GANG PARADE「KIMI☆NO☆OKAGE」特集|“みんなの遊び場”で会おう

GANG PARADEが12月17日にメジャー8thシングル「KIMI☆NO☆OKAGE」をリリースした。

今作にはJxSxKことWACK元代表の渡辺淳之介が作詞、草野華余子が作曲した表題曲をはじめ、9mm Parabellum Bulletの菅原卓郎(Vo, G)が作詞、滝善充(G)が作曲を手がけた「ラビバアソビバ!!」、そしてテレビアニメ「デブとラブと過ちと!」のオープニングテーマで、メンバーのユメノユアが詞を書いた「Happy Yummy Lucky Yummy」の計3曲が収録されている。

今年6月に豪華作家陣を迎えたメジャー3rdアルバム「GANG RISE」を発表し、進化した姿を見せつけたギャンパレだが、先日発表のあった通り、2026年内で解散することが決まった。音楽ナタリーでは11人のメンバー全員にインタビュー。解散に向けた率直な思いや、9mmの菅原と滝とのレコーディング秘話を含むニューシングルの制作エピソードなどについて語ってもらった。

新曲はもちろんのこと、彼女たちが掲げる“みんなの遊び場”をぜひライブで体感してほしい。

取材・文 / 西澤裕郎(SW)撮影 / 大橋祐希

2026年解散へ、今の思い

──「2026年にGANG PARADEが解散」という発表が、Zepp Shinjukuのステージでされました。残りの時間、最後の瞬間に向けて、グループとしてどうありたいと考えていますか?

ヤママチミキ 渡辺(淳之介 / WACK元代表)さんから少し前に「来年解散します」と正式に伝えられたんです。メンバーそれぞれ受け止め方は違ったと思いますけど、そのあと、スタジオでメンバーとスタッフ全員で話して、GANG PARADEのゴールは、「ハッピーなグループであることだよね」と確認しました。私たちは、お客さんに幸せになってほしい、笑顔になってほしいという気持ちで「みんなの遊び場」を作り続けてきたから、終わる瞬間までそれを続けたい。活動を始めた当初は「GANG PARADEってどんなグループなんだろう?」と自分たちでもわからなくて。探り探りでコンセプトだけ決まってスタートしたけれど、この10年でようやくGANG PARADEという色を見つけられたからこそ、「GANG PARADEらしさ」を前面に出して、みんなが笑顔で終われるのが一番いいなと思っています。

チャンベイビー 私は、解散について発表してからもまだ活動する時間があることが、すごくありがたいなと思っていて。これから過ごしていくうえで、悲しくて泣いちゃう日もあると思うけど、私たちも遊び人(GANG PARADEファンの呼称)も、楽しい瞬間がいっぱいあると思うんです。私は愚かなので、過ぎてから気付いてしまうことや後悔することがたくさんあるけど、こうやって前々からみんなに言えることで、この先も一瞬一瞬を一緒に大事にしていけるんじゃないかなって。それを自覚して、みんなで楽しい思い出を作れる時間があるのは、本当にありがたいです。

左からチャンベイビー、ココ・パーティン・ココ。

左からチャンベイビー、ココ・パーティン・ココ。

アニメにもグループにも重なるユア作詞の新曲

──このたびリリースされるメジャー8thシングル「KIMI☆NO☆OKAGE」では、ユメノユアさんが新曲「Happy Yummy Lucky Yummy」の作詞をされています。2015年リリースの既発曲「Happy Lucky Kirakira Lucky」とタイトルが似ていますが、どんなテーマや思いが込められているんでしょうか。

ユメノユア テレビアニメ「デブとラブと過ちと!」のオープニングテーマでありつつ、GANG PARADEの10周年イヤータイミングの楽曲でもあるので、「ギャンパレの歴史、ギャンパレっぽさを感じる曲にしたい」というレーベルと事務所スタッフのアイデアを受けて、ライブ定番曲である「Happy Lucky Kirakira Lucky」を作詞した私が書かせていただく流れになりました。アニメのオープニングを歌うのが初めてだったので、マンガの原作をたくさん読んで、主人公の女の子の気持ちを解釈して歌詞に詰め込んだんですけど、アイドルとしての気持ちを歌った「Happy Lucky Kirakira Lucky」ともリンクできたらいいなと思って、両方の気持ちを考えて作詞しました。

月ノウサギ 「Happy Lucky Kirakira Lucky」は、ギャンパレのド定番曲で、ほぼ毎回ライブでやる曲なんですけど、ステージ上でふと「めっちゃいい歌詞だな」と思ったことがあって。もう100回以上歌っているのに、最後の「君に会えたそれだけがすべてで今なのだから」っていう部分に、今さらながらすごく感動したんです。

ユア 初めて聞いた。言ってよ(笑)。

一同 (笑)。

月ノ ユアピの書く歌詞が好きなんですよ。当たり前の存在すぎて、当たり前に歌っていたんですけど、「めっちゃいい歌詞だな」と改めて思います。10年経って、ユアピが作詞した曲をまた聴けて、シンプルにうれしかったです。ユアピのちょっと気持ちの重い部分も新曲からにじみ出ていて、「かわいいな」って。

