ワールドワイドな京都音博、大盛況で幕

39

610

この記事に関するナタリー公式アカウントの投稿が、SNS上でシェア / いいねされた数の合計です。

  • 98 132
  • 349 シェア

くるり主催の音楽イベント「京都音楽博覧会2014 IN 梅小路公園」が昨日9月21日に京都・梅小路公園 芝生広場で開催された。

くるり(撮影:久保憲司)

くるり(撮影:久保憲司)

大きなサイズで見る(全12件)

左からサラーム海上、岸田繁。(撮影:久保憲司)

左からサラーム海上、岸田繁。(撮影:久保憲司)[拡大]

秋晴れのもと本編スタート前に登場したサラーム海上は、自身がナビゲーターを務めるNHK-FM「音楽遊覧飛行」の“音博バージョン”として、「音博遊覧飛行」を展開。くるりの岸田繁とトークを繰り広げながらアルメニアのジャズピアニストであるティグラン・ハマシアン「The Poet」、インドの音楽家・A.R.ラフマーン「Kaise Mujhe」などを紹介し、イベントの“多国籍モード”を高めていった。

トミ・レブレロのステージ。(撮影:久保憲司)

トミ・レブレロのステージ。(撮影:久保憲司)[拡大]

そして岸田の音博開幕宣言を受けて、アルゼンチンのバンドネオン奏者トミ・レブレロが登場。彼はバイオリニストのアレックス・ムサトフとのセッションから「Negro Jefe」でライブの口火を切ると、「Noche en la pampa」や「Siete Dias」では哀愁を帯びた歌声を届ける。またラップを取り入れた「Matsuo Basho」ではタイトル通り「マツオバショー」と連呼し、観客をどよめかせる場面も。続いて上着を脱いで陽気にウクレレを奏で、ラストナンバー「Cuando a Caballo」を叙情的に歌い上げた。

ヤスミン・ハムダン(撮影:久保憲司)

ヤスミン・ハムダン(撮影:久保憲司)[拡大]

サラーム海上の「音博遊覧飛行」を挟み、レバノン出身のヤスミン・ハムダンがステージに姿を見せる。彼女はジム・ジャームッシュ監督映画「Only Lovers Left Alive」の挿入歌に使用された「HAL」でライブをスタートさせると、リバーブのかかった歌声が印象的な「Deny」や郷愁感あふれる「Beirut」をパフォーマンスして独特のムードを作り出す。またMCでは「京都に来れてとてもうれしいです。くるりの皆さんどうもありがとうございます」と日本語で挨拶。そして「Aziza」を歌い終えると「また会いましょう、おおきに」と言ってステージを去っていった。

サム・リーのステージ。(撮影:久保憲司)

サム・リーのステージ。(撮影:久保憲司)[拡大]

3番手を務めたのは、イギリスの少数民族であるトラヴェラーズのコミュニティに入り、その伝承曲を150曲以上習得したという経歴を持つサム・リー。彼は「僕が歌うのは800年くらい前の古いイングランドの曲なんだ。僕は若いけどね(笑)。これから演奏するのは、おそらく世界で初めてのことだと思う」と言って、「The Ballad of George Collins」で琴を、「Jews Garden」では三味線をフィーチャー。さらに口琴やフィドル、シュルティ・ボックスなどを交えて多国籍サウンドを展開した。

tofubeats(撮影:久保憲司)

tofubeats(撮影:久保憲司)[拡大]

続いてtofubeatsが登場して「No.1」とそのリミックスをスピンすると、会場は一変してダンスフロアに。「Don't Stop The Music」「朝が来るまで終わる事の無いダンスを」というキラーチューンが投下され、くるり「ロックンロール・ハネムーン」のリミックスへと続くと会場のお祭り騒ぎもピークに達した。

椎名林檎のステージ。(撮影:久保憲司)

椎名林檎のステージ。(撮影:久保憲司)[拡大]

イベントも後半に差し掛かった頃、白と黒のシンプルな着物をまとった椎名林檎がステージに。1曲目「いろはにほへと」を歌い終えた彼女は、「夜行性なもので昼のイベントは珍しいんですけど、同じく夜行性の人物を東京より招きました」と紹介して石川さゆりを招き入れる。石川は「(林檎に)『一緒に歌わない?』って誘っていただいて、遊びにきちゃったんです」とお茶目に語り、1人で「カーネーション」を歌唱。直後のMCで林檎は「この曲はもともとさゆりさんをイメージして書いたので、今日は念願が叶いました」と満足した表情を見せた。

林檎と石川が「名うての泥棒猫」をデュエットしたあと、再び石川は1人で「最果てが見たい」を歌唱。「お邪魔しました」とキュートに挨拶して舞台袖へ退場した。その後、林檎は「歌舞伎町の女王」を妖しく艶やかに歌い上げて圧倒的な存在感を見せつけ、「NIPPON」や「ありあまる富」を披露して颯爽とステージをあとにした。

Penguin Cafe(撮影:久保憲司)

Penguin Cafe(撮影:久保憲司)[拡大]

