音楽ナタリー - 最新音楽ニュース

星野源「復活アアアアア!」念願NHKホールで無事“了”

407

星野源の全国ツアーの最終公演「星野源の復活アアアア了!」が、4月9日に東京・NHKホールで開催された。

完全復活を印象付けた2月6日の日本武道館公演の熱も冷めやらぬ中、3月上旬から始まった今回のツアー。約1カ月にわたるツアーの千秋楽は、星野のダブルピースから幕を開けた。茶目っ気を見せながら現れた星野だが一瞬真顔になりバンドメンバーに深々と一礼すると、武道館公演と同じく「化物」からライブをスタートさせた。陽気なサウンドとともに浪々とした歌声が響き、場内は明るい空気で満たされる。星野は「こんばんは星野源でーす」と満面の笑みで挨拶をしたのち、伊藤大地(Dr / SAKEROCK)の軽やかなリズムと野村卓史(Piano, Key / グッドラックヘイワ)の伸び伸びとしたピアノがイントロを飾る「ギャグ」、長岡亮介(G / ペトロールズ)と石橋英子(Key, Marimba, Cho)と掛け合いのようなセッションを繰り広げる「湯気」を続けた。

星野は「すげえなあ。すげえなあ」と満員の客席を見渡し、海外から観に来たというファンの声に「海外進出するしかねえな……ウソですけど。でも、いつかしたいな」とちらりと野心を覗かせる。また本来はNHKホールでのライブは1年前に予定されていたが手術のため延期を余儀なくされたことを明かし、「ホントにやれてうれしいですよ」という思いをしみじみと口にすると、滋味のある声で「くせのうた」「生まれ変わり」の2曲を歌い上げた。「生まれ変わり」のクライマックスではバンドメンバーの「ラララ」のコーラスも加わり、優しいアンサンブルが会場を包み込んだ。

その後、感動的な空気を残して星野が一旦退場すると、緞帳に某リフォーム番組のパロディが上映され、観客の笑いを誘う。二級建築士の資格を持つ伊賀航(B)を“素材選びの匠”としてフィーチャーしたこの映像で星野は、愛犬のために犬小屋のリフォームに奔走する老人を熱演。絶妙な演技で芸達者ぶりをアピールした。しかし映像が新たな展開に差し掛かったところで、「後半に続く」の文字が。「えー!!」と大きな不満げな声が上がる中で流れ出したのは、センチメンタルな「くだらないの中に」のイントロ。直前の映像とのあまりのギャップにざわめきと笑い声が起きるも、観客は徐々に星野の味わいのある声に引き込まれていった。

中盤の弾き語りコーナーで星野は、「忙しかった時期に、休んでセックスしたいなと思って書いた」という「スカート」、手痛い失恋経験を曲にした「ばらばら」、東京タワーで使用されているアメリカ軍の戦車の鉄に思いを馳せた「電波塔」を洒脱なトークを挟みながら届ける。NUMBER GIRL「透明少女」をカバーする前には、美人ナースに座薬を3回も入れてもらったというエピソードを披露して、観客を爆笑させた。

再びバンド編成に戻ってからは、ホールならではのパフォーマンスや演出が惜しみなく展開されていく。リバーブをかけた声とゆっくりと光を放つミラーボールがドリーミーな雰囲気を生み出した「レコードノイズ」、ストリングスとホーンが加わりゴージャスなセッションが繰り広げられた「ワークソング」が会場の高揚感を煽る。なお曲の合間には伊賀をフィーチャーしたパロディ映像の後編も上映され、観客をおおいに沸かせていた。ライブ本編の終盤を彩ったのは、武道館公演と同じ「知らない」「夢の外へ」「ある車掌」の3曲。MCで彼は「1年経ってやっとNHKホールができて、皆さんの顔を観てると本当にうれしくて」と人前で歌える喜びを明かす。「『今、自分が立ってる場所は、今まで生きてきた全部でできてる』というセリフがあって……」とドラマに登場した言葉を引用しながら、「このメンツがそろうのは今日しかないんで、大事な日なんだと思います」と観客との一期一会を噛み締めていた。

アンコールは星野が「LAMMTARRA」を訪問し、主にアダルトビデオへの愛をとうとうと語る「情熱大陸」をオマージュした映像からスタート。「恥ずかしいんだよ。でも買うんだよ!」という星野の持論が展開されたところで、武道館公演のアンコールと同様に寺坂直毅の前口上が始まった。軽妙な語りに乗せて現れたのは、武道館公演でも登場した布施明ならぬ“ニセ明”。長髪のウィッグに黒いジャケット、白いパンツにサングラスを着用した星野は「君は薔薇より美しい」を伸びやかな歌声で歌い上げ、合間にコール&レスポンスを行ったり、伊藤のドラムにあわせてステップを踏んだりとサービス満点のパフォーマンスを繰り広げる。さらにジャケットを脱ぎTシャツ姿になった星野は「地獄でなぜ悪い」を熱唱した。

そして再びジャケットを着用し、黒いハットを被った星野は、「布施明、ハットを被ったらマイケル・ジャクソンなんじゃね?」と突然マイケル・ジャクソンのモノマネを始める。続けて「みんなと一緒に新曲をやろうと思います」と、新境地とも言えるファンクテイストのダンスナンバー「桜の森」を披露した。全20曲を無事歌い終えた星野は、ウィッグとサングラスをステージ中央に置き、「また会いましょう。バイバイ!」と挨拶して「星野源の復活アアアア了!」に幕を下ろした。

星野源「星野源の復活アアアア了!」
2014年4月9日 NHKホール セットリスト

01. 化物
02. ギャグ
03. 湯気
04. ステップ
05. くせのうた
06. 生まれ変わり
07. くだらないの中に
08. スカート
09. ばらばら
10. 電波塔
11. 透明少女
12. レコードノイズ
13. ワークソング
14. フィルム
15. 知らない
16. 夢の外へ
17. ある車掌
<アンコール>
18. 君は薔薇より美しい
19. 地獄でなぜ悪い
20. 桜の森

音楽ナタリーをフォロー