ラブリーサマーちゃん、憧れのペリカン＆Nyantoraと作った最高のライブ

ラブリーサマーちゃんの自主企画イベント「ラブリーサマーソニック 2017」が8月25日に東京・WWW Xで行われた。

「ラブリーサマーソニック 2017」は昨年8月に実施されたワンマンライブ「ラブリーサマーソニック」のタイトルを受け継ぎ、初めてゲストアクトを迎えて行われた自主企画。今回はラブサマちゃんのほか、彼女がリスペクトしてやまないSUPERCARのフロントマンであったKoji Nakamuraによるプロジェクト・Nyantoraと、活動初期から親交のあるPELICAN FANCLUBが登場した。

トップバッターのPELICAN FANCLUBはキレのあるギターサウンドとエンドウアンリ（G, Vo）の伸びやかな歌声が響く「深呼吸」でパフォーマンスを開始。ライブが進むごとにバンドの演奏は勢いを増し、オーディエンスも手拍子を起こして場を温めていく。エンドウは改めて挨拶すると「音楽に溺れるような1日を」とオーディエンスに呼びかけた。終盤、小気味いいリズムの「Dali」で観客の心を掴んだバンドは、情感たっぷりに「記憶について」を演奏。ラストは「朝の次へ」でノスタルジックかつ温かなアンサンブルを届けた。

続くNyantoraは、転換BGMが止まって静まり返ったステージに姿を見せる。「Little red riding hood」でライブを始めると、ステージは複数のライトが放つ光とスモークで彩られ、幻想的な雰囲気に。彼は機材を巧みに操りながらサウンドを変化させ、オーディエンスを惹き付けていった。この日はラストの「Bonten」まで計9曲がノンストップで届けられ、最後に音を止めたNyantoraは礼をしてステージを降りた。

ラブサマちゃんはこの日、袖にボリュームのある真っ白な衣装で登場。バンドメンバーと共に1曲目「PART-TIME ROBOT」を息ぴったりに演奏して観客を魅了する。「集まってくれてありがとうございます。最後まで楽しんで行きましょー！ イエイ！」と挨拶した彼女は「ファミリア」「FLY FLY FLY」「海を見に行こう」と新作CD「人間の土地」の収録曲を次々に届けていく。スピード感のある演奏に息を上げたラブサマちゃんは、2リットルのペットボトルから水をラッパ飲み。「私の息が静まったらやりますので、自由にしててください」とファンに呼びかけて、両手を大きく広げながら深呼吸した。

呼吸を整えたラブサマちゃんは、キーボードとグロッケンの音色が彩る「ルミネセンス」をつぶやくように歌唱。バンドメンバーがはけると「3年前、初めてのワンマンライブの前日に作って演奏した曲で。演奏してたらこの3年間が走馬灯のように浮かんできた……」と振り返りながら涙を流す。すると前列のファンにティッシュを手渡された彼女は、「あー最高のファン。ファンやさしい。泣くわー、泣くわー……あーがんばって俺」と自身を鼓舞。その後ラブサマちゃんはオーディエンスが温かな眼差しで見つめる中、キーボードを弾きながら「なかなおり」をしっとりと歌い上げて大きな拍手を浴びた。再びバンドメンバーと合流した彼女は「あなたは煙草 私はシャボン」、そして新作CD収録のRadiohead「High and Dry」のカバーを続けて披露。本編最後の「天国はまだ遠い」では、後ろから強い光を浴びながらシューゲイザーサウンドで場内を包み込んだ。

アンコールで彼女は改めてファンに感謝の気持ちを表し「ゲストの皆さんが最高の演奏をしてくれたおかげで、最高のライブになったんじゃないかなと思います」とうれしそうにコメント。さらにPELICAN FANCLUBとNyantoraに対して「憧れの人です。今日もめちゃくちゃカッコよくいてくれてありがとうございました」と思いを伝えた。バンドメンバーを紹介したのち、ラブサマちゃんは「音楽をやってるとつらいことが多くて、今日でやめようかと思ってた」と思いを吐露。さらに「でも今日がかなり楽しくて、もったいないなあって気持ちになってきました」と言葉を重ねると、客席からは割れんばかりの拍手が贈られた。アンコール1曲目はラブサマちゃんが「好きなバンドのカバーをやります」と紹介したSUPERCAR「ALRIGHT」のカバー。そのままバンドはなだれ込むように「青い瞬きの途中で」「僕らなら」を熱い演奏で届け、ライブを終幕させた。