、その衣装で「THE PHANTOM」を優雅に歌い踊ってみせた。

「北村家の人々」の様子。(Photo by Kaoru Sato)

「北村家の人々」の様子。(Photo by Kaoru Sato)[拡大]

スラッシャーがファッショナブルな5人の姿に熱い眼差しを注いだのちには、ステージ上のビジョンに「北村家の人々」という題字とコミカルなアニメーションが映し出された。これは理事長プロデュースによるコントコーナーで、「北村家」の居間をイメージした舞台セットにはDISH//の後輩であるM!LKSUPER★DRAGON、さくらしめじ、MAGiC BOYZのメンバーが続々と姿を見せて観客の歓声を誘う。北村家に居候する、マヒロ(MAGiC BOYZ)演じる浪人生の幽霊がナビゲートする物語は、北村家のお正月のひとコマを描いたもの。家族やご近所さんが一堂に会したある日、ジャン(SUPER★DRAGON)演じるトルコのIT社長が北村家を訪れ、小林龍二(B, Rap)演じる北村家の龍子との結婚の許しを龍子の父(泉大智)と母(橘柊生)に請う。最初は結婚に反対していた両親だったが、ジャンの優しい一面を垣間見たことで彼を認め、物語はハッピーエンドに。EBiDANの面々が熱演で爆笑を巻き起こした物語は匠海の「今日は正月らしく、みんなで歌おう!」という呼びかけで締めくくられ、ステージ上のメンバーたちは「GRAND HAPPY」を披露。新年最初の“紙皿投げ”は今年もこの曲で行われ、DISH//は後輩と一緒に「今年もよろしく、新年おめでとうございます!」のかけ声で紙皿を思い切り宙へと放った。

矢部昌暉と橘柊生。

矢部昌暉と橘柊生。[拡大]

スラデューサーが用意したのは、「ピーターパンシンドローム」から始まる「懐かしい曲メドレー」。2階客席に登場した5人は、「LOL」「マジで無理 ~SUPERムチャブラレターズ~」といった初期ナンバーをスラッシャーのすぐ近くで届けていく。続いてスタートした「シャッフルソロ曲メドレー」では泉大智(Dr)が橘柊生(DJ, Rap, Key, Flying dish)の「Hip Pop Corn」を歌うなど、ほかのメンバーのソロ曲を担当して驚きを誘う。普段とは違う衣装と歌に5人も楽しげな様子で、柊生は匠海と矢部昌暉(Cho, G)をバックダンサーに据え昌暉の「Pa Pa Pa パンティー!」を披露。龍二は「D・A・I・C・H・I」でマーチングドラムのパフォーマンスもしっかり決めて、笑顔を浮かべる。また、このパートでは昨年の武道館公演でDISH//に加入した大智の加入1周年を祝うスラッシャーからのサプライズも。「加入1周年おめでとう!」と祝福された大智は驚きの顔を浮かべながらも「すげえうれしい!」とひと言。さらに「このたびは たくさんの愛をありがとう 大好き!」という大智流の“五七五”でファンに思いを伝えた。

オフマイクで「猫」を歌う北村匠海。

オフマイクで「猫」を歌う北村匠海。[拡大]

匠海がアコースティックギターを手に「夢旅」「猫」をしっとり歌い上げるとライブは終盤へ。メンバーが一旦舞台袖に姿を消すとモニターには5人がカウントダウンパーティを楽しむ映像が映し出され、そののちに自己紹介ソング「We Are DISH//」がスタートした。この「We Are DISH//」は大智を加えた新しい5人バージョンのもので、歌に合わせてメンバーがステージに姿を見せるとスラッシャーからは大歓声が上がる。デビュー当時からのDISH//のトレードマークとも言えるオールインワンに着替えた5人は「僕たちがやりました」でライブを再開。パワフルな演奏でラストスパートをかけていく。「皿に走れ!!!!」では、匠海が最後に「5人で走ります!!」と思い切り叫び声を上げた。本編ラストは「東京VIBRATION」で、DJブースからステージ最前線へと飛び出した柊生は「ここで燃え尽きようぜ!」とスラッシャーに呼びかける。5人で初めてレコーディングした思い出の曲でこの日一番の一体感を生み出したDISH//は、曲を終えるとさっそうとステージをあとにした。

スラッシャーがアンコールを求めると、5つの小さな皿が置かれたテーブルの前にメンバーがゆっくりと姿を見せた。このアンコールは「スクラップ&ビルド」をテーマにヒャダインがプロデュースを担当したもので、匠海は「あまり話してこなかった今の言葉や気持ちを聞いてください」と観客に呼びかける。ここでメンバーが語りだしたのは、DISH//の現状や「ダンスロックバンド」という彼らの肩書きについてそれぞれが抱く赤裸々な思いだった。先陣を切った柊生は「最近DISH//に迷いを感じていて」と切り出すと「今回死ぬ気で考えて出てきたのは、“チームDISH//”の意思疎通が取れていなかったなって。それがみんなに伝わって、モヤモヤとしたものが出ちゃってたんじゃないかなと思います。まずは謝らないといけません」と語る。そして「ハッキリさせるために宣言します。俺らは変わらず『ダンスロックバンド』です。ダンスロックバンドって言う肩書きでずっとやっていきたいと思っているから、みんな付いて来てください。永遠の青春をお届けします」と訴えた。続く龍二も、2017年を過ごす中でDISH//のスタンスに関してメンバーに迷いが生じていたことを明かす。悩む中で「僕らの原点である」ダンスロックバンドという形態を続けていく選択をしたといい、彼は「正直バンドとしてのスキルはまだまだ足りていないです。スタートラインにも立てていないのかもしれない。だからもっともっと努力して、絶対にベーシストとして天下取ります。俺らは……この5人で絶対に天下取ります」と約束した。

