amazarashiの思い詰まった「メッセージボトル」ツアー、ついに終幕

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amazarashiが昨日10月19日に東京・中野サンプラザホールで全国ツアー「amazarashi Live Tour 2017『メッセージボトル』」の追加公演を行った。

amazarashiとは?

青森県むつ市在住の秋田ひろむを中心としたバンド。ステージとフロアの間に紗幕を張ったままタイポグラフィや映像を投影するというスタイルのライブを展開している。2009年12月に青森県内500枚限定の詩集付きミニアルバム「0.」を、翌2010年2月にその全国盤となる「0.6」をリリースした。その後2010年6月に「爆弾の作り方」をSony Music Associated Recordsから発表。2017年3月に初のベストアルバム「メッセージボトル」をリリースし、12月に4thアルバム「地方都市のメメント・モリ」を発表した。2018年11月に初の日本武道館公演「朗読演奏実験空間“新言語秩序”」を開催し、観客の持つスマートフォンと連動したライブを展開。2020年3月にアルバム「ボイコット」を発売し、4月からリリースツアーを開催予定だったが新型コロナウイルス感染拡大の影響で全公演が延期となった。6月に2018年11月に行った東京・日本武道館公演「朗読演奏実験空間“新言語秩序”」のライブ映像をYouTubeで無料公開。この配信のエンディングで初披露した「令和二年」を含む、音源「令和二年、雨天決行」を12月にリリースした。同月には自身初の配信ライブ「amazarashi Online Live 末法独唱 雨天決行」を開催。北海道札幌市にある建築家の安藤忠雄の設計による「頭大仏」にプロジェクションマッピングを施し、一夜限りの“雨曝大仏”を舞台にしたライブの模様を国内外のファンに向けて配信した。2022年4月に約2年ぶりとなるオリジナルアルバム「七号線ロストボーイズ」をリリース。5月から6月にかけてホールツアー「amazarashi Live Tour 2022 『ロストボーイズ』」を開催する。

amazarashi(撮影:木村篤史)

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秋田ひろむ(撮影:木村篤史)

秋田ひろむ(撮影:木村篤史)[拡大]

3月にリリースされた自身初のベストアルバム「メッセージボトル」を携えて行われた本ツアー。中野サンプラザホール公演はもともと6月に開催予定だったが、サポートメンバーの体調不良により延期され、彼らの地元である青森で実施された8月のツアーファイナルのあとに追加公演として行われる形となった。

場内が暗転すると、ほどなくして「ポエジー」の演奏がスタート。ステージと客席を隔てる紗幕には秋田ひろむの紡ぐ歌詞の内容にリンクした映像が次々と映し出され、観客の視界を支配した。続く「ヒーロー」では、紗幕越しの薄暗いステージで演奏をする5人の姿がフィーチャーされ、「ヨクト」では秋田ひろむがリズムに乗せて体を揺らし、振り絞るように力強い歌声を響かせていた。

amazarashi(撮影:木村篤史)

amazarashi(撮影:木村篤史)[拡大]

「隅田川」「ワンルーム叙事詩」「奇跡」とドラマチックな初期ナンバーのあと、バンドは息を呑むようなスリリングな雰囲気の「メーデーメーデー」を擦り切れたビデオテープのように乱れた映像と共に披露。さらに“雨の降る四畳半”というシチュエーションで歌う秋田の姿が印象的なミュージックビデオとリンクする形で「つじつま合わせに生まれた僕等」を届けた。

amazarashi(撮影:木村篤史)

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秋田は畳みかけるようなフロウを聴かせた「後期衝動」のあと、12月13日にリリース予定のニューアルバム(タイトル未定)から「ダイドーブレンド」CMソングとしてオンエア中の新曲「フィロソフィー」をパフォーマンス。紗幕には楽曲にあわせて小説のように縦書きの歌詞が投影されており、楽曲の持つメッセージ性が視覚的にも表現された。また最新シングルのタイトルナンバー「空に歌えば」では、疾走感のあるバンドサウンドに、秋田のエモーショナルの歌声と豊川真奈美(Key)の無機質なコーラスが混ざるアンサンブルが会場いっぱいに鳴り響いた。

ライブ後半、劇的なポエトリーリーディングが観客の胸を打った「しらふ」をはさみ、満たされない過去の記憶に対する心情がにじむ「美しき思い出」で感動的なムードを生み出したのち、秋田がMCで観客に自身の思いを語り始めた。彼は本ツアーの東京公演を無事に5人で迎えられたことについて「今日歌っていて、『このメンバーでやっていて、終わるのがもったいないな』と思いながら歌っていました」と素直な心情を吐露。また「メッセージボトル」というタイトルがアマチュア時代に行っていたイベント名だったことに触れてから、「あれから7年だか8年が経って、会場が大きくなってたくさんの人が観てくれるようになって。今でも当たり前のようにつらいことはあるし、死にたい夜だっていまだにある。それでも皆さんの顔がこうして観られて、このメンバーでやれてよかったんじゃないかなと思います。ありがとうございます」と静かに述べると、客席からは「ありがとう!」という感謝の言葉と共に惜しみない拍手が送られた。

amazarashi(撮影:木村篤史)

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拍手が鳴り止んだあと、秋田は「次は、このツアーのテーマ曲みたいになってしまいました」とつぶやいてから、「たられば」を歌唱。繰り返し「もしも僕が~だったなら」と思いを巡らせながら、今の自分を肯定するようなメッセージが込められた同曲で声を張り上げる秋田の姿と、その歌詞の内容とが重なり、場内には感動のあまり涙を浮かべる観客の姿も見られた。そしてバンドは「スターライト」まで全19曲を届け、「メッセージボトル」を携えたツアーの幕を無事に下ろした。

なお12月13日に発売予定のニューアルバムには、最新シングル曲「空に歌えば」や、先行配信中の「フィロソフィー」を含む全12曲を収録予定。初回限定盤Aには今回の中野サンプラザホール公演の模様を収めたDVDが付属する。

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amazarashi Live Tour 2017「メッセージボトル」追加公演
10月19日 中野サンプラザホール セットリスト

01. ポエジー
02. ヒーロー
03. ヨクト
04. 隅田川
05. ワンルーム叙事詩
06. 奇跡
07. メーデーメーデー
08. ピアノ泥棒
09. つじつま合わせに生まれた僕等
10. 少年少女
11. 後期衝動
12. フィロソフィー
13. 空に歌えば
14. ひろ
15. しらふ
16. 美しき思い出
17. たられば
18. 命にふさわしい
19. スターライト

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