「NUMBER 9 TOUR」は、彼らが初めて実施した東名阪ツアー。公演は2部制で、1部は「~room~」、2部は「~sense~」をコンセプトにしたステージが展開された。それぞれの部で9人は異なるセットリストと演出を用意し、スパドラの表現の多様性を示すようなパフォーマンスを披露。集まったオーディエンスを楽しませた。
舞台上に家のリビングが再現された1部の「~room~」の冒頭、このリビングが9人の暮らす家の一室であることを示す映像がスクリーンに映し出される。次々と姿を現し、部屋に集まった9人は他愛ない会話を交わしたのちにハンガーラックにかけられた白いジャケットを手にすると、このジャケットを効果的に使ったダンスパフォーマンスでライブの幕を切って落とした。華麗な手さばきでジャケットを羽織った9人は、毅の「服もキマったし、行くか」という言葉を合図に「Pendulum Beat!」を繰り出す。続く「BIG DIPPER」では彼らと一緒に観客も力強く拳を突き上げ、会場は早くも熱気に包まれた。
最初のMCではメンバーが自分の名前をコールしながら奇抜なポーズを決める、ジャン考案の「ジャジャジャジャンコール」で盛り上がったメンバーとオーディエンス。続くパートでは「HACK MY CHOICE」や「BAD BOY」といったライブ定番のキラーチューンが連投され、ジャンは「大声出してからのほうがたこ焼きもうまいよな?」と一層の歓声を求めた。また、中盤にはグループ内ユニットのサンダードラゴン、ファイヤードラゴンそれぞれのコーナーも。先攻で登場したサンダーは、洸希と和哉がキャップを使い「帽子被らすな! すな! すんのかい思ったらこっちせんのかーい!」と吉本新喜劇ばりのボケツッコミでファンを沸かせ、のちにその帽子をトリッキーに操ってみせるライトフィートパフォーマンスを披露する。5人は帽子のつばをひじでバウンドさせたり、空中で1回転させて頭に乗せたりと次々に技を決め、大きな歓声を誘った。
一方、年長チームのファイヤーは「あいつらなんだか大人になったよなあ」と余裕を見せつつ、シューズを使ったライトフィートでサンダーに対抗。フロア技を巧みに取り入れながら、宙を舞うシューズを手や足を使って自在に扱い観客の目を奪う。また「ARIGATO」ではしっとりと歌声を聴かせ、幅広い表現力を提示した。
再び9人がステージに勢ぞろいすると、緻密なフォーメーションでダークな曲の世界観を表現する「hide-and-seek」で後半戦へ。「ワチャ-ガチャ!」は大阪では初披露であることから曲前に振付講座が開かれ、メンバーからの熱いリクエストを受けていつもクールな洸希が指揮を執る。彼は若干の照れを見せながらも「運転(のポーズ)するぞ! 免許はいらねえ!」と会場を楽しませながら振付を踊ってみせ、9人とオーディエンスは楽しげな“ワチャ-ガチャダンス”で一体となった。
スパドラの“タオル曲”「+IKUZE+」のタオル回しで熱狂を最高潮まで引き上げると、本編最後の曲を前に9人は挨拶に立つ。彪馬は「僕らはいろんな先輩の背中を見て、ここまで来ました」と口を開くと「これまでは、超特急さんやDISH//さんが一から積み上げてきてくださったファンの方に僕らのことを知ってもらえていたと思う。これからは、僕らの魅力で皆さんにファンになってもらいたい。僕らの力で皆さんを虜にさせて、家族のようになっていきたいです」と自身の思いをファンに伝えた。このあとに披露されたのは、兄弟の絆を歌う「BROTHERHOOD」。冒頭、彪馬は甘い歌声を響かせ、ジャンと洸希はめまぐるしく展開するラップのかけあいを披露する。9人が肩を組み歌うパートでは、最年長の玲於がメンバーの顔を見渡しながら優しい笑顔を浮かべていた。
2部の「~sense~」では、1部のアットホームでフレンドリーな空気感とはガラリと印象の異なるステージが展開。リビングのセットが取り払われた何もないステージ上に姿を見せた9人は、スポーティなストリートファッションに白いマスクを身に付けており、マスク姿のままで「hide-and-seek」をパフォーマンスする。毅は唸るような力強いボーカルでこの曲を歌い上げ、1部で見せていた柔和な姿とは違う、鋭い一面を見せつけた。
9人は冒頭から息の合ったパワフルなダンスでオーディエンスを圧倒。3曲目の「ZEN-SHIN-ZEN-REI」では彪馬とジャンのアクロバティックなペアダンスに歓声が湧き上がる。艶めかしい腰使いに悲鳴が上がった「The Survivor」、エネルギッシュな群舞でフロアを圧倒した「HACK MY CHOICE」と、彼らは次々に曲を投下して会場の熱を引き上げていった。
2部の見せ場となったのは、「特殊能力」と題されたメンバーのソロコーナー。9人は3人ずつに分かれ、東名阪の公演でそれぞれ異なるパフォーマンスを披露し、観客に新たな顔を提示した。東京公演で披露された和哉の殺陣、洸希のループステーションプレイとヒューマンビートボックス、壮吾の“山手線ラップ”、愛知公演で披露された楽のライトフィート、ジャンのアニメーションダンス、彪馬のレーザーグローブを使用したダンスに続き、この日の公演では玲於、颯、毅がこのコーナーに登場。サッカーを特技とする颯はリフティングを動きの中に取り入れたダンスでステージ上を躍動し、バック転でフィニッシュ。ダイナミックなダンスを得意とする玲於はラジカセを手にステージに現れると、ブレイクダンスで観客を盛り上げた。最後に登場した毅はアコースティックギターを構えると、彼がソロ活動を行っていたときに披露していた楽曲「砂時計」を弾き語りしてみせる。優しい歌声を会場に響かせた毅は、最後に「さくらしめじでした!」と照れ笑いして自身のコーナーを終えた。
