爆音＆物販あり！観客なし！忘れらんねえよBLITZ単独完遂

忘れらんねえよが3月19日に東京・赤坂BLITZで無観客ライブ「ツレ伝ZERO in 赤坂BLITZ ～ZEROなだけに観客もゼロ～」を開催した。

忘れらんねえよはシングル「この高鳴りをなんと呼ぶ」のリリースタイミングと、「僕らパンクロックで生きていくんだ」のリリースタイミングの過去2回、観客を一切入れない“無観客ライブ”を開催。それぞれUstreamで生中継され、大きな話題を集めている。

3月19日に行われたのはその第3弾。これまで忘れらんねえよは東京・代々木公園野外ステージ、埼玉・所沢航空記念公園内野外ステージと屋外会場で無観客ライブを行ってきたが、今回は初の屋内開催。しかも彼らのワンマンライブ会場としては最大級のキャパシティを誇る赤坂BLITZでの公演となった。

無観客ながら当日のBLITZの入り口のドアはバンドのポスターでデコレートされ、そのドアを開けるとそこには物販ブースが。無人のロビーで売り子が大きな声で売り口上を叫び、その傍らにはVAPとOTOTOYから届けられた花も飾られている。フロアへのドアを開けた先のステージには大きな「ツレ伝」のフラッグが掲げられ、“有観客”ライブのときとほぼ同じだろうセットのPA、照明も準備され、開演前にはローディが楽器をセッティング。さらにフロア最前列には警備員も配置され、また誰に配るでもないチケットとバックステージパスも発券されていた。

開演時間ちょうど、チャットモンチー「シャングリラ」をSEに梅津拓也（B）、酒田耕慈（Dr）とともに、満面の笑みを浮かべハンドクラップを打ち鳴らしながらステージに現れた柴田隆浩（Vo, G）は「BLITZに辿り着きましたよ」「アリーナ！」「2階席！」と誰もいないフロアに向かってシャウト。「無観客ライブをBLITZでやる意味なんてないんですよ」「はっきり言ってね、話題作りのためなんですよ」「でもねえ、手は絶対抜かないからね！」と「僕らチェンジザワールド」を爆音で叩き込む。

先のMCの通り、バンドのテンションはいつもの“有観客”ライブとまったく同じ。酒田はハードなドラミングを披露し、梅津は無人のフロアに向かって激しく拳を振り上げる。続くMCでも柴田がこの日の模様を中継しているUstreamプログラムで初めて忘れらんねえよを観る人のために「ここだけの話」をするとしながら、高校時代の彼女“オガッチ”が忘れられず、32歳の今に至るまで一生懸命つきまとい行為をしていたという、いつも通りのMCを繰り広げる。

そして“陰毛みたいな”男4人との同窓会の席上“オガッチ”が慶応ボーイと結婚したことが判明したという、やはりいつものオチがついたところで、バンドは「慶応ボーイになりたい」をドロップ。続けてヒットチューン「この高鳴りをなんと呼ぶ」と、新曲「運動が出来ない君へ」を連射する。

現在バンドが開催している対バンツアー「ツレ伝」シリーズに言及するMCで柴田は先日の岡山でのライブについて「KEYTALKファンが9.5で、オレらのファンが0.5。でもお客さんがめちゃくちゃ優しかった」と、今の3人が置かれている状況について感謝の言葉を述べる。しかしその直後には「オレらはこのまんま、今のままの場所で十分だと思ったら終わり」とシリアスに語り、「このフロアにお客さんはいないんですけど、そんなの関係ねえよ」と、自らの人生を引き換えに踏ん張っていきがって絶望の先を目指す「この街には君がいない」を熱くパフォーマンスした。

“有観客”ライブでもおなじみのアッパーチューン「北極星」「CからはじまるABC」や、スカパンク風のリズムパターンが印象的な新曲「ばかばっか」で誰もいないBLITZと、この日のために設けられた非公開の無観客パブリックビューイング会場、Ustream中継視聴者、そしてバンド自身の熱気をピークへと押し上げたところで、ライブ本編は最終盤を迎える。柴田が「28歳までなんにもなかったオレが今は幸せなんだ」「バンドやっててよかった」と語り出すと、バンドは新曲、その名も「バンドやろうぜ」を投下。「ありがとう！」の言葉とともに柴田と酒田は大きく手を振り、梅津は空のフロアにピックを投げ込み、ステージをあとにした。

かと思いきや3人はほどなくステージへと舞い戻る。柴田曰く「大地を引き裂くようなアンコールが聞こえた」という。そんな彼が6月にミニアルバム「あの娘のメルアド予想する」をリリースすることをアナウンスすると、バンドはそのミニアルバム収録の新曲「タイトルコールを見てた」、そして彼らのライブのエンディング曲としてもおなじみの「忘れらんねえよ」をプレイ。メンバーがそれぞれ「S」「E」「X」のポーズを作りジャンプする、通称“SEXジャンプ”を3連発したのち柴田がダイブを敢行し、そのまま誰もいないフロアを1人駆け抜け客席出口から会場をあとにしたところで、前代未聞の赤坂BLITZ無観客ライブの幕は閉じた。

忘れらんねえよ「ツレ伝ZERO in 赤坂BLITZ ～ZEROなだけに観客もゼロ～」
2014年3月19日 赤坂BLITZ セットリスト

01. 僕らチェンジザワールド
02. 僕らパンクロックで生きていくんだ
03. 慶応ボーイになりたい
04. この高鳴りをなんと呼ぶ
05. 運動が出来ない君へ
06. この街には君がいない
07. 北極星
08. ばかばっか
09. CからはじまるABC
10. バンドやろうぜ
＜アンコール＞
11. タイトルコールを見てた
12. 忘れらんねえよ