ファンがTENDOUJIに求めるもの
井口 なんか現実を見るタイミングがあったの?
アサノ
井口 周りの人に大人にならされちゃったんじゃないの? だって、バンド名の中に2つ子供が付いてんだぜ?(TENDOUJIの漢字表記は天童児) 素晴らしく子供であるべきだよ。もう1回キッズに戻らないと。
アサノ そうだね。俺らはバンドを始めるのが遅かったし、一緒にライブをやってるバンドよりちょっと年上だったりするから、バンドっぽさを噛み砕くのが早かったというか。俺ら基本的に真面目ではあるからさ、バンドをやろうとしすぎて、TENDOUJIじゃないバンドにどんどんなっていっちゃったのかも。バンドなんてそれぞれでいいんだけど、ざっくりとしたバンド像ってあるじゃん。酒飲んで女、タバコみたいなバンドもいるし、何事もきちんと筋を通してお客さんと真摯に向き合ったライブをする真面目なバンドとか。なんかどんどんTENDOUJIとしてのいい状態を目指すんじゃなくて、真面目な“いいバンド”に向かっていってる感じがする。それだと自分たちらしいところからどんどん離れてしまうのに、振り返ってみればそれをずっとやり続けてしまった何年間だったなと思うわ……ありがとうございました。
井口 あはは。
アサノ 今のくだり、きっとすごく暗い話に思われると思うんだけど、この感じこそが俺は面白いと思っちゃってるわけ。「みんなちょっと面白いってわかりながらこの話聞いてるでしょ?」って。そこが一番のズレで、おじさんにあぐらをかいてるっていうことなんだよね。だけど俺はバンドの面白さってオリジナリティしかないと思っていて、さらに言うとオリジナリティはメンバーが内輪で楽しむことの延長だとも思っているの。1000人はそういうのを好きで武道館まで来てくれるんだろうけど、それ以上に届けるにはオリジナリティ押しのアプローチでは無理というか。そこがすごくジレンマなんだよね。
井口 やり方にすごく迷ってるんだね。そして本人にその自覚があるとなると俺は何も言えないよ。
アサノ 理想はこの内輪ノリを濃くしていくことなんだけど、これからそれをやって間に合うのかな……。
井口 じゃあさ、オリジナリティの正体を突き止めるためにTENDOUJIがどういうバンドなのかをちょっと言語化してみようよ。TENDOUJIは28歳のときに地元の仲間4人で、楽器経験もほとんどない中で売れてやるぜってバンドを組んだけど、これってJ-ROCKシーンはもちろん、世界的に見てもなかなかないと思う。そこになぜお客さんが乗っかってくるかのか。それはジジイになっても青春できるっていうことをTENDOUJIがやってるからなんだよ。青春の追体験ができるところに魅力を感じてるわけ。30歳になっても40歳になっても、泥臭くやって4人で楽しそうにしている姿に、若い頃に青春できなかった自分を重ねているんじゃない? たぶん客はそういうものをTENDOUJIに求めてる。だからがんばってよ。元気なくしてる場合じゃないでしょ。99%そこによさがあるバンドなんだからさ。
死ぬまでTENDOUJIをやれそう
アサノ 理とはよく飲むけど、この前ひさびさに
井口 その悔しさってなんだったの?
アサノ 俺に闘争心が残ってたんだって気付かされたことへの悔しさかな。
井口 なるほどね。Tempalayの武道館、俺は周りが引くほど号泣したよ。しかも(藤本)夏樹のドラムに。俺は夏樹のことあんまり知らないけど、あいつと綾斗が険悪だったことは知っていたから、綾斗が「愛憎しい」のMCをしたあと、ドラムを叩き始めた夏樹を見たらあまりにも何かを背負っている顔をしててさ。ライブが終わったときに夏樹に何を考えてたのかわざわざ聞きに行ったもん。そしたら「綾斗があのMCして、なんかがんばらなきゃいけないと思った」って。
アサノ Tempalayはあの武道館で憑き物が全部取れた感じがあったよね。
井口 安い言葉にはなるけど、音楽が(バンドの仲を)つなげた瞬間を見たなって思った。
アサノ うんうん。俺らも別に仲悪いわけじゃないけど、これからもずっと続けていくうえで、そういう経験が1つは欲しいなと思ってて。
井口 TENDOUJIはいつから一緒にいるの?