サンダーによるパフォーマンスパートでは、5人がバイクに模した隊形を作る「リマカブロ!」やさわやかなアップチューン「INAZUMA」が披露され、洸希の高速ビートボックスや和哉のラップが冴えわたる。続くファイヤーのパフォーマンスパートで届けられた「PAYAPAYA」では、コミカルな振りを踊るファイヤーの4人が「サンダーも出てこいや!」と5人を呼び込み。この声に応えて舞台袖から飛び出してきた5人はファイヤーの面々と一緒にサビの振りを踊り、楽は無邪気な笑顔を浮かべていた。
「スパドラ!」「大阪!」「通天閣!」といったオリジナリティあふれるコール&レスポンスからなだれ込んだ「Pendulum Beat!」では彪馬と洸希のまっすぐな歌声が響き渡り、壮吾も笑顔で体を弾ませる。ツアー完走を目前に、和哉は「初めて名古屋と大阪でワンマンができたことが本当にうれしくて、終わる実感がありません。でも『あっという間だった』と感じるのは、ライブが楽しかったからだと思う。そんな時間を共有できたことが幸せです」と思いを伝え、9人はラストナンバーの「BROTHERHOOD」へ。力を出し切るような全力のパフォーマンスを見せ、毅は「この曲で僕たちの絆を感じてもらうこと、できたと思います。今日は本当にありがとうございました!」と感謝を伝えた。
アンコールではPrizmaXの清水大樹がプロデュースしたミドルチューンの「Believe」が披露され、9人は優しい笑顔でフロアを見つめながら曲を届けた。そしてこのツアー最後の楽曲を前に、毅は「1人残らず、きっと絶対また会えるという思いを込めて」とファンに伝え、「KITTO→ZETTAI」のタイトルコールをする。大サビの前には玲於が「みんなの力があったから、ここに今いられます」と感謝を伝え、颯が「改めてスパドラのことが大好きだと思ったし、皆さんと楽しい時間を過ごせて幸せでした!」と力いっぱいに思いを叫んだ。
メンバーは終演後、ツアーを終えたばかりの心境を語った。彪馬は「皆さんの期待に応えられるように新たな挑戦をしたりダンスをもっと練習したりと、いいものを見せられるように努力したので、無事に終えられてうれしいです」と安堵の表情。玲於や楽は「ツアーを通して成長することができたと思う」と手ごたえを明かす。壮吾は「『やっぱりライブって楽しいな』と思ったし、それと同時に教訓や課題も残ったので、これからにつなげていければ」と気を引き締めた。また、東京公演で脚の不調からステージを完遂することができなかった颯は「悔しかったし、何よりメンバーやファンの皆さんに迷惑をかけて申し訳なかった」とそのときの思いを振り返ったうえで「その後は対策を練りました。自分を見直すいい機会になったというか……努力と無理をすることは別だなって。努力しながら体調管理をするのがプロなので、そこは意識的に行動するようになりました」とコメント。大阪のステージでは「完全燃焼できた」といい「今までで一番満足のいくパフォーマンスができたと思います!」と充実の笑みを浮かべていた。
SUPER★DRAGON「NUMBER 9 TOUR」
2017年4月29日 umeda TRAD セットリスト
第1部
01. ジャケットダンス
02. Pendulum Beat!
03. BIG DIPPER
04. Ooh! Ooh!
05. The Survivor
06. HACK MY CHOICE
07. BAD BOY
08. CAP
09. リマカブロ!
10. GETSUYOUBI
11. シューズ
12. PAYAPAYA
13. ARIGATO
14. hide-and-seek
15. ZEN-SHIN-ZEN-REI
16. ワチャ-ガチャ!
17. +IKUZE+
18. BROTHERHOOD
<アンコール>
19. Believe
20. KITTO→ZETTAI
第2部
01. hide-and-seek
02. Ooh! Ooh!
03. ZEN-SHIN-ZEN-REI
04. The Survivor
05. HACK MY CHOICE
06. BIG DIPPER
07. BAD BOY
08. 特殊能力 ハヤテ
09. 特殊能力 レオ
10. 特殊能力 ツヨシ
11. リマカブロ!
12. INAZUMA
13. MIKAZUKI
14. PAYAPAYA
15. ワチャ-ガチャ!
16. Pendulum Beat!
17. +IKUZE+
18. BROTHERHOOD
<アンコール>
19. Believe
20. KITTO→ZETTAI
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