9月7、8日の2日間にわたり、
この日は、バックバンドやDJを設けず、KREVAが1人きりで機材を使いながらライブをするというDIYスタイルの公演。KREVAは2007年にツアー「K-ing」の一環で同じコンセプトでパフォーマンスを遂行したことがあり、“伝説のライブ”の再来とあって場内は開演前から期待感に満ちていた。
暗転後、スクリーンではKREVAの10年間の活動を振り返る約8分間のVTRがスタート。これを経て大歓声がこだまする中、白煙立ちこめるステージにKREVAがゆっくりと歩いて登場した。KREVAの周辺には、両脇に大きさの異なるMPCが1台ずつ、上手のMPCの隣にKORG社製シンセサイザー・OASYS、メインとなるDJ卓の上にターンテーブル2台とミキサーが並べられていた。彼はさっそくMPCを操りながらオープニングジングルを送る。
そして「基準」「ストロングスタイル」で本格的にライブがスタート。KREVAはスクラッチやワンショットなどすべてのDJ作業を自らコントロールしながらヘッドセットマイクでラップを繰り出す。スクリーンでは時折彼の手元が映し出され、オーディエンスも体を揺らして曲を楽しみつつ、その巧みなテクニックを興味深く見つめていた。
「完全1人武道館」では通常のライブで見られない斬新な試みがたくさん用意されており、まずは“25分メドレー”のコーナーが届けられた。KREVAは「これから25分間ぶっ通しのメドレーいきたいと思います。しかもラップしながら次の曲を準備して、途切れることなくキレイに曲をつないでいきます」と宣言して、「成功」から「俺は Do It Like This」「OH YEAH」「I REP」など8曲をドロップし「成功」のアウトロに着地。新しい曲が始まるたびにフロアは大きく沸き上がった。
次のコーナーは“ライミング予備校”。6月に発売されたベストアルバム「KX」の特典DVDにも収められている企画だ。チャイムの音と同時に「ハイ、みんな起立ー! 礼! 着席ー」と講師らしい口調に変わったKREVAは、ホワイトボードを使いながらDJスタンドを教卓代わりにして“韻の踏み方”について講義を始める。今回は“教科書1冊目(1stアルバム)の10ページ(10曲目)”「KREVA You are the No.1(Hey,DJ) feat. Bonnie PINK」の1番の詞を題材に、返り韻などのテクニックを解説。さらに“新しい教材(新曲)”として「47都道府県ラップ」を初披露した。
続いてはMPCの使い方を説明しながらのビートメイク。その場でできあがったビートに乗せて、KREVAは「トランキライザー」をラップしてみせた。さらにマッシュアップのコーナーへと流れ、「BESHI」と「くればいいのに」、「全速力」と「Space Dancer」という組み合わせでリスナーに新鮮な快感をもたらす。
“セミアコースティック”と題したコーナーは、カホン、トイピアノ、タンバリン、ウィンドチャイムに囲まれたステージ上の別エリアへ移動。KREVAはそれらを駆使してループマシンでビートを構築し、温もりを感じるサウンドの上でスローな「瞬間speechless」を歌った。また、ピアノやギターが弾けないKREVAならではの奏法で、和音を記憶させたOASYSのボタンを押しながら歌うという“押し語り”も。オートチューンを使用した声で「EGAO」をじっくりと響かせた。
武道館のステージでさまざまな挑戦を見せてきた「完全1人武道館」もいよいよラストスパート。KREVAはここまでのパフォーマンスを振り返って「やってる間、やっぱいつものライブと違うんだよね。ていうか俺が今日見てるの、ほぼ画面だけ。だからみんなの力をもらいにそっちに行こうかと」と切り出し、「♪そろそろ外出したくて ここで俺がソワソワしてる」と「イッサイガッサイ」にかけたフレーズでステージ前方へ出ていった。
ここからはウエストに取り付けた小型MPCで効果音を出しつつ、通常のライブに近い形でパフォーマンスを行うKREVA。観客も彼に煽られて「Have a nice day!」で手振りをそろえ、「C'mon, Let's go」でシンガロングを巻き起こす。そして「これを武道館でやりたかったんだよ!」という叫びからの「Na Na Na」では、圧巻の「♪ナナナナナ」の大合唱が会場中に鳴り響いた。
ひとしきり盛り上がり、KREVAは「最後1曲はやっぱり『音色』を奏でたいと思います」と宣言。「10年前の9月8日に俺の『音色』が放たれて、それから1年も休まずいろんな『音色』を奏でてきました。だけど何にも変えられない最高の音色はやっぱり声。みんなの声なんだよね。最高の音色を一緒に奏でましょう」と呼びかけて、思い出の詰まったメジャーデビュー曲「音色」をラストにプレゼントした。
そして、KREVAの去り際スクリーンに「Revolution」という文字が映し出されて終幕。革新的なパフォーマンスの連続だった約3時間にわたる「KREVA ~完全1人武道館~」は、観客の拍手喝采で締めくくられた。
※記事初出時、本文に事実誤認がありました。訂正してお詫びいたします。
KREVA「10th Anniversary Year『908 FESTIVAL 2014』9.07 KREVA ~完全1人武道館~」
2014年9月7日 日本武道館 セットリスト
01. 基準
02. ストロングスタイル
25分メドレー
03. 成功
04. 俺は Do It Like This
05. OH YEAH
06. I REP
07. 調理場
08. 世界の中心
09. かも
10. スタート
11. 成功(アウトロ)
ライミング予備校
題材 - 「
12. 47都道府県ラップ
ビートメイク
13. トランキライザー
マッシュアップ
イントロダクション(BESHI×くればいいのに)
14. 全速力×Space Dancer
セミアコースティック
15. 瞬間speechless
弾き(押し)語り
16. EGAO
外出
17. イッサイガッサイ
18. Have a nice day!
19. C'mon, Let's go
20. Na Na Na
21. 音色
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