アサノ ヨッシー(ヨシダタカマサ[B])が小学校の頃で、ほかは中学から。
井口 すごいね。それで大人になってバンドを組んでずっとやっていくなんて、誰もが憧れるじゃん。
アサノ うん。でもきっとたぶん言いたくても言えないようなことがメンバーそれぞれにあって、それが武道館が終わったら全部解消すると思うんだよね。俺すらも全部言ってるつもりではあるけど、なんかちょっと残ってるのかもと思うことがあるし。武道館が成功して、そこらへんが全部すっきりしたら、60過ぎてもこのノリのまま、本当に死ぬまでTENDOUJIをやれそう。こんなに価値があることはないよな。よし、どんどんポジティブになってきた! 危ねえ!
井口 それが取り柄なんだから。
アサノ ありがとう。
いいときと悪いときのうねりがあっていい
アサノ なんで券売が伸びないのか改めて考えたんだけど、俺が思うに何も変わってないからなんだよね。TENDOUJIは毎年ツアーを回っていて、例えば2年前のツアーに参加した福岡の人がいたとして、楽しかったからその次の年のツアーには都合がつかなくて行けず、今年のツアーを観に来たら2年前と同じような内容なわけ。そしたらもうTENDOUJIのライブってこんなもんなんだって、もう観に行く必要がなくなっちゃうんじゃないかなって。だからセットリストやアレンジも含め、ライブの内容を毎回変えていかないといけない。しっかり変化していかないと、これ以上は俺たち無理じゃない?ってメンバーに話したのね。こうやって話すとみんなそれぞれがどうしていくべきかを考えるんだけど、そうするとTENDOUJIの本質からどんどんズレていっちゃうんだよね。それをずっと続けてきちゃった感じがする。でも今はそのズレにみんな気が付いて、ちょっとラフなところが出てきた。やっぱりちょっと遊びがないと結局つまらないことをやって終わりって感じになっちゃうんだよね。
井口 TENDOUJIの芸風ってムズいんだね。
アサノ ムズい! もともと俺らは「なんか面白いことやりましょうよ」っていう人が嫌いだったの。でも最近それを自分から言っちゃうときあるなって。
井口 それは面白いことが何も浮かんでないときの言葉だよね(笑)。そういうのって舵を切っていくのは誰なの?
アサノ 俺とナオ(モリタナオヒコ[Vo, G])だね。2人がバーッとしゃべって、ヨッシーはすべてに「そうだよね」って言ってて、(オオイ)ナオユキ(Dr)はずっと黙っていて、話し合いが煮詰まるとフラットに話し出す。
井口 バンドだけで話し合うことってあるの?
アサノ あるよ。この前も4人でマジックバー行ったし。
井口 キッズだな(笑)。楽しかった?