ユア 「Happy Lucky Kirakira Lucky」の歌詞もけっこう重いところがあるから、そのムードを生かして、リンクさせて書きました。

左からユイ・ガ・ドクソン、ユメノユア。

左からユイ・ガ・ドクソン、ユメノユア。

月ノ 「Happy Lucky Kirakira Lucky」はちょっとネガティブな部分もあるけど、最後はハッピーで終わる。「Happy Yummy Lucky Yummy」にもその構成が受け継がれていて、どちらの曲もすごく好きです。

キラ・メイ アニメのために書き下ろした歌詞ではあるけど、自分たちに重なる部分が多いんですよね。特にサビの「ワタシが一番! キミのトクベツな一番」って歌詞が、一見すると恋愛ソング的だけど、アイドルとしての自分が歌ったときにすごくしっくりくるなって。「キミを笑顔にするためだったらなんでもできちゃう」という部分もギャンパレらしい。GANG PARADEは、遊び人も巻き込んで「楽しい」を広げてきたグループだから、このフレーズは私たちと遊び人の関係にも重なるんですよね。遊び人に対して愛を歌っている気持ちでやると、めっちゃ楽しいです。

左からキャ・ノン、キラ・メイ、月ノウサギ。

左からキャ・ノン、キラ・メイ、月ノウサギ。

ドクソン流!ギャンパレ10年ざっくり振り返り

──2025年は10周年イヤーで、これまでの活動を振り返ることも多かったと思いますが、「ギャンパレらしさ」というものが、この10年でどのように変わってきたと思いますか?

ユイ・ガ・ドクソン 私が加入した頃は、軍隊みたいでした(笑)。そのあと、カミヤサキ(ex. GANG PARADE)ちゃんとアヤ・エイトプリンス(LUCY、ex. BiS)がレンタルトレードした頃は、ギャンパレの「常に笑いを忘れない」姿勢の先駆けみたいな時期で。そしてサキちゃんが脱退したあとはギャンパレにおける「模索期」。ギャンパレとはなんなのかをメンバーみんなが自問自答していた時期だったと思います。

月ノ 2020年にはGO TO THE BEDSとPARADISESに分裂していたしね。

ドクソン そしてギャンパレに戻った2021年からが「大行進パレード期」。今は、自分で言うのもなんですが、みんな鍛え抜かれた「アベンジャーズ期」。

一同 アベンジャーズ期(笑)。

ドクソン 培って磨いてきたものが集結した、カッコいい集団みたいな。

ナルハワールド 私が入る前(2019年5月以前)のギャンパレは、「愚連隊行進」とよく言っていて。とにかくカッコいいイメージが強かったんですけど、自分が入ったあたりからは、カッコよさもあるけど、誰でもウェルカムな感じで、いろんな人を惹きつける魅力がもっと増えたなと思っています。

GANG PARADE

GANG PARADE

「みんなの遊び場」は今が一番しっくり

──「みんなの遊び場」というコンセプトに関しては、活動を通じて解像度がどんどん高まっていったんでしょうか?

ヤママチ 今が一番「遊び場」がしっくりきています。

ユア 最初、よくわからなかったもんね(笑)。

一同 (笑)。

ドクソン 遊べる雰囲気じゃなかったですしね。

ヤママチ 最初は、ひと言で「こういうグループなんだ」みたいなキャッチフレーズを付けたいという思いが先行していたので、活動とどう結び付けたらいいのか本当によくわからなくて。

ユア 解像度が低かったよね。突然言われて。

ヤママチ 挨拶で使ってる「エンジョイプレイ!」もいきなり言い出すようになったしね。

左からヤママチミキ、ナルハワールド。

左からヤママチミキ、ナルハワールド。

ユア ポーズも決まらなくて(笑)。マイカのお披露目ライブ(2016年10月開催の愛知・DAYTRIVE公演)の超ギリギリまで悩んでた記憶がある。

ヤママチ 楽屋で話して、「これがいいんじゃない?」って決めたんです。自分たちはハッピーなほうに進みたい、という願望を込めつつ、とりあえずで考えた言葉というか。

ユア 当時はBiSHがライバルだったから、差別化も含めて、何か考えてやらなきゃって気持ちだったよね。

ヤママチ 「楽器を持たないパンクバンド」というBiSHの存在があったから差をつけたい、というところから「みんなの遊び場」をグループのコンセプトにしたのも事実ですね。でも、どんどんメンバーが増えていったり、お客さんの楽しみ方の自由度が高くなったりする中で、私たち自身もコンセプトに対する解像度が上がっていきました。お客さんも「みんなの遊び場」がどういうものか、自分たちなりに解釈をしてくれたおかげで、今が一番、このコンセプトにぴったりなものを作れているのかなと思います。

左からアイナスター、キャン・GP・マイカ。

左からアイナスター、キャン・GP・マイカ。

──キャ・ノンさんは、遊び人として外から見ていた時期を経て、実際にギャンパレに加入したわけですが、「みんなの遊び場」という言葉に対してどう感じていますか?

キャ・ノン 私は入る前から「とてもいいキャッチフレーズを持って活動してるな」と思っていました。暗中模索の期間があったにせよ、「みんなの遊び場」っていう言葉を言い続けることによって、遊び場ができていったというか。遊び人と一緒に遊び場を作ることもすごく素敵だと思うし、自分もギャンパレとして活動している中で、「遊び場」というキーワードのおかげで今のライブができていると感じるので、めちゃめちゃいいキャッチフレーズです。