泉大智

泉大智[拡大]

昌暉は「今の状況は正直中途半端です」と切り出す。彼は、個人の活動が目立った昨年の活動を振り返り「DISH//としての活動をする時間は少なかった。でもそれは言い訳です。もっとライブがしたかったです。だから、もっとライブをします。いろいろやっているから中途半端だ、とは言わせない。すべて完璧にしてみせます。アイドルでもバンドでもダンスボーカルグループでもない、ダンスロックバンドの先駆者として活動していきます」と力強く前を向いた。昨年からDISH//のドラマーになった大智は「以前入っていた大好きなバンド(カスタマイZ)が解散してしまい、本当にどうしたらいいかわからない状況のときに、匠海が声をかけてくれました」と加入の経緯を伝えたうえで「DISH//に入ってからも、たくさんの壁にぶつかりました。5人になった意味があるのかな?と思ったこともあるし、あとから入った人間だから自信もありません」と悩みを打ち明ける。そして「2018年、僕はDISH//のドラマーとしてぶつかっていきたい」と続けると「バンドマンからナメられるのは、僕らがこの事務所に所属している限り、しょうがない。でもそんな状況の中で戦っていくのがロックだと思うし、パンクだと思う。僕はDISH//のドラマーです」と思いを伝えた。

北村匠海

北村匠海[拡大]

4人の思いを静かに聞いていた匠海は、最後にスラッシャーの前へ。彼は俳優としても多忙を極めた2017年について「両立はすごく難しくて、大変です」と素直に語ったうえで「芝居もDISH//も楽しくて、この2つがないと北村匠海ではないと思っています」と自身のスタンスを伝えた。「芝居の現場で、楽しさの先に待っているのは必ずしも成功ではないということを学びました。それは、まさに今のDISH//だなと思います」と切り出すと、匠海は「僕らもどちらに進んだらいいのかわからない中、皆さんにもいろんな感情を抱かせてしまったと思います。だけど、僕らはダンスロックバンドです。5人になって、やっとこさダンスロックバンドになれたと僕は思っています。みんな諦めてないです。(目標の地である)横浜スタジアムのほうを向いています。僕ら5人とスラッシャーみんなで、走っていきましょう。そしていつかハマスタでキレイな景色を見たいと思っています。これが僕の決意表明です」と力強く訴えた。

DISH//

DISH//[拡大]

5人はテーブルに置かれた小さな5枚の皿を思い切って割り、悩みや迷いと“決別”した姿をスラッシャーに見せる。そして、「I Can Hear」をダンスロックのパフォーマンスでエネルギッシュに披露。DISH//の決意を、今度は演奏で示してみせた。

ダブルアンコールではテレビ東京系アニメ「銀魂」の新オープニングテーマである新曲「勝手にMY SOUL」が初披露された。そして匠海は「最後はDISH//らしく、“変顔でバイバイ”しよう!」と呼びかけ、ラストナンバーの「変顔でバイバイ!!」へ。昨年の武道館公演で4人体制のDISH//が最後に披露したこの曲を今度は5人で届け、4時間弱に及んだライブを締めくくった。

この記事の画像(全82件)

DISH//「DISH// 日本武道館単独公演'18『& DISH//』」
2018年1月1日 日本武道館 セットリスト

01. 愛の導火線
02. FLAME
03. Newフェイス
04. JUMPer
05. HIGH-VOLTAGE DANCER
06. 装苑ステージ
07. THE PHANTOM
08. GRAND HAPPY
09. 懐かしい曲メドレー
・ピーターパンシンドローム
・恋するSPY
・LOL
・マジで無理 ~SUPERムチャブラレターズ~
・クイズ!恋するキンコンカン!
10. シャッフルソロ曲メドレー
・Hip Pop Corn(大智)
・かっとび!バリバリーゼント(匠海)
・こんな僕に舞い降りた魔法(昌暉)
・Pa Pa Pa パンティー!(柊生)
・D・A・I・C・H・I(龍二)
11. KLAP
12. 夢旅
13. 猫
14. We Are DISH//
15. 僕たちがやりました
16. I'm FISH//
17. 皿に走れ!!!!
18. 東京VIBRATION
<アンコール>
19. I Can Hear
<ダブルアンコール>
20. 勝手にMY SOUL
21. 変顔でバイバイ!!

全文を表示

読者の反応

  • 7

rara// @MONOCHROME_rara

ちょっと私このDISH//の2018年の武道館ライブの記事を思い出してて、

(スクラップ&ビルド)でのメンバーの思い、
特に泉大智の言葉が今読むとなんか刺さる!!

迷いながらもDISH//を続けてきてくれて、
本当にありがとうなの
#DISHꤷꤷ
#泉大智
https://t.co/fEorswsTJ7 https://t.co/0xzQcqnjhR

コメントを読む(7件)

関連商品

リンク

あなたにおすすめの記事

このページは株式会社ナターシャの音楽ナタリー編集部が作成・配信しています。 DISH// / M!LK / SUPER★DRAGON / Sakurashimeji / MAGiC BOYZ の最新情報はリンク先をご覧ください。

音楽ナタリーでは国内アーティストを中心とした最新音楽ニュースを毎日配信!メジャーからインディーズまでリリース情報、ライブレポート、番組情報、コラムなど幅広い情報をお届けします。