原因は自分にある。が“実験室”で見せた新たな姿、生バンドとの化学反応に沸いたFCツアーがお台場で大団円

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原因は自分にある。が、昨日12月26日に東京・Zepp DiverCity(TOKYO)にて、ファンクラブツアー「GNJB FC Limited Tour Laboratory -」の最終公演を迎えた。昼夜の2部にわたって行われた公演のうち、この記事では第1部の模様をレポートする。

原因は自分にある。(Photo by Hanna TAKAHASHI)

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「観測者に新しいゲンジブの姿を」

荘厳なオープニングSEがライブの始まりを知らせると、ゲンジブの7人はたっぷりと焚かれたスモークの向こう側からゆっくりと姿を現した。オープニングナンバーとして届けられたのは、ダークなニュアンスときらびやかな高揚感を行き来する、ゲンジブ流のアバンギャルドなクリスマスソング「アビスと清らな銀世界」。メンバーの背後のLEDビジョンに映し出される雪模様のステンドグラスや、鐘の音とともにゆらめくスポットライトが妖しい聖夜を演出する中、7人は世界観に入り込んだパフォーマンスで観測者(原因は自分にある。ファンの呼称)の手を引いていく。

原因は自分にある。(Photo by Hanna TAKAHASHI)

原因は自分にある。(Photo by Hanna TAKAHASHI) [高画質で見る]

まっすぐに前を見据える7人の表情が順にLEDビジョンに映し出された「キミヲナクシテ」が2曲目に届けられると、そのアウトロで大倉空人は「ここからは、事前のアンケートで人気だった楽曲を披露していきたいと思います。ぜひ最後まで楽しんでいってください!」と宣言した。ファンクラブイベントならではのリクエストコーナーで披露されたのは「ネバーエンドロール」と「鳴らして、シンバル」。「ネバーエンドロール」では「好きだよ」と歌う小泉光咲のさわやかな表情や「めっちゃ好き!」と歌詞をアレンジしてハートマークを形作る大倉の姿に甘やかな歓声が上がり、ひさびさの披露となった「鳴らして、シンバル」ではアップリフティングなディスコサウンドを乗りこなして鮮やかなステップやターンを決める7人の姿に、フロアを埋め尽くす7色のペンライトの光もリズミカルに揺れる。

原因は自分にある。(Photo by Hanna TAKAHASHI)

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ファンクラブイベントならではの親密な一体感が早くも充満したオープニングブロックを駆け抜けて自己紹介を済ませると、長野凌大は「Laboratory(実験室)」と題された今回のツアーのテーマを観測者に伝える。「ファンクラブのライブだからこそ、観測者に新しいゲンジブの姿を見せていこうという内容になっています」。そう説明した彼は「だから、僕たちも新しい挑戦をしていきたいなと思っています」と、ここから先の展開を予告した。

杢代和人と桜木雅哉。(Photo by Hanna TAKAHASHI)

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ゲンジブの“実験”、生バンドとの化学反応

そんな彼の言葉の真意は、続いて披露された彼らのデビュー曲「原因は自分にある。」で明らかに。ツイードジャケットを脱ぎ去る7人のモーションに合わせてツアータイトルが掲げられたバックパネルが取り払われると、その奥からギター、ベース、ドラム、キーボードによる4人編成のバンドが姿を見せる。ここからの楽曲はゲンジブとしては初めて、生バンドによる演奏をバックに披露されていった。ドラムの力強いアタックと疾走するピアノの旋律に、7人のボーカルもぐんぐんと熱を帯びていった「原因は自分にある。」ののち、エッジィなギターカッティングの音に吉澤要人の「観測者の皆さん、これが新しい原因は自分にある。です!」という宣言が重なったのは「嗜好に関する世論調査」。歌詞にある“二択”を表す2色の光の明滅に照らされながら、7人は歌詞を細かく刻むテクニカルな歌割りを抜群のチームワークで歌いつなぎ、バンドのグルーヴを乗りこなしてみせる。活動初期から高い人気を誇るラブソング「シェイクスピアに学ぶ恋愛定理」もバンドアレンジによって普段とは異なるパワフルさをたたえ、そのサウンドは5年前よりもしなやかに、ドラマチックに楽曲のストーリーを伝える7人の確かなボーカルワークと力強く混ざり合っていた。

原因は自分にある。(Photo by Hanna TAKAHASHI)

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裏打ちの跳ねるリズムが7人のコミカルかつシュールなパフォーマンスを楽しく彩った「P-P-P-PERO」を終えると、ステージに1人残ったのは小泉。「“実験室”ということで、1公演につき1人ずつソロで歌っているんです。今回、僕の番が回ってきました」と観測者に説明した彼は「グループだとみんなの視線が散らばるけど、僕1人に注目が集まると緊張しますね」と照れ笑いを浮かべながらソロパフォーマンスを届けた。小泉が披露したのは高い歌唱力が求められるバラードソングだったが、彼はピアノ演奏をバックに豊かなボーカルを聴かせる。繊細で柔らかなニュアンスを持つ声色ながらも、その真ん中にはブレない芯を感じさせる、小泉の唯一無二の歌声。しっかりと独自のアレンジを効かせながら曲を歌い上げる彼のパフォーマンスに、観測者はじっくりと耳を傾けた。

原因は自分にある。(Photo by Hanna TAKAHASHI)