9人という大所帯で来日したPenguin Cafeは、お互いの音を確かめるようにアイコンタクトを取りながら「Telephone and rubber band」を紡いでいく。アーサー・ジェフスは、「もともとペンギン・カフェは、僕の父が京都のお寺で何カ月も過ごしているときに描いたものなんだ。だからいろんな意味で、今日はホームに帰ってきたってことだね」と観客に挨拶。また会場の隣にある京都水族館でイルカショーが開催されていることについて触れ、「こっちはペンギンステージ、あっちはドルフィンステージ」とユーモアのあるコメントで観客を笑わせた。

彼らはギターやバイオリン、パーカッションが軽妙なアンサンブルを奏でる「Catania」、イントロのピアノの旋律が美しい「Solaris」でオーディエンスを惹き付けていく。また「Swing the cat」ではメンバーが徐々にテンポをアップさせると、自然と手拍子が巻き起こる一幕も。さらにショパン「夜想曲(ノクターン)第20番 嬰ハ短調(遺作)」にラテンのリズムをブレンドした「Black Hibiscus」、アイリッシュトラッドな雰囲気の「Salty Bean Fumble」などをプレイ。自在に担当楽器を変えてマルチプレーヤーの才能を存分に発揮しながら観客を魅了し続けた。

くるり(撮影:久保憲司)

くるり(撮影:久保憲司)[拡大]

イベントのトリを務めるくるりは、9月にリリースしたばかりのアルバム「THE PIER」同様、「2034」でオープニングを飾り、「日本海」「Brose&Butter」「Liberty&Gravity」と立て続けにアルバム収録曲を披露する。バンドメンバーの紹介と短いMCを挟んで、ライブ中盤は「三日月」「Jubiliee」「グッドモーニング」「loveless」といったミディアムバラードのパートへ。そして「僕ら2011年くらいから京都に帰って、去年また東京に引っ越したんで2回上京してるんです。ファンファンを1回上京させてあげたかったっていうのもあって。またそのうち戻ってくるから、音博ではあまりやってない曲をやります」と語ってラストナンバー「東京」を重厚なバンドアンサンブルに乗せて披露し、本編を締めくくった。

アンコールでは、岸田が「rei harakamiと佐久間正英に捧げたいと思います」と言い、「さよなら 別れはつらいものだとして」という歌詞から始まる「There is (always light)」を情感を込めて歌い上げる。そして「僕らは旅を続けてるバンドですから、次にどこにいるかわかりません。でも1年に1回帰ってこれる場所があるからよかったと思います。ありがとう、また来年!」と言って恒例の「宿はなし」をプレイ。万雷の拍手に包まれて、8回目の京都音博は幕を閉じた。

関連する特集・インタビュー

この記事の画像(全12件)

京都音楽博覧会2014 IN 梅小路公園
2014年9月21日 梅小路公園 芝生広場 セットリスト

トミ・レブレロ

01. Negro Jefe
02. Noche en la pampa
03. Siete Dias
04. Matsuo Basho
05. Doctorado en Santiago de estero
06. Familia Equina
07. Cuando a Caballo

ヤスミン・ハムダン

01. HAL
02. Deny
03. Ne diya
04. Beirut
05. Aziza

サム・リー

01. Wild Wood Amber
02. Airdog
03. The Ballad of George Collins
04. Jews Garden
05. Goodbye My Darling

tofubeats

01. No.1
02. No.1(remix)
03. Don't Stop The Music
04. 朝が来るまで終わる事の無いダンスを
05. ロックンロール・ハネムーン(tofubeats remix)
06. 水星

椎名林檎

01. いろはにほへと
02. カーネーション(石川さゆり
03. 名うての泥棒猫(with 石川さゆり)
04. 最果てが見たい(石川さゆり)
05. 丸の内サディスティック
06. 歌舞伎町の女王
07. NIPPON
08. ありあまる富

Penguin Cafe

01. Telephone and rubber band
02. Catania
03. Solaris
04. Swing the cat
05. Perpetuum Mobile
06. Found Harmonium
07. Black Hibiscus
08. Beanfields
09. Salty Bean Fumble

くるり

01. 2034
02. 日本海
03. Brose&Butter
04. Liberty&Gravity
05. time
06. 三日月
07. Jubiliee
08. グッドモーニング
09. loveless
10. 東京
<アンコール>
11. There is (always light)
12. 宿はなし

全文を表示

読者の反応

tofubeats @tofubeats

ここにワシおったんか〜って毎回フェスのレポート見てると思います http://t.co/iXyz1pFiwe http://t.co/rvHUjKxyRD

コメントを読む(39件)

リンク

このページは株式会社ナターシャの音楽ナタリー編集部が作成・配信しています。 くるり / tofubeats / 椎名林檎 / 石川さゆり の最新情報はリンク先をご覧ください。

音楽ナタリーでは国内アーティストを中心とした最新音楽ニュースを毎日配信!メジャーからインディーズまでリリース情報、ライブレポート、番組情報、コラムなど幅広い情報をお届けします。