
再生数急上昇ソング定点観測 (2025年10月2週目) [バックナンバー]
ミセス「GOOD DAY」は誰一人置き去りにしない / 櫻坂46「Alter ego」と「死んだふり」の関係 / 乃紫「1000日間」が描く3つの目線
今、盛り上がり始めている曲 / これから盛り上がりそうな曲について詳しく解説
2025年10月10日 18:30 3
YouTubeでの視聴回数チャートや、ストリーミングサービスでの再生数が伸びている楽曲を観測し、今何が注目されているのかを解説する週イチ連載「再生数急上昇ソング定点観測」。今週はYouTubeで9月26日から10月2日にかけて集計されたミュージックビデオランキングの中から要注目トピックをピックアップします。
文
まずはこの週の初登場曲の振り返りから
今週のYouTubeのミュージックビデオランキングは、21位に
JO1「Handz In My Pocket」ミュージックビデオ
27位には
Ado「風と私の物語」ミュージックビデオ
49位に登場したのは
葛葉「ギミモ」ミュージックビデオ
ダンスボーカルグループ、ソロアーティスト、Vtuberとさまざまなジャンルの新曲が並んだ今週は、下記の3曲をピックアップする。
Mrs. GREEN APPLE「GOOD DAY」
※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場16位
10月7日に東京・ベルサール渋谷ファーストで開催されたキリンビール「キリングッドエール」の発表会にはMrs. GREEN APPLEをはじめ、CMに出演している
「キリンさんから日本を丸ごと明るくしたいということを伺って、すごい規模だなと思って。でも、我々も音楽をやってる身で、ワクワクするようなエンタメを届けたいと思って活動しているのですごく共感しましたし、全力で応えたいなと思いました」
また、バンドや大森個人にとっても、思い入れの強い楽曲になったという。
「誰一人置き去りにせずに、前向きになれるように。綺麗事ではなくて、1つひとつ噛み締めながら希望を歌うことを大切に、願いを込めて書き下ろしました。自分の中でターニングポイントになった曲です。日本を丸ごと明るくするという規模の話なので、より多くの方々に届けることを意識させていただくきっかけになりました」
MVでは、ミセスのメンバーがフルCGで描かれたファンタジックな異世界を旅する様子が描かれている。その旅には、CMと同じく綾瀬、鈴木、浜辺も参加。楽曲と同様に誰もが笑顔になれるような、豪華でピースフルな1本に仕上がっている。
櫻坂46「Alter ego」
※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場58位
6月に発表された「死んだふり」に続いて、2作目となる四期生楽曲「Alter ego」のMVが公開された。センターを務めるのは山川宇衣。MVの監督は
このMVでは純白の衣装を身にまとい、真っ白なパズルの上で満面の笑みを浮かべて歌う四期生の姿が印象的だ。まだ何色にも染まっていない、純粋無垢な彼女たちを象徴しているように見える。
当連載で6月27日公開の記事で紹介した「死んだふり」は、これまで「いつも支持されてるばかり」で何にも抗わず、死んだふりをしていた“僕”が「何でもいい / 生き返れ / 蘇(よみがえ)ろう」と自分自身を鼓舞して起死回生のチャンスをうかがったところで幕を閉じる、という曲だった。一方、「Alter ego」はラテン語で「もう1人の自我」という意味の通り、新しい自分と出会った様子を描いた楽曲。この2曲を並べると「死んだふりから立ち上がり、自らの意志で道を切り拓いた主人公が新しい自分に出会う」という流れを感じる。それこそ、何者でもなかった彼女たちが、櫻坂46の四期生として新しい人生をスタートさせたことを示しているようでもある。これから、この9人がどんな色に染まっていくのか楽しみだ。
乃紫「1000日間」
※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場88位
「青春ボーナスタイム」 MATCH × 乃紫
面白いのは現役の中高生だけでなく、大人もこの曲の世界観に魅了されていることだ。これは歌詞の構成が大きいように思う。1番はノートの隅に大好きな“君”の名前を書いては消す“僕”という男子学生の目線の歌詞で始まり、2番では今時の歌が校内放送で流れないと会話をする“あたし”という女子学生の目線に切り替わる。そしてラストは学生時代に思いを馳せる大人目線に着地する。1曲の中で3人の主人公を描き、時間軸が変化している様子を表しているのは見事だ。それによって誰もがこの曲の歌詞に、自分を投影することができる。
また、大人と学生の対比を描いたフレーズも魅力的だ。「僕らに今必要なものは / 大人にとっては無駄なもの自転車で春の風を切る」「あたしたち、いつか街を出て / 大人になるとか笑えるね」「大人になったら気付けるよ / みんな大人のフリした子どもだと」という各パートの主人公の言葉には、説得力とリアリティが感じられる。
MVは、映画研究部の少女が生徒たちにカメラを向け、学生の日常を撮影するというドラマチックな映像になっている。ディレクターを務めたのは映画監督で写真家の
MVのほかに、乃紫が自身初のZeppツアー「乃紫 ZEPP TOUR 2025」の東京・Zepp DiverCity(TOKYO)公演で披露した「1000日間」のライブ映像も5月に公開されている。原曲とは違ったパワフルな演奏を堪能できるので、こちらも合わせてチェックしていただきたい。
乃紫「1000日間」Live at ZEPP TOUR 2025【Zepp DiverCity (TOKYO)】
- 真貝聡
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ライター / インタビュアー。雑誌やWebで執筆するほか、MOROHA「其ノ灯、暮ラシ」、BiSH「SHAPE OF LOVE」、PEDRO「SKYFISH GIRL-THE MOVIE-」といったドキュメンタリー映像作品や、テレビ特番「Mrs. GREEN APPLE ~Review of エデンの園~」にインタビュアーとして参加している。
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