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鮮烈なアレンジも、グルーヴ加速するクライマックス

バンドメンバーによるパフォーマンスタイムを経て、ブラックのジャケット衣装に着替えてステージに戻った7人は「因果応報アンチノミー」でライブを後半へと進める。勢いを駆り立てるようにドライブするバンドアンサンブルや永井隆泰(B)のアグレッシブなスラップベースによって7人のテンションも加速度的に高まっていく中、大倉は威勢のいいラップを叩き付け、小泉や武藤潤も力強いボーカルを響かせる。勢いのままに放たれた桜木雅哉の「JUDGE!」が最後に決まると、この日2度目のMCへ。メンバーにソロパフォーマンスを絶賛された小泉は「緊張するわ~」と実感を語り、「(緊張が解けて)心が晴れました。『アンチノミー』で特大笑顔になっちゃった!」と表情をほころばせた。

原因は自分にある。(Photo by Hanna TAKAHASHI)

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小泉が「後半戦も楽しんでいきましょう」と告げ、「ダイヤモンドリリー」でパフォーマンスが再開すると、7人はスタンドマイクでこの曲を観測者に贈る。流麗なピアノの音色のみが寄り添うシンプルなアレンジによって彼らのボーカルワークが鮮明に浮かび上がったこの曲。7人は言葉の余韻まで丁寧に、1つひとつのフレーズに思いを込めて歌い上げた。続く「幽かな夜の夢」では疾走感あふれるバンドサウンドとまっすぐに突き抜けるクリアなボーカル、空間を行き交う幾重もの光線が渾然一体となり、楽曲のスケール感を最大限まで増幅させていく。

原因は自分にある。(Photo by Hanna TAKAHASHI)

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甘美で危険なムードへ景色が一気に塗り替えられた「Paradox Re:Write」では桜木が雄叫びにも似たシャウトを響かせ、唸るギターサウンドに乗せて7人が一心不乱にステップを刻むダンスセクションも観測者の目を奪った。「Mania」もこの日はドラスティックなロックアレンジが施され、曲中で歌われる“狂愛”を苛烈に駆り立てる。刺激的なアンサンブルを背に受けて、楽曲の世界観に没頭した長野によるがなりを効かせたボーカルアレンジも鮮烈で、初めての化学反応によって新たな表情を覗かせた「Mania」を観測者は息をのむように見つめていた。センシュアルなダンスムーブと艶のあるボーカルが聴衆の目と耳を奪った「ビネットネット」を経て、本編のラストに届けられたのは川谷絵音提供による最新シングル曲の「パラノイドランデブー」。グルーヴ感たっぷりに音に乗り、精緻かつ表現力豊かなパフォーマンスで観測者を“逃避行”へと誘った7人は、杢代和人による最後の決めポーズを合図にさっそうと実験室をあとにした。

左から杢代和人、長野凌大、吉澤要人。(Photo by Hanna TAKAHASHI)

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「ゲンジブ最高ですか!? みんな幸せに生きろよ!」

観測者の声を受けてスタートしたアンコールでは、「パラノイドランデブー」収録のにぎやかな“ゲンジブ観測ソング”、「希望的観測の定義」が届けられた。今ツアーが初披露となったこの曲には観測者のコールパートも用意され、フロアからは熱いコールがリズミカルに7人へと送られる。“げんじぶあるある”やメンバーの特徴がこれでもかと盛り込まれた楽曲のパフォーマンスは賑やかさ極まる様相で、「SUN SUN SU SU SUN 皆SUN SUN!」と歌いながらハイテンションにステージを駆け抜ける桜木や「レベチアーズ!」という杢代考案の乾杯コールに合わせグラスを重ねる動きをする7人の姿に、会場には笑顔の輪が広がっていった。

左から長野凌大、武藤潤、小泉光咲。(Photo by Hanna TAKAHASHI)

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7人がここでバンドメンバーを紹介する時間を設けると、よっしー(Key)から送られたのは「ゲンジブの曲、めちゃくちゃ難しい!(笑)」という言葉。そんな楽曲群をスキルフルに弾きこなしたバンドメンバーに改めて感謝の拍手を送りつつ、ゲンジブはラストナンバーとして「GOD 釈迦にHip-Hop」を届けた。観測者との晴れやかな一体感をもってゲンジブの“新たな実験”を完了させ、杢代は「2025年、楽しかった人? ゲンジブ最高ですか!? 2026年も会えますか?みんな幸せに生きろよ!」と語りかける。そして最年長の武藤は最後に「 皆さんの声をたくさん聞けてうれしかったです。こんなに素晴らしい空間を共に過ごすことができて幸せでした。また2026年もよろしくお願いします!」と挨拶。最後まで晴れやかな表情で観測者に手を振りながら、7人はステージ袖へと消えていった。

原因は自分にある。(Photo by Hanna TAKAHASHI)

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セットリスト

「GNJB FC Limited Tour Laboratory -」2025年12月26日 Zepp DiverCity(TOKYO)第1部

01. アビスと清らな銀世界
02. キミヲナクシテ
03. ネバーエンドロール
04. 鳴らして、シンバル
05. 原因は自分にある。
06. 嗜好に関する世論調査
07. シェイクスピアに学ぶ恋愛定理
08. P-P-P-PERO
09. 小泉光咲ソロ
10. 因果応報アンチノミー
11. ダイヤモンドリリー
12. 幽かな夜の夢
13. Paradox Re:Write
14. Mania
15. ビネットネット
16. パラノイドランデブー
<アンコール>
17. 希望的観測の定義
18. GOD 釈迦にHip-Hop

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Ⳣᘂ© @sushichanmaru

希望的が振りもマルアドと終わり方一緒なんだけど、名古屋2部で「いや〜これマルチバースアドベンチャー」って曲名言ってしまってる空人ちゃんいた
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