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King & Prince「Theater」ジャケ写

King & Prince Theater

ハードな現実を生き抜くためのダンスチューン

文 / 寺島咲菜

遅ればせながらMBTIという性格診断にハマっている。何度も挑戦してみるが、誰もがきっと憧れるカリスマ性とリーダーシップを持つ主人公タイプ(ENFJ)という結果は出ず、やはり自分はスポットライトと無縁の人生なのだと自嘲する。そんな折、King & Princeのニューアルバムが「STARRING」であることを知る。どんな人でも主役になれる──「STARRING」にはそうやってリスナーを光へと導く温かさがあった。永瀬廉と髙橋海人が企画書の作成から参加し、約1年という最長の制作期間を経て完成したのが、映画をテーマにしたコンセプトアルバム「STARRING」。クリエイティブは2人の音楽と映画愛にあふれ、その証に、収録曲の世界観を膨らませた11本の映画風特報やポスターも作られた。

彼らの楽曲と言えば「シンデレラガール」に代表するロマンチックなラブソングをイメージする人が多いはず。だが、エールソングも数知れず、「君を待ってる」で「不器用に何度もつまずいたって 夢は叶えられる」と励まし、「Moon Lover」で「うまくいかない日常も 辛すぎたトラブルも 笑顔に変わるまで聞かせて」と痛みに寄り添うなど、あらゆるシーンで聴く者をエンパワメントしてきた。そして、新たな応援ソングとして「STARRING」のリード曲「Theater」が誕生した。リリース前からSNS再生数が1億回を超えていることから、大ヒットソングと言って異論はないだろう。

「Theater」を提供したのは、King & Princeの2人体制を印象付けたヒップホップチューン「moooove!!」も生んだAyumu Imazu。彼が「日本の音楽シーンを代表する2人に、日本中を元気にする楽曲を歌ってほしい」という願いを託し、作詞・作曲・振付までも手がけたのが「Theater」だ。フィルターの効いたイントロを経て、聞こえてくるのは心も体も踊り出すクールでファンキーなサウンド。身を粉にして働く「頑張り屋な日本人」を労い、「波瀾万丈な人生くらいが ちょうどいいのさ」と軽やかに歌う。そんな「Theater」はハードな現実を生き抜くために必要不可欠な音楽だと感じる。

「Theater」のサビにはバイクにまたがるような振付がある。King & Princeは“吹く風も味方にして”これからもスター街道を駆け抜けていくだろう。

King & Prince「Theater」MV

King & Prince「Theater」
2025年12月22日(月)配信開始 / UNIVERSAL MUSIC
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作詞・作曲:Ayumu Imazu
編曲:Ayumu Imazu、A.G.O

King & Prince(キングアンドプリンス)

King & Prince

2018年5月にシングル「シンデレラガール」でユニバーサルミュージックよりデビューを果たしたアイドルグループ。デビュー後もコンスタントに楽曲を発表し、2023年4月に初のベストアルバム「Mr.5」をリリース。同年5月からは永瀬廉と髙橋海人の2人体制で活動している。最新アルバムは「Theater」も収録した2025年12月リリースの「STARRING」。このアルバムを携え、2026年1月から3月までドームツアー「King & Prince STARRING DOME TOUR 2026」を行う。