アサノ 楽しかった! そういうノリがライブに出るのが一番TENDOUJIっぽいのに。でもライブをするとなると、そこが二の次になっちゃう。遊びのグルーヴが発揮されにくいときが多々あるんだよね。
井口 それはどのバンドも陥りやすいよね。ツアーをやっているとよくも悪くも慣れていくじゃん。同じ曲を繰り返しやっていくから演奏のクオリティは上がっていくけど、MCでしゃべることもだんだんなくなっていく。俺らも予定調和が苦手なタイプの集まりだから、けっこう会場ごとに話を変えたり曲を少し変えたりして乗り切っている部分があって。お客さんにとってのサプライズが俺らにとってもサプライズじゃないと楽しめないんだよね。TENDOUJIは今年100本ライブをやって、その先に武道館があるわけでしょ。ライブの内容だけを見て考えたときに、一番嫌な状態で武道館に臨む可能性すらあるじゃん。
アサノ でもそれくらいうねりがある1年でもいいと思ってるわけよ。いいときと、よくないときを繰り返してやっていって、落ちているときに武道館が当たっちゃったとしても俺はいいと思ってる。ただ、うねりを作る動きは自分たちがしないとだよね。
井口 改めてさ、TENDOUJIががんばるべきはライブ以外の部分な気がする。バンドがライブをがんばるのは当たり前のことだから。だからさ、元気出してよ。
アサノ 脱いどく?(笑)
井口 いや、確認取らないで(笑)。
TENDOUJI “日本武道館”単独公演「EASYPUNK」
2027年2月19日(金)東京都 日本武道館
OPEN 18:00 / START 19:00
井口理(イグチサトル)
1993年生まれ、長野県出身。東京藝術大学音楽学部声楽科卒業。2017年に常田大希、勢喜遊、新井和輝とともにバンドKing Gnuを結成し、ボーカルとキーボードを担当する。2019年1月にアルバム「Sympa」でメジャーデビューを果たし、同年2月リリースの楽曲「白日」がスマッシュヒットを記録。「白日」も収録されたアルバム「CEREMONY」はオリコンウィークリーチャート首位を獲得した。デビュー5年目の2022年11月に初の東京・東京ドーム公演を2DAYS開催。2024年1月から3月にかけて全国5大ドームツアーを行い、成功に収めた。俳優としても活動しており、「ヴィニルと烏」「佐々木、イン、マイマイン」「劇場」といった映画作品に出演。2025年公開の映画「国宝」の主題歌「Luminance」の歌唱を担当し、「第49回日本アカデミー賞」主題歌賞を受賞した。King Gnuとしては2026年2月よりライブツアー「King Gnu CEN+RAL Tour 2026」を開催中。国内公演を5月に終え、6、7月にはアジア公演も控えている。
TENDOUJI(テンドウジ)
中学時代の同級生だったモリタナオヒコ(Vo, G)、アサノケンジ(Vo, G)、ヨシダタカマサ(B)、オオイナオユキ(Dr)が2014年に結成したロックバンド。2017年8月に1stフルアルバム「MAD CITY」をリリースし、翌2018年にはアメリカ・テキサス州オースティンで行われている世界最大規模のフェス「SXSW」に出演。2019年にはTeenage Fanclubの来日公演のサポートアクトを務め、「FUJI ROCK FESTIVAL」「VIVA LA ROCK」など、多数の国内フェスにてパフォーマンスを繰り広げた。2025年12月には初のアジアツアーを開催。2026年5月から9月にかけて対バンツアー「EASY PUNK PARK」を実施。2027年2月19日に初の東京・日本武道館単独公演「EASYPUNK」を開催する。
オオイナオユキの予習ニキ!!
「オオイナオユキの予習ニキ!!」とは、TENDOUJIのドラマー・オオイナオユキがTENDOUJIの武道館公演で披露する曲の中から1曲を紹介するコーナー。初回はTENDOUJIの代表曲「Killing Heads」を予習ニキ!!
TENDOUJI 『Killing Heads』Music Video - YouTube
TENDOUJIのキラーチューンといえばまずはこの曲!
MVは、King Gnuチームにカメラマンとして入りつつ、俺たちのMVを数多く監督してくれてる元が撮ってくれた! サビの「Ah-Ah-Ah-」をぜひ一緒に歌って武道館をライブハウスへと変えてくれよな!
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TENDOUJI @TENDOUJItw
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音楽ナタリー×TENDOUJIコラボ連載企画
「TENDOUJIの教えて!武道館ニキ!!」
1人目は井口理センパイと迫る
TENDOUJIの本質
「元気出してよ。
泥臭いぜって言われ続けないと」
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