柴那典(音楽ジャーナリスト)の予想は……
初出場のうち3組
特別企画
トリ
NHKが選考の基準としているのは「今年の活躍」「世論の支持」「番組の企画・演出」という3点。中でも「今年の活躍」を考えるならば、初出場が最も確実なのはデビュー以来躍進を続けているHANAだと思います。話題性だけでなく、デビュー曲「ROSE」や「Blue Jeans」が今年を代表するヒットソングの1つになっているのが大きい。プロデューサーの
そして今回はアイナ・ジ・エンドのソロとしての初出場があるのではないでしょうか。「革命道中」は、今年数少ないグローバルヒットを記録したJ-POP楽曲の1つ。「つなぐ、つながる、大みそか。」というのが今年の紅白歌合戦のテーマですが、海外での日本のアーティストの活躍もフィーチャーされるトピックの1つになるのではないかと思います。海外でヒットした楽曲と言えばAiScReamの「愛♡スクリ~ム!」も見逃せない。
白組の初出場の有力候補はtimelesz。STARTO ENTERTAINMENT所属アーティストが出場するなら、彼らがスポットを浴びる可能性はかなり高いのではと思います。
去年の「虎に翼」に続き、今年は朝ドラ「あんぱん」が大きな話題を巻き起こした1年でした。主演の
トリについては、嵐が最後の出演で有終の美を飾ってほしいな、そうなったらきっと盛り上がりそうだなと思っています。ただ、話題性よりも安定感が重視されそうにも思うので、今年も白組は
柴那典
音楽ジャーナリスト。ロッキング・オン社を経て独立。音楽やビジネスを中心に幅広くインタビュー、記事執筆を手がける。著書に「平成のヒット曲」「初音ミクはなぜ世界を変えたのか?」「ヒットの崩壊」、共著に「渋谷音楽図鑑」「ボカロソングガイド名曲100選」がある。
てれびのスキマ(ライター、テレビっ子)の予想は……
初出場のうち3組
ハンバート ハンバート - アイナ・ジ・エンド
Awich
特別企画
- 「アンパンマン」 / やなせたかしメドレー
トリ
3年連続で、音楽に詳しくない僕がこの企画に参加していいのかと思いましたが、今年もテレビからよく聞こえてきたなあという観点から考えてみました。
初出場組は、「予想」というより「願望」です。ハンバート ハンバートは、朝ドラ「
アイナ・ジ・エンドは、BiSHのメンバーとしてすでに一度出場はしていますが、ソロとしてはまだ。今年は「ダンダダン」第2期オープニングテーマ「革命道中」をヒットさせたことから可能性が高い気がします。
女性ラッパーで言えば、ちゃんみなが、自身がプロデュースしたHANAと一緒に初出場を果たすというのが大本命だと思いますが、個人的には大阪万博のオープニングや「MUSIC AWARDS JAPAN 2025」などでのパフォーマンスが印象深いAwichも見たい。
特別企画はやはり「放送100年」や「戦後80年」関連の企画が行われることはほぼ確実ではないでしょうか。そういった意味でも「戦争」とも朝ドラ「あんぱん」とも関連付けられる、「アンパンマン」 / やなせたかし関連の楽曲が歌われるのではないかと予想しました。その場合、「アンパンマンのマーチ」を歌うのは誰か。もちろん原曲通り、ドリーミングという線もありますが、昨年の特別企画「歌って踊ろう! KIDS SHOW」でも司会者陣が参加していたので、彼らが歌う可能性もあるのかなと思います。楽しく、かつ、メッセージ性が込められたものになるのではないでしょうか。
トリは今年もMISIA・福山雅治が最有力で揺るがないと思います。でも、そろそろ違う人が締めくくるのも見てみたい。そう思って過去2年、僕は世代交代の意味を込めて、あいみょん・星野源を挙げていましたが、今年は“コールドスリープ”をするということもありPerfumeに務めてほしい(司会の
てれびのスキマ
ライター。テレビっ子。戸部田誠名義で著書に「タモリ学」「1989年のテレビっ子」「全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方」「笑福亭鶴瓶論」「芸能界誕生」「史上最大の木曜日 クイズっ子たちの青春記1980-1989」などがある。最新刊は「王者の挑戦 『少年ジャンプ+』の10年戦記」。
伏見瞬(批評家)の予想は……
初出場のうち3組
- FRUITS ZIPPER
- アイナ・ジ・エンド
- HANA
特別企画
- Perfume
トリ
- 紅組:MISIA
- 白組:Mrs. GREEN APPLE
FRUITS ZIPPERは、去年の時点で選ばれてもおかしくなかった人気グループです。バイラルヒットも数多く、今年は「KawaiiってMagic」でオリコンシングル1位を獲得している。2026年2月には東京ドーム公演も控えており、押しも押されぬトップアイドルの地位へと上り詰めました。紅白歌合戦の初出場には最適のタイミングではないでしょうか。
BiSHとしてはすでに紅白出場経験のあるアイナ・ジ・エンドは、アニメ「ダンダダン」第2期オープニングテーマで、自らも作詞・作曲に関わった「革命道中」がロングヒット。以前から独特のハスキーボイスと歌唱力に定評のあった彼女が、ソロシンガーとして大舞台に上がる可能性は大いにあります。
今年、最も話題を呼んだニューカマーはHANAでしょう。BMSG主催、ラッパーのちゃんみなが審査を務めたオーディション番組「No No Girls」から生まれた7人組は、デビュー曲「ROSE」からヒット曲を連発。歌唱力とダンスパフォーマンスの高さに加え、それぞれの個性を際立たせる楽曲や演出も見事。筆者も「SUMMER SONIC」で彼女たちのステージを観ましたが、デビューしたばかりとは思えない完成されたステージングに、感嘆の声を漏らしました。
2025年12月31日をもって“コールドスリープ”することを発表したPerfume。紅白出場16回を誇る3人が休止前の最後に有終の美を飾ることは、大いに望ましいことだと思います。司会の綾瀬はるかさん、有吉弘行さんが広島県出身であることを踏まえても、同郷であるPerfumeの軌跡を振り返る特別ステージは、多くの方から祝福されるのではないでしょうか。
トリに関して、紅組のMISIAはまだ不動に思えます。あのポジションにふさわしいシンガーが、MISIAより下の世代からはまだ出てきていない。ただ、白組に関しては、そろそろ世代交代があってもおかしくない。Mrs.GREEN APPLEのトリもあり得る。彼らは最初からテレビでスターになることを目指していた希有なバンドです。過去2回の紅白のステージでも番組全体を巻き込む多幸感を演出し、すでに国民的なバンドとしての実力を証明している。来年からバンドを「フェーズ3」に移行させると宣言した彼ら。大きな躍動を見せた「フェーズ2」の締めくくりとして、若手ながら紅白の最後を飾ることも十分考えられる。今年ではなくても、近い将来、ミセスが最後を飾る紅白は定番になっているんじゃないかと予感します。
伏見瞬
批評家 / ライター。2018年より批評×旅行誌「LOCUST」の編集長を務める。「ゲンロン 佐々木敦 批評再生塾」第3期 東浩紀審査員特別賞を受賞。2021年に初の単著「スピッツ論 『分裂』するポップ・ミュージック」を刊行。照沼健太とともにYouTubeチャンネル「てけしゅん音楽情報」を運営している。
関連記事
柴 那典 @shiba710
ナタリーの「紅白歌合戦 出場者予想2025」予想企画に寄稿しました。
他にはキムラさん、Keiさん、てれびのスキマさん、伏見瞬さんが寄稿されています。
https://t.co/5WG8V4r97K